第8話 断る!
由香は、気が付くと学校の門の前に立っていた。
「よし。」
そう呟くと、一目散に学校裏の空き地に向かって走り始めた。
そして、そこにお弁当、もとい時限爆弾を放り投げると、また一目散に学校に向かって走った。
爆発音をバックに、教室に向かって一気に駆け抜ける。
「はあ、なんだかアクションシーンの撮影みたい。」
思わずそんなことを呟いてしまうのは、由香がある程度この状況に慣れたせいだろう。
遅刻ギリギリ、先生と同時くらいに教室に滑り込んだ。
「こら、もっと早めに登校するようにしなさい。」
「すみませーん。」
そんな会話をしつつ、由香は自分の机に着いた。
さて、通常通りの授業は受けた。これで午前中の授業は終了。つまり、お昼休み。
お昼、どうしよう…。
「由香。どうしたの?ご飯食べないの?」
にこやかに話しかけてきたのは沙良。
由香は困惑しつつ、笑いながら誤魔化した。
「い、いやあ、食欲なくて。」
「うそ。あの由香が?あ、そうだ。私パン焼いてきたの。よかったら、これでも食べて。少しでもお腹に入れないと。」
「い、いや、今何か食べたら死んじゃうから!」
由香はそう言うと、ばっと立ち上がり、トイレに駆け込んだ。
「ちょ、ちょっと、由香!」
悔しそうな沙良が目の端に見えた。
よし、これできっと大丈夫。後は授業を受けて、家に帰ってからお母さんを問いただしてやる!
そう思った時だった。
「あらあ、先生。そうなんですか、おほほ。」
聞き慣れた声が聞こえた。
走り抜けながら目の端で確認すると、どう見てもお母さん。
まさか、こんなところまで来るなんて。
とりあえず、トイレに逃げ込もう!
由香は全速力でトイレに駆け込んだ。
「うわあ、どうしよう。うわあ。」
悩みつつ、授業が始まるのをじっと待った。
キーンコーンカーンコーン
午後の授業が始まる。
さあ、トイレを出なくちゃ。
そう思い、トイレから出て、教室に向かった。
あれ、待ち伏せもされていないし、廊下にもいない。気のせいだったのかな?
そう思いつつ教室へ向かっていた途中だった。
「小柳さん。ちょっと。」
声をかけてきたのは教頭先生。
「何でしょう?」
振り向くと、教頭先生はいつも通りにこやかに笑っていた。
「君のお母さんがどうしても話したいことがあるそうで、わざわざ学校までいらっしゃったんだ。ちょっと、私の部屋まで来てもらえるかな?」
少し嫌な予感はしたが、まあ、学校で変なことは起こさないだろう。そう思い、教頭先生について行った。
教頭先生の部屋に着くと、部屋にはまず、教頭先生が入った。はずだった…。
「え?」
足元に、教頭先生が転がっている。頭からは血が。
顔を上げようとすると、頭を思いっ切り殴られた。
「うふふ。」
ほんのりと笑い声が聞こえた。お母さんの笑い声が。
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「いやあ、由香も懲りないねえ。危ない誘いって分かりそうなものだけどさ。」
死神は腹を抱えて笑っている。
「教頭先生は良い人だし、それに空手もやってて強いから、何も起きないと思ったのよ!」
「実際は殺されたわけだけど。」
「うるさい!」
「まあまあまあ。これで、次はトイレから生き返らせられるよ。」
「わ、分かったわよ。」
「それじゃあ行ってらっしゃーい。」
由香は再び生き返った。




