第6話 タイミング良く
由香が気が付くと、鞄を持って玄関前に立っていた。
「走らなきゃ。」
今度は迷うことなく、歩道橋に向かって一直線に駆けていった。
そして、問題の駅の中へ。
「どうしよう、何か考えないとお母さんが来ちゃう。」
もはや、お母さんは自分を殺しに来る存在として考えてしまっていた。
でも、お母さんはお母さん。何か原因はあるはずだし、どんな理由で今こうなってしまったのかを聞き出すまでは死ぬわけにはいかない。
「そうだ、電車が来るギリギリまで隠れていよう。」
そう決めると、駅のトイレに駆け込んだ。
個室に入り、時間が来るのをひたすら待った。
「…よし、今だ。」
由香は個室を飛び出て、電車に向かって一直線に走った。
扉付近にお母さんが何かの包みを持って立っているのが見えた。
「由香、お弁当忘れていったわよ。」
にこにこと笑うお母さんは、由香にお弁当を手渡した。
「あ、ありがとう。」
苦笑いで受け取り、電車に乗り込んだ。
あれ、じゃあ、お弁当は本当に作ってくれたんだ。でも、また毒入りとかだろうけど。
そう思いつつ、学校へたどり着くことができた。
「よし、一安心。」
そう思いつつ、教室へ向かう。
そうだ、今までのこと、友達に相談してみよう。
何があったらこんなことになるのか、少しは糸口が見つかるかもしれない。
由香は、友達の沙良に相談してみることにした。
「ねえ、沙良。」
「どうしたの?由香。浮かない顔して。」
そう言う沙良の顔も何だか暗く見えた。
「いや、あのね、実は…」
由香は、沙良に今までのことを話した。
朝食に毒が盛ってあったこと、包丁を持って後ろに立っていたこと、車で突っ込んできたこと、線路に突き飛ばそうとしてきたこと。
それを全て聞いた沙良は、一言、こう言った。
「由香の考え過ぎじゃない?」
由香は呆然とした。
だって、全て事実なのだ。
実際に起こったことであり、事実、私は何度も殺された。
だが、生き返ったなんて言ったところで、それこそ信じてもらえないだろう。
「あ、はは、そうかな。…あ、ところで、沙良の方こそ何だか浮かない顔しているけど、何かあったの?」
「別に。」
「そ、そう。あ、そろそろ授業始まるね。じゃ、また。」
「うん、またね。」
会話を終えて、由香は自分の席に着いた。
はあ、どうしたら信じてもらえるだろうか。それにしても、沙良にも何か起こっているんだろうか。
一抹の不安を抱えつつ、授業が始まるのを待った。
…待っていたはずだった。
急に由香の鞄が爆発した。
きゃあああ
いやあああ
たすけてえええ
様々な悲鳴が上がり、由香も今まさに死ぬ直前にいた。
何か、鞄におかしなもの入れたっけ…あ、そうだ、お弁当、鞄に入れたなあ…
そこで意識は途絶えた。
・・・・・・・・・・・・
「第二関門もクリアだね!」
にやにやとした死神が、手をたたきながら由香を出迎えた。
「いつまで続くのよ、これ!?」
「さあ?」
「さあって!」
「さ、次からは学校の門の前から生き返らせてあげる。ここまでやって、もういい、なんてことは無いでしょ?」
「そりゃ、諦めないわよ!」
「おっけー。じゃ、次行ってみよー。」
「軽っ!」
そうして由香はまた生き返った。




