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関西の悪魔

第十六章 大阪での遭遇


横浜工業に負けた玉城と一誠は、気分転換に大阪へ遊びに来ていた。


関東から離れた場所。


二人は、ここで大きな騒ぎを起こす気は無かった。


しかし――


2人は悪魔に出会ってしまった。


繁華街から外れた人混みの無い裏路地に入った途端に、二人の周囲には不良たちが集まっていた。


一人。


二人。


五人。


十人。


さらに増える。全員が鉄パイプを持っていた。


「なんやこいつら。」


玉城と一誠は、鉄パイプなど関係なしに、次々と潰していった。

横浜工業に負けてからの2人は、もう喧嘩では負けないと誓い、日に日に強くなっていたのだ。


たが、終わらない。


倒しても、また新しい相手が現れる。


一誠が苛立つ。


「キリねぇぞ!」


玉城は向かってくる相手をじっと見ていた。


そして気づいた。


相手は、俺らに殴りにかかる直前、一瞬動きが止まったり、耳を澄ましている。


右から来る。


左へ回る。


逃げ道を塞ぐ。


二人を分断する。


よく見ると全員ワイヤレスイヤホンをしており、誰かからの声を聞きながら動いていた。


誰かが指揮している。それに気づいた玉城は周囲をよく見渡す。


そして、その視線の先に――


一人の男が立っていた。



第十七章 友田祐希という男。


友田祐希。


その男は、自分ではほとんど動いていなかった。


ただ、立っている。


そして指示を出す。


「右。」


「そいつを囲め。」


「逃がすな。」


その一言一言に、不良たちが反応する。


自分自身は、決して手を出さない。友田の横には護衛らしき男が2人立っていた。


それに気づいた一誠が祐希へ向かって踏み出そうとした。


「じゃあ、あいつを――」


その腕を玉城が掴んだ。


「待て。」


「なんでだよ!」


玉城は祐希を見る。


周囲の仲間が何人倒されても。


自分の指示通りに動く者たちが潰されても友田は一切動じていない。


むしろ――


笑っていた。


玉城は直感した。


この男は危険だ。


喧嘩が強いだけではない。


この男は――何かが違う。


そして、突然。


友田祐希が手を上げた。


先程から笑っていた顔は消え真顔で

「――もうええ。」


その一言で、周囲の不良たちが止まった。


友田祐希は2人へ向かって歩いてくる。


そして、不敵な笑みを浮かべた。


「真面目なメガネしたおぼっちゃま。」


玉城を見る。


そして、一誠を見る。


「友情ごっこ。偽物の不良。」


一誠の表情が険しくなる。


「てめぇ……。」


友田祐希は笑った。


そして――


言った。


「双子に負けたらしいなー」


二人の表情が止まる。


関門高校と横浜工業。


あの闘いのことを――この男は知っていた。


友田祐希はさらに続ける。

「今度、あの幼稚な双子をいじめて、兄貴とデカい奴の精神を破壊しないとな」


玉城は悟った。

この男は、気づかないうちに俺たちのことを知っている。


第十八章 関西の悪夢


友田祐希は背を向けた。


一誠が叫ぶ。


「待て!」


しかし、友田祐希は振り返らない。


ただ一言。


「いずれ会うやろ。」


そのまま歩いていく。


玉城は黙っていた。


しばらくして、静かに呟く。


「……俺たちは、あいつのことを何も知らない。」


一誠も答えなかった。


関門高校と横浜工業。


二つの高校は、互いに強敵だった。

そして、どちらも仲間を守るために戦っていた。


だが――


関西には、まったく違う世界があった。


大量の不良を自在に操り、やりたい放題な友田祐希。 


警察も彼には手に負えない。一度中学生の時に、少年院へぶち込んで、更生をさせるつもりだったが、友田組組長が権力を使い祐希を少年院から出させた。


ただ、祐希は、自分を指導した少年院の教官を、1人づつ潰していった。

教官が仕事を終え帰宅道中に、不良達に命令し、鉄パイプで死ぬまで殴らせたのだ。


特に、自分をずっと担当していた教官については、家族や親戚、友達を調べて、その人達をヤクザという恐怖を使い、精神を追い詰める嫌がらせを繰り返した。


そして、教官自身には何もせず、ただ自分のせいで身近な人を巻き込んでいるという後悔が生まれた。やがて、耐えられなくなった奥さんと娘さんは自殺をした。

それから1週間後に教官自身も家族のあとを追って自殺をした。


友田祐希は、相手を潰すためならどんな事でもする。


彼の恐怖と支配力、そして戦闘力はまだ誰も理解していなかった。


そして、玉城涼介と新一誠。もちろん、横浜工業、他の関東の不良。誰も知らなかった。


我妻聖都。


さらにその奥には、


5人の武闘派。


そして、その背後には――


友田組。



・・・ここから本当の闘いと地獄が始まるとは。



〜登場人物〜


関東


横浜工業高校

3年 頭 神奈澤麗央

赤と金のスパイラルパーマで、身長163センチ

冷静沈着で、戦場全体を見る観察力に優れる。

双子の弟・凱を何より大切にしている。

凱が危険にさらされた時、本来の荒々しさと未知の戦闘力が姿を現す。


3年 頭 神奈澤凱

麗央の双子の弟。

緑と水色のソフトモヒカン。

荒っぽくヤンチャな性格で、考えるより先に動くタイプ。

兄・麗央への信頼は絶対的。

新一誠との戦いで敗れたことが、麗央に変化を引き起こす。


3年   真壁玄

身長約2メートルで、圧倒的な体格と筋肉。

恐ろしい外見とは裏腹に、普段は非常に優しい。

かつて麗央と凱に助けられたことから、二人を守ることを決意。

二人が危険にさらされた時、普段からは想像できないほどの怒りと戦闘力を発揮する。


関門高校

3年 頭 玉城涼介

金髪に眼鏡をかけ関門高校ナンバーワンの実力。

冷静な判断力と高い観察力を持つ。

様々な修羅場を一誠と潜り、誰が相手でも合理的に闘う。

新一誠とは中学時代からの親友。

横浜工業との喧嘩では、しっかり作戦を立てるが、敗北する。ここから更に強くなるために努力する。


3年 副 新一誠

銀色の短髪。

抜群の身体能力を誇る関門高校ナンバー2。

荒々しく攻撃的な性格で、誰振り構わずすぐ喧嘩を売る。

玉城とは抜群のコンビネーションを誇る。喧嘩では驚異的な身体能力、スピードを武器にする。


2年   武蔵雄治

玉城と一誠より一学年下。

約175センチの筋肉質な身体。

黒髪モヒカン+ツーブロック。

髪には龍のラインが入っている。

「二人を超える」という強い意志を持ち、根性と執念の持ち主。圧倒的な忍耐力を誇り、何度でも立ち上がる。



関西


城山高校

3年 頭 友田祐希

城山高校を支配する男。

友田組組長の息子。

自身も非常に高い戦闘力を持つが、最大の武器は人を動かす指揮命令能力。

不良たちを自在に動かし、相手をどんな手段を使ってでも潰す極悪非道な不良。

横浜工業と関門高校の喧嘩を詳しく知っていた謎多き異質な存在。


3年 副 我妻聖都

城山高校のナンバー2。

薄い金髪と狐のような鋭い目を持つ細身の男。

一見すると弱そうだが、実際には非常に高い戦闘力を持つ。あと、友田祐希が唯一信頼を置いている人物で、たまに相談を持ちかけられる存在。


5人の武闘派暴走族

名前は未だ非公開

普段はほとんど学校に姿を見せないが、現最強クラスと噂される暴走族チーム。

全員が武闘派で、一人一人が別格の実力を持つ。

5人の詳細は、まだ明かされていない。


城山高校の背後に存在する勢力

友田組

友田祐希の父親が率いる組織。

兄が若頭を務める超武闘派ヤクザ。


――第一巻・完――


第二巻へ続く。

第二巻11月投稿予定。

今後は土日のどちらかに更新してまいります。

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