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決戦〜それぞれの優しさ〜

遂に、突然始まった高校同士の喧嘩。

横浜工業高校と関門高校の代表同士がぶつかる

第六章 関門高校 VS 横浜工業


そしてある日。

関東の最強を決めるという事で、関門高校と横浜工業が激突する。


最初に向かい合ったのは、


神奈澤麗央 VS 玉城涼介


神奈澤凱 VS 新一誠


真壁玄 VS 武蔵雄治


だった。


しかし、それはあくまで最初の形。


この戦いは、最初から最後まで三対三。


麗央も玉城も、常に戦場全体を見ている。


仲間が危なくなれば動く。


真壁も、麗央や凱が危険になれば迷わず割って入る。


それぞれの仲間を守るための戦い。


それが、この激突だった。



第七章 それぞれの闘い


ー麗央と玉城ー


二人の闘いは、静かだった。


激しくぶつかっているにもかかわらず、互いに相手の動きを読もうとしている。


麗央が動けば、玉城が対応する。


玉城が仕掛ければ、麗央が読む。


二人とも、目の前だけを見ていない。


戦場全体を見ながら闘っている。


だが――


通常の状態では、玉城がわずかに上だった。


麗央にも十分勝機はある。


しかし、玉城は少しずつ麗央を追い込んでいった。



ー凱と一誠ー


凱と一誠の戦いは、まったく違った。


凱は真正面から攻め、一誠は、それを圧倒的な身体能力で受け止める。


凱が踏み込む。


一誠がかわす。


一気に距離を詰める。


凱が防ぐ。


しかし、一誠の攻撃は止まらない。


凱も何度も立ち向かう。


それでも――


徐々に差が広がっていった。


一誠は底の知れない持久力があり、脅威的な身体能力を持ち、凱は翻弄されてばかり。


そして最後。一誠のスピードと手数に圧倒され、凱はその場に倒れ、意識を失った。


「凱……!」


その姿を、麗央は遠くから見ていた。



ー真壁と武蔵ー


フィジカル対決ではあるものの、真壁はあまりにも大きかった。


身長、体格、力


すべてが違う。


武蔵は何度も押し返される。

真壁の圧倒的な力と体格に武蔵は、なす術もない状態。


それでも立ち上がった。


「まだ……だ!」


また立つ。


そして、また向かっていく。


真壁に完全に遅れをとっているが、、、。

それでも武蔵は諦めない。


真壁「こいつ、いつまで闘うんだよ。ちょい疲れてきたなー」

真壁の緩い独り言を無視し、武蔵は何度も立ち上がる。


武蔵の限界はとうに超えているはずなのに。ただ、武蔵の拳も真壁に何度も当たっている。



第八章 関門高校の作戦


実は関門高校には、明確な勝ち筋があった。


まず一誠が凱を沈める。


その後、玉城と一誠の二人で麗央を抑える。


その間は、武蔵が真壁に倒される事なく、なんとか耐えてもらう。


そして最後に――


三人で真壁を相手にする。


真壁を一人で相手にするのは危険というのは、はじめから分かっており、だからこそ、最後はチーム全体で対応する。


それが玉城の作戦だった。


そして、その作戦は完璧に進んでいた。


凱は倒れた。


武蔵も限界を迎えていたが、まだ立っていた。


麗央は今、俺が押している。優勢である。

一誠はまだまだ余力がある。


関門高校の勝利は、目前だった。


――そのはずだった。



第九章 麗央、目覚める


凱が倒れている。


その姿を見た麗央の表情が変わった。


玉城が気づく。


「……?」


今まで冷静だった麗央。


その目から、冷静さが消えていく。


戦況を分析する目ではない。


相手を読む目でもない。


そこにいたのは――


小学生の頃の麗央だった。


凱を守れなかったことを悔やんだ、あの少年。


怒りを抑えられなかった、あの頃の自分。


麗央が踏み込む。


速い。


荒い。


そして――


強い。


玉城が押され始める。


「……何だ、こいつは。」


一誠も驚く。


二人が知っている麗央は、冷静な男だった。


しかし今の麗央は違う。


凱を守るためだけに動いている。


血の神奈澤兄弟の兄。神奈澤麗央が目覚めた。



一誠が玉城に加わる。


玉城と一誠。


二対一。


関門高校が最も得意とする形。


しかし――


麗央は止まらなかった。


攻撃を受けても前に出る。


押されても踏み込む。


凱の姿を見るたびに、さらに強くなる。


玉城は初めて理解した。


自分たちは――


麗央の本当の限界を知らなかった。




第十章 真壁玄、怒る


その光景を見ていた真壁。


倒れている凱。


変わってしまった麗央。


そして、麗央を追い詰めようとする玉城と一誠。


真壁の表情から、優しさが消えた。


「……麗央。」


低い声。


そして、凱を見る。


「……凱を、傷つけたのか。」


その瞬間。


真壁の雰囲気が変わった。


今まで、真壁に何度も殴られ、蹴られ、投げ飛ばされても耐えてきたが、真壁の力がより一層強くなり、強力なタックルにより、武蔵は膝から崩れ落ちた。


あまりにも一瞬だった。

武蔵雄治、完全に戦闘不能。


武蔵は最後の力で立ち上がろうとするも身体は動く事はなかった。



戦場に残ったのは――


神奈澤麗央。


真壁玄。


玉城涼介。


新一誠。


四人だけだった。




第十一章 境界線


二対二。


しかし、そこにいる四人の状態はまったく違っていた。


玉城は冷静。


一誠もまだ動ける。


一方で――


麗央は、玉城と新が知る姿ではなく、殴っても殴っても、全く効いてる気がしなく、むしろ怒りが強くなっていた。


そして真壁もまた、凱を守りきれなかった怒りと、麗央は絶対に潰させないと、はじめと全く別人になっていた。



関門高校は強い。


チームワークも上。


作戦も完璧だった。


それでも――


ここから先は、計算だけでは届かない領域だった。

玉城は冷静だった。


一誠も強い。


二人の連携も完璧。


だが、一つだけ計算できなかったものがある。


それは――


麗央と真壁の、仲間を守るための強さ。


もし玉城に、さらに上の力があったなら。


もし一誠にも、まだ隠された力が残っていたなら。


結果は変わっていたかもしれない。


だが、この時の二人には、まだその先はなかった。


一方の横浜工業には――


誰も知らなかった強さの境界線があったのだ。



第十二章 突然の決着。


一誠が麗央へ向かって踏み込む。


麗央が迎え撃つ。


玉城も加わる。


真壁も動く。


戦場は一気に激しくなった。


麗央はただ勝つために戦っているのではない。


ただ一つ。


凱を傷つけられた怒り。


そのためだけに動いている。


真壁も同じだった。


自分がどうなってもいい。


麗央を守る。


それだけだった。


玉城は最後まで冷静に戦った。


一誠も最後まで諦めなかった。


だが――


少しずつ。


ほんの少しずつ。


横浜工業が押し返していく。

最後の攻防。


玉城の攻撃を麗央が受け止める。


麗央が倒れかける。


それでも――


耐える。


玉城の表情が変わった。


「……まだ倒れないのか。」


麗央は答えない。


ただ、凱を見る。


そして再び構える。


その横では、一誠と真壁も最後の攻防を繰り広げていた。


一誠が圧倒的なスピードで踏み込む。

まだまだ余力を残していたので、さらに手数が増え、真壁に何もさせない。


たが、真壁が受け止めながら、壁に向かって投げ飛ばした。


そして――


一誠が膝をついた。


真壁の圧倒的な力に、一誠は全く対抗出来なかった。


ほぼ同時に。


玉城も立っていられなくなった。


静寂。


武蔵は倒れている。


凱もまだ意識が戻らない。


一誠も動けない。


玉城も立てない。


最後まで立っていたのは――


神奈澤麗央。


そして、


真壁玄。


横浜工業だった。




第十三章 関門高校の敗北


玉城は、倒れながら麗央を見る。


そして理解した。


自分たちの作戦は間違っていなかった。


むしろ、ほぼ完璧だった。


一誠が凱を沈めた。


玉城は麗央を押していた。


武蔵も真壁との激戦を耐えていた。


それでも――


最後に勝ったのは横浜工業だった。


理由は一つ。


麗央と真壁が、仲間を守るために自分たちの限界を越えたから。そして真の戦闘力を発揮した。


玉城は静かに呟く。


「……俺たちは、あいつらの限界を知らなかった。」


その日。


関門高校は初めて知った。


横浜工業には、


仲間を傷つけられた時だけ見せる更なる強さ

があることを。


しかし、真壁玄は、凱だけではなく麗央までも潰された時に、更なる怒りが湧き、強さのリミッターが外れるのを誰も知らなかった。


そして、真壁玄は、麗央と凱を肩に担ぎ、去っていった。


「俺たち。まだまだだな。一誠、あいつらみたいに、もっと仲間思いで、何かを守る強さが必要なのかもな」


玉城からそう言われた一誠は何も話す事は無かった。

次回は、喧嘩が終わり関西に遊びに来た玉城と一誠が、ある人物に出会う。

それは、俺たちみたいな仲間思いで助け合うチームではなく、極悪非道な不良が束ねる不良高。そしてそいつらを支配する関西の悪魔に戦慄する。

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