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恋を知らない先輩が近すぎる  作者: 月城琴晴


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第2話 先輩は離さない

俺の教育係は、

きちんとした美人で、優秀だった。

スタイルもいい。


俺としては、

「あ……当たりだ」

って思った。


普通に。


学生時代の友達に、話していた。

「教育係美人なんだよね。最高」

「マジか。いいな」

そんな軽い感じで俺はいた。


この時の俺は、何も考えていなかった。


「川上君。あのね……この資料の作り方、これ使った貰ったほうがいいかも」

「そのほうが楽だよ」

「でね……例えば、どういう感じかっていうと……。」

「ケーキとマカロンがあって……」


「え?」


例えが、なんでスイーツ?


「わかった?」

「……はい」


通常先輩は例えがおかしい。


ある時はこうだった。

「川上君、一緒にお昼ご飯食べようか」

「はい」


俺の袖を、掴まれた。


「え?」


距離が、近い。


「こっちだよ」


でも、本人は全く何も考えていない。

おそらく。


最初は策略なのか?って思った。


しかし、この先輩は……通常運転だ。


「あれ?髪に何かごみついてる。」

「取ってあげるね」


俺のこと好きなのか?


いや、勘違いするな。

先輩は普通だ。


……多分。


その様子を藤田さんが見ていた。

……やっぱり、彼氏いるじゃん。


俺にやたら距離が近い。

俺はドキドキしてしまう。

美人だし、俺の好みなんだよ。


藤田さんには、そんなに近くない気がするのに。


……何なんだ、この人。


教育係のくせに、

時々、俺を誘惑してくる。


……いや、違う。


誘惑してるわけじゃない。


この人は、ただ。

距離がおかしいだけだ。


……多分。


俺の袖を掴む。

腕を掴む。

髪を撫でる。


……いや、近いだろ。


一人でドキドキして、

一人で困惑する。


「川上君」


そう呼ばれるだけで、

心臓が跳ねる。


藤田さんが彼氏なんだろう。

そっちに行けよ。

……俺を惑わすな。


俺は大したことできないのに、

ちょっとしたことで喜んでくれる。


「やったね」

「すごい」


俺の資料の出来が良ければ、すごく喜んでくれて、

……ちゃんと、俺を見てくれる。


その喜び方が、近い。


片桐さんに怒られたときも、

大丈夫?って聞いてくれて、

できない俺をかばって、

俺が失敗したのに、

「私がやりました」って言ってくれて……

先輩は優しい。


……片桐さん、全部知ってるだろ。


好きにならないわけ、ないだろ。


いつもズレたことばかり言うのに、


俺はもう、先輩に落ちていた。


きっと……

教育係に決まったあの時から、

始まっていた。


先輩。


なんで、藤田さんと付き合ってるんだよ。


諦めないといけない。


……わかってる。


わかってるのに。


俺は、

毎日、諦められない。


でも、教育係が終わるまでは、

先輩は俺と一緒にいてくれる。


だから、少しだけ好きでいていいよな。


あれからも、ずっと。

藤田さんとは、続いてる。


……多分。


時々、一緒にいるし。


仲もいい。


二人で飲みに行ってるのも知ってる。


……入れない。


だから、誰も先輩に行かない。


結構人気はあるのに。


……藤田さんがいるから。


それでも、彼女も作れない。

……重症だ。


だから、俺はかわいい後輩でいる。

近くにいるために。


ある日、片桐さんに聞かれた。

「あのさ……川上」

「違う部署からも来てほしいって言われてるけど、どうする?」

片桐さんは、チラリと先輩を見た。


「いや、俺は……片桐さんの下がいいです」


「お前、そんなこと言って……」

「わかってるんだぞ」

肩を竦める。


「……何のことです?」


「じゃあ、適当に俺が言っておくよ」

意外に、片桐さんは配慮してくれる人だ。

口は悪いし、厳しいけど。


俺はやっぱり、先輩と離れられない。

先輩に、恋をしている。


片桐さんは、

区切りをつけるか聞いてきたんだろう。


……わかってる。

でも、無理だ。


やっぱり俺は、先輩を選んでしまった。


言えないまま、

俺の恋は続いていく。


ある日のことだった。

「先輩、この資料できたんですけど……」

「どうでしょう」


「どれ?」

「ありだねー。良い出来だから、後で片桐さんに見てもらおう」


「あ……ちょうどお昼だ」

「ご飯食べに行こう」

「今日は前祝いに外に行こう」


――この距離は、

きっと、どこかで壊れる。


それでも――


「先輩」


呼んだだけで、こっちを見る。


そんな顔、するなよ。


……離れられなくなるだろ。

本作を読んでいただき、ありがとうございました。


この先の展開を含めて、

Kindleで1巻としてまとめています。


距離が近すぎる先輩との関係が、

さらに進んでいく話になっています。


気になる方はぜひ。

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