side 勇者パーティー 09
「オーウェン、君宛の手紙だ。」
「手紙?」
宿に戻ったところで、ウィリアムが封筒を手渡してくれる。
常にクエストなどで動き回っている冒険者に手紙とは珍しい。
いったい誰からかと差出人を確認してみると、王都のギルド長からだった。
礼の手紙かと思って中を確認すると、至急のクエストが発生したので、協力してもらえないかとのこと。
「わざわざ俺たちを指名してくるとは、一体どういうことだ?」
「え、何?パーティに関わる事?」
俺の独り言に反応したウィリアムに、手紙を渡す。
それに目を通したウィリアムは少し嫌な顔をした。
「この内容、悪い予感しかしないんだけど。」
「同感だ。」
二人で目を見合わせて苦笑いした。
とはいえ、まずは話を聞いてみないと始まらない。
俺たちは王都へと旅立つことにした。
となれば、その前にリアに挨拶を、と思い、自警団に顔を出した。
「オーウェン?!こんなところまで来て、どうしたの?」
「実は、冒険者ギルドから連絡が来てな・・・。至急対応してほしいクエストがあるらしい。」
「そっか・・・。わざわざオーウェン達を指名してくるなんて、また危険なクエスト?」
「ああ、まあSSランクのクエストだろうな。」
そう聞いて、不安そうな表情になるリア。
そんなリアを可愛く思いながら、安心させるように頭を撫でた。
「また必ず無事で戻ってくる。安心してくれ。」
「・・・うん・・・!」
リアが必死で笑顔を作って返事をする。
そうして、俺達はまた村から旅立った。
王都のギルドに着くと、ギルド長が自ら迎え入れてくれた。
「オーウェン様ご一行、先日は誠にお世話になりました。にも拘わらず、このようにお呼びだてして申し訳ありません。」
「いや、それはかまわないが、何があったんだ?」
「実は・・・。」
ギルド長が語るにはこういう内容だった。
クエストの依頼主は隣国の王らしい。
そしてその内容は、襲ってくるドラゴンを傷つけること無く牽制し、ドラゴンのそばに突き立ててある剣を取ってくること。
何でも、隣国であるカイヤナイトでは、80年に一度、儀式を行うらしい。
それは国の守り神として崇めているドラゴンに、新しい宝剣を捧げるというものらしい。
ドラゴンは、カイヤナイトの王族の血に反応するらしく、王族であれば襲ってはこないらしい。
そこで、儀式のたびに職人が作った宝剣を、王がドラゴンに捧げていたのだ。
ところが、前回その儀式を行った王は破天荒なことで有名だったらしく、石でできた台座に置くだけで良かった剣を、荒業で突き立てたのだ。
それが、現在の王族には抜けないくらい強く刺さってしまっているらしい。
「で、その前の王様の尻拭いを僕たちにしてくれって?」
ウィリアムが呆れた声を出す。
「襲ってくるドラゴンに傷をつけずに・・・って、無理じゃない?」
エブリンも渋い顔をしている。
「おっしゃる通り、無茶な内容なのです。ですが、我が国としては隣国に恩を売っておきたいという思惑もあるようで・・・。こんなことを頼めるとしたら、オーウェン様ご一行くらいしか・・・。」
ギルド長も恐縮しながらそう話す。
俺はしばし考える。
隣国との関係は、決して良好とは言い難い。
ここで恩を売っておけば、確かに外交という面では有利になるだろう。
だが、俺たちは一介の冒険者だ。
国の外交なんて、正直に言えば関係のない話だ。
それでも。
「わかった。引き受けよう。」
俺はそう結論付けた。
「ちょ、オーウェン本気?!私たちには関係ないじゃん!」
エブリンが俺に言葉を投げる。
「確かに、関係は無いな。だが、隣国と戦争にでもなったらどうだ?民に犠牲が出るのを見過ごせるか?」
「うっ・・・。たしかに・・・。」
実を言えば、俺たちは皆、孤児院で育ってきた。
戦争で親を亡くす辛さはよく分かっている。
「恩を売って、戦争が回避できるなら安い物だろう?」
「でも、本気で出来ると思う?」
ウィリアムが確認してくるが、俺は力強く頷いた。
「俺たち全員が力を合わせれば、きっと上手くいく。」
俺のその言葉に、皆やれやれと首を振りながらも了承してくれたのだった。
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