026 進展?
そうして、涙も気持ちも落ち着いた頃、私はこの後どうしたら良いのか分からなくなっていた。
混乱していて、気付いたらオーウェンと密着していたのだ。
その上、この状態が心地良いものだから、さらに困っていた。
(嬉しいけど、このままって訳にもいかないよね。)
少しだけ冷静になって周りを見る余裕が出来た私は、食堂のおばちゃんと目が合った。
ここは食堂という公共の場で、決していちゃつく場所ではない。
しかしおばちゃんは、ものすごく良い笑顔でウィンクしてきた。
まるで、もっとやって良いと言わんばかりの顔だ。
瞬間、顔を真っ赤にした私は、ガタン!と盛大に音をたてて立ち上がった。
「すすす、すみません!すっかり甘えてしまって!」
オーウェンと距離を取りつつ、慌てて謝る。
田舎ネットワークによって、今日中には今の出来事が村中に知られるだろう。
(私は、なんて迂闊なことを!!)
脳内でのたうち回る。
そんな私をよそに、オーウェンは少しだけ残念そうな顔をした。
「かまわない。むしろ、もう少しリアに触れていたかったくらいだ。」
「へ?う・・・。あ・・・?」
恥ずかしさのあまり言語機能が崩壊してしまった私は、変な声を上げることしかできない。
オーウェンは立ち上がると、私の頭を優しく一撫でしてから、自分の席へと戻った。
私もおずおずと席に座りなおす。
(なんかオーウェン、甘くない?!)
私が泣き出してしまった後くらいから、オーウェンの態度が少し変わった気がする。
これまであった遠慮が無くなったというか、さらに優しくなったというか・・・。
ていうか私、ほとんど告白みたいなことを口走ってなかった?!
え、てことはオーウェンにもう私の気持ちがバレたってこと?
うわぁぁぁぁぁぁ!
い、いたたまれない・・・!
と、ちょうどそこで、おばちゃんがサンドイッチを持って来てくれた。
どうやらタイミングを計っていたようだ。
照れ隠しに、それにかぶりつく。
オーウェンはスープに口を着けつつ、そんな私を微笑ましく見つめていた。
(冷静になれ、私!まだ決定的な言葉は言ってないんだから、大丈夫よ!)
何がどう大丈夫なのかは分からなかったが、そう自分に言い聞かせた。
お互いに無言のままの食事が続く。
しかし、不思議と苦痛ではなかった。
オーウェンがリラックスして食事を楽しんでくれていたからかもしれない。
おかげで、食後のコーヒーにたどり着くころには、私も少し冷静になれた。
「あの・・・。今回は、いつ頃までここにいられるんですか?」
「そうだな。色々あって疲れているから、しばらくの間は休みたいと思っている。」
「なら、またこうして会えますか?」
勇気を出してそう聞けば、オーウェンは嬉しそうに笑った。
「ああ、もちろんだ。また話そう。」
そう言ってもらえて、私も精一杯の笑顔を返したのだった。
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