025 抑えきれない気持ち
こうして、オーウェンと二人、食堂に来たのは良いものの・・・。
好きだと自覚したばかりなので、どう振るまえば良いのか分からない。
えっと、今まではどうしてたんだっけ・・・?
二人きりという急なこの状況に、私の頭の中はパニックを起こしている。
「リアは、変わりなかったか?」
「あ、はい。特には・・・。」
せっかくオーウェンが話しかけてくれているのに、気の利いた返事すらできない。
オーウェンは、一人でべらべらと話すタイプの人ではない。
どちらかというと、聴くのが上手な人だ。
だから、今度は私から話題を、と必死で頭を回転させる。
「えっと、超上級ダンジョンは大丈夫でしたか?」
「そうだな・・・。」
オーウェンはどう話そうか考えているようだ。
どうやら、以前に冒険の話を聞いたときに、あっさり説明を終えてしまったことを気にしているようだ。
「超上級だけあって、遭遇するモンスターのレベルが高くてな。一体を相手にするだけでも大変なのに、前後で挟み撃ちにあったりもして、苦労したな。」
「挟み撃ち?!大丈夫だったんですか?」
「俺たちはそれなりに長くパーティーを組んでいるからな。細かく話さなくても、咄嗟に連携することができるんだ。だから、上手く手分けして何とか倒した。」
「そうですか。良かった・・・。」
私がホッと胸をなでおろしていると、オーウェンが言った。
「だいぶ心配をかけてしまったみたいだな。すまない。でも、こうして気にかけてもらえるのは嬉しいものだな。」
「心配するにきまってるじゃないですか!だって、超上級ダンジョンですよ?もう会えないかもしれないと思ったら、不安で仕方なかったです。」
私がちょっとだけ不機嫌になってそう言うが、オーウェンは相変わらず嬉しそうなままだ。
「俺にまた会いたいと、そう思ってくれていたのか?」
「それ、は・・・。」
聞かれたことを咄嗟に否定しようとして・・・でも、できなかった。
だって、事実だもの。
他のパーティーメンバーの皆さんだって一緒に行っているのに、一番に考えてしまうのはオーウェンの事で。
とにかく、無事にまたオーウェンに会えるようにと毎日祈っていた。
そのオーウェンが今、こうして無事な姿で目の前に座っている。
何だか泣きそうになってしまった私は、涙をぐっとこらえる。
そしてグチャグチャな心のまま言葉を吐き出した。
「会いたかったですよ。悪いですか?このペンダントを見るたびに思い出して、心配して。でも、こうして無事に帰って来てくれて、私がどれだけホッとしたか、わかりますか?私ばっかりこんなに不安になって、オーウェンはズルいです!」
何故か不機嫌な言い方になってしまう。
安心して、嬉しくて、本当は笑っていたいのに、上手くできない。
そんな私の混乱をなだめるように、オーウェンの手が私の手に重なった。
「心配してくれてありがとう。不安にさせて、悪かった。」
オーウェンが私の目を見て、真摯にそう言ってくれるから、こらえていた涙が溢れだしてしまった。
そのまま、みっともなくグシグシと泣いてしまう。
「無事で、本当に良かった・・・。」
私がそう呟くと、対面に座っていたオーウェンが私の隣に移動して、そっと肩を抱いてくれる。
私はそれに甘えて、オーウェンに体を預けたまま、ひとしきり泣き続けたのだった。
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