024 勇者様ご一行の帰還
オーウェンへの気持ちを自覚し始めてしばらくたったころ。
その日お休みだった私は、自分の部屋で一人、ボーっとペンダントを眺めていた。
そう、オーウェンが贈ってくれた、あの青い鳥のペンダントだ。
先日、クロエさんに指摘された後も、気付けばオーウェンの事を思い出したり心配したりしていた。
そのたびに
(いや、他のパーティーメンバーも一緒だから!)
と自分で自分にツッコミを入れていた。
国中に、いや国外にもその名を知られている凄腕の勇者様。
だから、私とは違う世界の人だと思っていた。
でも、私が実際に目にしたその人は、不器用に、けれど一生懸命に私の気を引こうと頑張っていて。
たまに暴走しちゃうときもあるけれど、それを止めてくれる素敵な仲間に囲まれていて。
「会いたい、なぁ・・・。」
思い出すほど、その気持ちが強まってくる。
切なくため息をこぼした、まさにその時。
「勇者様ご一行のお戻りだ!」
村の入り口で誰かが大声を上げた。
私はその声を耳にするなり、慌てて家を飛び出した。
息を切らせて村の入り口へ向かう。
そこには、歓迎する村人たちに挨拶をしながら、村に入ってくるオーウェン一行がいた。
全員、ケガをかばうような様子もなく、普通に歩いている。
その姿に安堵し、思わず口から言葉が漏れた。
「オーウェン・・・。良かった。」
その言葉は独り言のような小さなつぶやきで、きっとオーウェンまでは届いていなかった。
でも、まるでその言葉に反応するようにオーウェンは私と目を合わせ、ふわりと微笑んだ。
「リア。久しぶりだな。」
私の方へと近づきながら、オーウェンが話しかけてくる。
私はあまりのタイミングの良さにドギマギしながら答える。
「お、お久しぶりです、オーウェン。ケガとかは無いんですか?」
「心配してくれたのか?ありがとう。大丈夫だ。傷一つない。」
そう言って、オーウェンは体を見せるように両手を広げる。
その胸に飛び込みたくなってしまった自分をぐっとこらえる。
(どうしよう、オーウェンが前よりさらに格好良く見える・・・!)
擦り寄って、懐きたくなる衝動を無理矢理抑え込む。
こうなっては、もう否定のしようがない。
私は、オーウェンの事が好きなのだ。
だから触れたいし、触れてほしいと思ってしまう。
すると、オーウェンが私の首元に手を伸ばす。
私はドキン!と心臓が跳ねるのを感じながら、身動きできずにいた。
「このネックレス、着けてくれているんだな。嬉しい。」
ネックレスに触れたオーウェンの指が、私の鎖骨をかする。
それだけで、頭が沸騰してしまいそうだった。
私は真っ赤になりながら俯き、言葉を絞り出した。
「私の、宝物、ですから・・・。」
オーウェンは私の言葉に目を見開いた後、嬉しそうに笑ってくれた。
「そうか。良かった。」
そこではたと、生暖かい視線を感じた。
他のパーティーメンバーの皆さんや村人たちがこちらを見ている。
「あ、あの!皆さんも無事に戻られて、何よりでした!」
慌ててエブリンさん達の方へ行く。
「いやいや、私らは良いからさ、オーウェンの相手してやってよ。」
「あんなに嬉しそうなオーウェンの顔、始めて見たわ。」
「そうそう。二人で食事にでも行ってきなよ。僕らは遠慮するからさ。」
パーティーメンバーの皆さんにそう言われてしまい、私はオーウェンと二人で食堂に向かうことになってしまったのだった。
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