side 冒険者ギルドの母娘 05
「はぁ・・・。オーウェン様は相変わらず素敵だったわ・・・。」
オーウェン一行を見送った後、レイラはうっとりと呟いた。
(今日もパパの心配をしてくれるなんて・・・。やっぱり私の事が好きなのね!オーウェン様ったら!)
そんなことを考えて、ニマニマしてしまう。
少しすると、奥の部屋へ行っていたメイサが出てくる。
その後を、顔面偏差値が平均点な冒険者が追いかけていた。
「待ってください!俺たちも好き好んで低ランクのクエストばかりやっていたわけではありません!今は高ランククエストが無いと聞いて、仕方なしに低ランククエストをやっていただけです!」
そこで冒険者の男は、レイラに気付いて声をかける。
「そうですよね?!あなたが低ランククエストしか今は無いって言ったんですよね?!」
しかしレイラはしれっと躱した。
「さあ?覚えていません。」
「そんな・・・!Cランククエストまでしか無いって、あなたが言ったんじゃないですか!」
「えぇ~?私、知りません。」
あくまでもレイラは知らぬ存ぜぬを貫き通す。
「俺たちはそう言われたから、仕方なしにCランククエストをやっていたんだ!それなのにここを追い出されるなんて納得できない!」
冒険者の男は、そう声を荒げる。
そこに、とんでもない声量の怒号が響いた。
「何をやっとるんだ!!お前たちは!!!!!!」
耳がキーンとする中、その怒号の主を見たメイサとレイラは目を見開いた。
「あんた、どうして?!」
「パパ、何でここに?!」
それぞれに驚愕の表情を浮かべる。
そう、そこには怒りの形相のギルド長が立っていたのだ。
「冒険者の皆様あってこそのギルドだ!それなのに追い出す?!ふざけるのもたいがいにしろ!!」
ギルド長はその現場を目撃してしまったこともあり、怒り心頭の様子で、頭から湯気でも出てきそうなほどである。
「私たちは悪くない!」
しかし、そんなギルド長を前にしてもなお、メイサとレイラは異口同音に無実を訴えた。
「ここは王都のギルドだ、一流の冒険者だけにしてギルドとしての成績を上げた方が良いだろう?!私はそう思ったから、ギルドの為にやったんだよ!」
「それなら、何故こちらの方々に高ランクのクエストを紹介しなかったんだ?!」
メイサが主張すると、今度はギルド長の矛先がレイラへと向く。
「た、たまたま高ランクのクエストが無かったのよ!その人たちのタイミングが悪かっただけ!」
「ここは王都のギルドだぞ?!高ランクのクエストが無いなんてこと、まずありえない!」
ギルド長はレイラの言い訳を一刀両断にする。
レイラは言葉につまるが、今度はメイサが口を開く。
「そもそも、あんた何でそんなに元気なんだい?!今朝までは起き上がれなかっただろう?」
「こちらのオーウェン様ご一行が万能薬をくださったんだ。お前たちの悪行を止めるためにな!!」
そう言われて始めてギルド長の後ろにオーウェン達がいることに気付いたメイサとレイラ。
メイサはオーウェン達にも牙をむいた。
「余計なことをしてくれたね!せっかく時間をかけてここまでやってきたのに!」
「・・・つまり、ギルド長に毒を飲ませていたことを認めるんだな?」
オーウェンの返しに、メイサは一瞬しまったという顔をしたが、すぐに開き直った。
「そうだよ!こいつに任せていたら、このギルドの成績が上がらないからね!全てはギルドの為さ!」
「わ、私は、ママに言われて仕方なく協力してただけなんですぅ!」
メイサの様子を見て慌てたレイラは、そう言ってオーウェンに縋りつく。
豊満な胸の谷間を強調するようにして、しくしくと泣き始める。
「ほんとは、悪いことだって分かってました。でも、ママを止められなくて・・・。」
「レイラ!あんた私を裏切るつもりかい?!」
オーウェンは感情の無い目でレイラを見て、低い声を落とした。
「君自身に嫌がらせを受けた冒険者たちの証言も多数あがっている。君もギルド長代理と同罪だろう。」
そう言われてレイラは呆然とした。
てっきり好意を抱いてくれていると思っていたオーウェンに突き放された。
女としての自分に自信のあったレイラとしては、衝撃的だったのだ。
「そんな・・・。オーウェン様・・・。」
伸ばされたレイラの手を、オーウェンは避けた。
「不快だ。触らないでくれ。」
はっきりと拒絶され、レイラの中で何かが切れた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
叫び声をあげたレイラは、キッとメイサを睨んだ。
「こうなったのも全部ママのせいよ!」
「なんだって?!」
「だって、ママが最初に言い出したんじゃない!ギルドの成績が上がれば、王宮からの支援金が増えるはずだって!だから無能な冒険者は切り捨てて行こうって!」
「ああ、そうだよ!金の為にやったんだ!」
「その為に私はオーウェン様に振られたのよ?!何不自由ない楽な結婚生活が待ってるはずだったのに!」
メイサとレイラの言い合いを、ブルブルと震えながら聞いていたギルド長が怒鳴る。
「いい加減にしろ!!!!」
そして、二人を見据えてさらに続けた。
「メイサ、お前とは離縁する。レイラ、お前ももう娘とは思わん。二人で修道院にでも入るんだな。」
さらに、つい先ほどまで追い出されそうになっていたパーティーに、ギルド長は深く頭を下げた。
「こんなことに巻き込んでしまって、大変申し訳ない。もちろんここのギルドの登録はこれまで通りにするので、安心してください。」
そうして、まだ何かギャアギャアと騒いでいるメイサとレイラを、ギルド長は力づくでギルドから引っ張り出し、そのまま修道院に押し込めたらしい。
修道院での清廉な生活で、二人が改心するのかどうか・・・。
それは、誰にも分からない。
ありがとうございました。
少しでもスッキリした方は、下の「☆☆☆☆☆」をポチっとして評価をお願いします。
また、ブックマーク登録をしていただけると、七瀬のやる気がチャージされますので、よろしくお願いします。




