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023 心配する人は

オーウェン達が超上級ダンジョンに向かった後。

私はオーウェンの事を考える時間が増えていた。

例えば鏡を見た時、約束通り毎日つけているペンダントに目が留まり、オーウェンを思い出す。

例えば討伐でモンスターを倒した時、強力なモンスターと戦っているだろうオーウェンの事を心配する。

こんなに一人の男性の事をいつも考えているなんて、初めての経験だった。


「オーウェン・・・大丈夫かな・・・?」


思わず口をついて心の声が漏れた。

それを、一緒に女湯の警備をしていたクロエさんが耳にして励ましてくれる。


「超有名な勇者パーティーですもの、大丈夫ですよ!超上級ダンジョンって言っても、始めて行く場所ではないはずですし。」


そう励ましてくれた後、クロエさんはニマニマし始める。


「ていうかリアさん。パーティー全体ではなく、オーウェンさんだけを心配してません?」


指摘されて、自分でも始めて気が付いた。

確かに、オーウェンの事しか考えていなかった。

他の皆だって、一緒に超上級ダンジョンに入っているはずなのに・・・!

自覚した途端、頬に熱が集まる感覚があった。


「い、いや、そんなことないよ?皆を心配してるよ?」


慌ててそう取り繕ったものの、気づいてしまった。

オーウェンの事ばかりを考えていたことを。


(私、あれだけお世話になったエブリンさんとグレースさんの事すら忘れてたなんて・・・!)


自分でも自分が信じられない。

そうだ、ペンダントだ。

このペンダントで思い出すことが多かったから、オーウェンの事ばかりだったんだ。

そう、自分の気持ちをごまかしながら、けれどうっすらと気づき始めていた。

私が、オーウェンに好意を抱き始めていることを。


(オーウェンに、会いたい・・・。)


会えば、自分の気持ちもハッキリする気がする。

お願いだから、無事で戻って来てと祈らずにはいられなかった。



そんな私の切ない思いとは関係なく、今日も今日とてトラブルはやってくる。

女湯に一緒に入るには大きすぎるように見える男の子を連れた女性がやってきたのだ。


「すみません、お子さんの年齢を伺ってもよろしいですか?」

「10歳だけど、それが何か?」

「あー・・・。村の決まりで、女湯に連れて入れるのは9歳までなんです。10歳なら、男湯にお願いします。」


そう告げると、女性は目を吊り上げた。


「こんな小さな子を一人でお風呂に入れるなんて、危険よ!一緒に入るわ!」

「男湯にも自警団員がいて、見守りますから、大丈夫ですよ。それか、貸し切りで入れる家族風呂もありますから、そちらでも・・・。」

「家族風呂じゃ、小さいじゃない!私は大きなお風呂に入りたいのよ!」

「でしたら、お子さんは男湯に・・・。」

「一人でお風呂なんて危ないから、うちの子にはまだ無理よ!」


女性は金切り声をあげる。

堂々巡りで会話にならない。

そこで、悲しげな顔をしていた男の子が声を上げた。


「ママ、僕もう一人で入れるよ。男の子なのに、女の子と同じお風呂は嫌だ。」


それを聞いて、女性は驚愕の表情を浮かべる。


「そんな・・・!無理しなくて良いのよ?こんな奴の言う事なんて聞かなくて良いんだから。」


こんな奴呼ばわりされた私はカチンとくる。


「お姉さん、ごめんなさい。僕は男湯に行くよ。」


しかし男の子はとても礼儀正しく、そう言って頭を下げ、脱衣所を出て行こうとする。

女性はそんな男の子を慌てて追いかけて行った。


「やれやれ・・・。」

「ああいう人、中々いなくなりませんねぇ。」


クロエさんと二人、苦笑する。

我が子を大切にするのは良いことだが、周りの迷惑を無視した過保護はよろしくない。

実は村では以前から問題になっており、最近になって年齢制限を設けたのだ。

きちんとしたルールができたことで、格段に対応しやすくなった。

また、男湯の警備担当は、一人でやってきた子供をそっと見守ることも仕事となった。

小さな村なので、毎日来ているようなおじちゃんは、そういう子供にも気さくに声をかけてくれる。


「おう、坊主!一人か?偉いな!ちゃんと隅々まで洗うんだぞ!」


といった具合だ。

必要そうなら、温泉でのマナーもそういうおじちゃんか、警備担当が教えてあげることもある。

だから10歳ともなれば、一人で男湯に入っても何ら問題は無いのである。

まあ、女性は基本的に男湯には入らないから、そんな内情も知らないよね。

私も男湯の警備担当から話を聞くまでは知らなかったし。

そんなわけで、今日も滞りなく仕事を終えるのだった。



ありがとうございました。


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