side 冒険者ギルドの母娘 04
「例のクエスト、コンプリートしてきたぞ。」
王都の冒険者ギルドの入り口をくぐり、開口一番そう言った男がいた。
「あっ!オーウェン様ぁ!聞きました!コンプリートおめでとうございますぅ!さすがですね!」
レイラはニコニコと愛想良くオーウェンに答える。
「風の噂で、ギルド長が病気だと聞いたんだが、大丈夫なのか?」
オーウェンがそう尋ねると、レイラはとたんにシュンとなって口を開く。
「そうなんです・・・。パパ、中々良くならなくて・・・。」
「一度、見舞いに行っても良いだろうか?」
「まあ!きっとパパも喜びます!ありがとうございます!」
自分の父親を気にかけてくれるなんて。
オーウェンもまんざらではないのではと、レイラは期待する。
(オーウェン様ったら、パパに会ってどうするのかしら?結婚の許しを・・・なんて話だったりして!きゃ!)
「なら、明日にでも見舞いに行こう。」
「はい、お待ちしてますね!」
レイラは全開の笑顔でオーウェン一行を見送った。
翌日。
レイラはやってきたオーウェン一行を自分の父親の元へと案内する。
「こちらですぅ。・・・パパ、オーウェン様達がお見舞いに来てくれたよ。」
そう聞いて、ギルド長はなんとか体を起こそうとする。
「いや、具合が良くないのなら横になったままで。調子はどうなのですか?」
オーウェンがそう言うと、ギルド長は再び横になり、儚い笑みを浮かべた。
「この通り、起き上がることもままなりません。ギルド長でありながら、仕事ができず、冒険者の皆様には申し訳なく思っております。」
「ポーション類は試したのですか?」
「はい・・・。ですが、一向に良くなりません。」
ポーションには、単純に体力を回復するもののほかに、状態異常を回復するものもある。
しかし、それは効かなかったのだとギルド長は言う。
「そうですか・・・。大事にして、早く戻って来てくれることを願っています。」
「ありがとうございます。」
それだけ会話をかわして、オーウェン一行はその部屋を後にした。
いつ結婚の話が出るのかとドキドキしていたレイラは、少しがっかりしながら見送ったのだった。
「パパ、お薬を用意するわね。」
そう言ってレイラは緑色の液体を用意する。
実はこれこそギルド長の体調不良の原因であった。
メイサとレイラによって薬と称して与えられる液体。
これは、少しずつ体を蝕んでいく毒なのだ。
一度や二度飲んだくらいでは何ともないのだが、長期にわたって定期的に摂取し続けると命にかかわることもあるもの。
自然に取れる魚介類にも少量含まれている毒なので、万が一調べられてこれの成分が検出されても、言い訳が立つ。
これを長年ギルド長に与え続けて、ギルドを我がものとしたのだ。
「あのオーウェン様にまでご心配をおかけしているんだ。元気にならないとな。」
「そうよ、パパ。みんなが待ってるんだから。」
レイラはニッコリとギルド長に微笑みかける。
ギルド長は用意された緑色の液体を飲み干した。
まさか妻や実の娘に毒を盛られているなど、思ってもいないのだろう。
こうして毎日、少しずつ少しずつ、ギルド長は体を蝕まれていくのであった。
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