021 私の気持ち
「ああああぁぁぁぁぁ~・・・。」
私は自分のベッドに突っ伏して唸っていた。
オーウェン達との飲み会があったのは昨夜の事。
翌朝早くに旅立つというので、その場で別れの挨拶をしたのだ。
「リア。必ずまた会いに来るから、待っていてほしい。」
「はい。お待ちしてますね。」
私が子供のころに浚われかけたことを本気で心配してくれたオーウェン。
それを嬉しく思っていたのと、お酒で気が緩んでいたこともあって、私は笑顔で返事をしたのだ。
でも、翌朝になってよく思い出してみると・・・。
(夫婦か恋人同士みたいな会話じゃない!)
そんなわけで、恥ずかしさのあまり私は唸っているのだった。
「外、出たくない・・・。けど、仕事だ~・・・。」
私は何とか重い腰を上げたのだった。
「で、結局のところどうなんですか?」
今日の女湯警備の相棒はクロエさんだ。
「?何が?」
「何ってもちろん、オーウェンさんとのことですよ!」
きゃっきゃっとクロエさんは楽しそうだ。
「別に、何もないですよ。」
「でも、そのネックレスはオーウェンさんに貰ったんですよね?」
「それは、そう、だけど・・・。」
このネックレスも曲者で。
鏡を見るたびにオーウェンの事を思い出してしまうのだ。
そして、そんな自分が恥ずかしくて脳内でのたうち回ることになる。
それでも一度した約束を破ることが嫌で、今日も身に着けている。
「いいなぁ、リアさん!あんなイケメンで優秀な人に見染められて!」
「でも、ほら。相手は有名人だしさ、何か遠い存在な気がしない?」
「直接会って話もしてますし、そこまで遠くは感じませんよ?」
クロエさんはきょとんと返事をした。
「ほら、エブリンさんやグレースさんとは仲良さそうに話してるじゃないですか!」
確かに、クロエさんの言うとおりだ。
エブリンさんとグレースさんは遠い存在だとは感じていない。
でも、それは女性同士だからであって、男性であるオーウェンのことは、やはり遠く感じるのだ。
あれ?そうすると、ウィリアムさんも遠い存在ということになるが、そうは感じない・・・?
「なんか・・・頭がこんがらがってきた。」
私がげっそりしながらそう言うと、クロエさんはクスクスと笑い出す。
「難しく考えるからですよ。恋って、意外と単純なものですよ?」
なんだか年上であるかのような言い方に違和感を覚える。
「クロエさんは恋してるの?」
「・・・はい・・・。」
思わずそう尋ねたら、とたんに恋する乙女の顔になったクロエさんが肯定した。
「え?!そうなの?相手は誰?」
驚いた私が質問を重ねると、クロエさんは人差し指を口元に持っていってウィンクした。
「内緒です。」
「え~。教えてよ~!」
私だけ相手が知られているのは不公平ではないか。
そう思ったのだが、結局クロエさんは教えてくれなかった。
私がオーウェンの事をどう思っているのか。
これまでのやり取りで、嫌いではないと言える。
しかし好きなのかと問われれば、答えに困ってしまう。
これはしばらくの間、私の悩みの種になりそうだ。
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