020 怪力女の伝説
オーウェン一行が再び旅立つ前に、もう一度飲み会をしようと団長が言い出した。
今回もやっぱりほぼ全ての自警団員が参加する。
私は、エブリンさんやグレースさんと話したかったのに、何故か団長命令でオーウェンの隣に座らされた。
「そういや、リアは自分の伝説については話したのか?」
「え、何で自分の黒歴史を自ら話さなきゃいけないの?いやだよ。」
私と団長のやり取りを聞いたオーウェンが興味を示す。
「リアの事ならどんなことでも知りたい。何の話だ?」
「えぇ~・・・。できれば話したくないんですけど。」
「そうか・・・。すまない。無理に聞き出すつもりは無い。」
オーウェンがすぐに引き下がってくれてホッとするが、団長は空気を読んでくれなかった。
「いいじゃねぇか、話してやれよ!お前にとっては黒歴史かもしれないが、俺にとっては笑い話だぞ?」
まったくもって酔っぱらいは質が悪い。
団長は私の気持ちなんて無視して話し始めてしまう。
「俺たちがガキの頃の話なんすけどね、こいつ、誘拐されかけたことがあるんですよ。」
「何?」
誘拐という穏やかでない単語を聞いて、オーウェンが険しい顔つきになる。
「誘拐しようとしたのは、孫に恵まれなかった婆さんで、孫欲しさにこいつに手を出しちまったらしいんす。当然ですが、こいつは恐怖のあまり泣いて暴れたんですけど、その時に婆さんの服を盛大に引きちぎったんすよ!」
くくっと笑いを堪えながら団長は話していく。
「萎びた胸が露わになって、婆さんは思わず抱っこしてたリアを放して「ぎゃぁぁぁ!」と叫びながら胸を隠して逃げていったんす。いやぁ、その後ろ姿の間抜けな事!本当に爆笑しちまいましたよ!」
「もういいでしょ?!やめてよ!」
がははと楽しそうに話す団長を、私は止めようとした。
するとオーウェンが私を見つめて言う。
「誘拐されかけただなんて・・・怖かっただろう?大丈夫か?」
心底心配そうに言うものだから、気が引けてしまった。
「いや・・・。この通り、団長が盛大に笑い飛ばしてくれたから、心の傷とかにはなってないです。」
「そうか。」
ホッとしたように微笑むオーウェン。
恋愛ごとに関しては加減を知らないようだが、それでも精いっぱい私の事を大切に思ってくれているんだ。
ちょっとドキッとしてしまったではないか。
思えば、幼少期から現在まで、私を大切にしてくれる男性なんて、父さん以外にいなかった。
ほんの少しだけオーウェンに好感を持った。
「他にも色々伝説があるんですよ!オーウェンさん、聞いてくれますか?!」
「団長!いい加減にして!!」
いい感じに酔っぱらった団長がさらに話そうとするのを、私は力づくで口を塞ぎ、止めにかかったのだった。
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