019 食事会
その後、オーウェン一行は私たちに戦い方の指導をしてくれた。
そして、それが終わった後、再びオーウェンが私に話しかけてきた。
「リア。次の休みはいつだ?」
「明日ですけど・・・何か?」
「良かったら、また会えないだろうか。旅立つ前に、もっとリアと話したいんだ。」
そう言われて、正直困ってしまった。
会うこと自体は構わない。
ただ、共通の話題が無いので、何を話したら良いのかわからないのだ。
そこで、私はこう提案した。
「パーティーメンバーの皆さんも一緒なら良いですよ。皆さんの冒険の話を聞きたいです。」
そう言うと、オーウェンは少しだけ悲しそうな顔をした。
でもすぐに気を取り直したように表情を戻す。
「わかった。皆にも声をかけよう。この間と同じ食堂で良いか?」
「わかりました。」
こうして、オーウェン一行との食事会が決定した。
翌日。
約束通りに食堂に顔を出すと、オーウェン達はすでに席に座っていた。
「ごめんなさい。お待たせしちゃいましたか?」
「いや、さっき来たところだから問題ない。」
慌てて合流して謝ると、オーウェンが笑顔で返してくれた。
それぞれに注文を済ませて、会話が始まる。
「俺たちの冒険の話が聞きたいと言っていたな。何から話そうか。」
「あ、私、この間の飲み会でエブリンさんとグレースさんが話してくれた、上級ダンジョンでの話の続きが聞きたいです。」
私がそう言った途端、ピキッと空気が固まった感じがした。
え?何?
「あー・・・ほら、巨大なコウモリ型のモンスターが大量に出てきたときがあったじゃん?あの時の話だよ。」
エブリンさんが少し慌てながら、オーウェンに説明する。
「ああ、ウィリアムの魔法と俺の剣で、力づくで薙ぎ払ったな。」
オーウェンの言葉に、皆がしーんと静まり返った。
うん、今のオーウェンの言葉だけで話し、終わっちゃったもんね。
なんか皆の表情が、「あちゃあ~・・・」って言ってる気がする。
その表情を見て、オーウェンは「しまった」って顔するし。
「オーウェンって、この手の話を人に聞かせるのが苦手なんですね。」
私が苦笑しながらそう言うと、オーウェンはシュンとうなだれた。
「楽しませてやれなくて、すまない・・・。」
オーウェンがあまりにも落ち込むものだから、私は少し可笑しくなってきてしまった。
クスクスと私が笑い出すと、場の空気も和んだ気がした。
丁度そのタイミングで料理が運ばれてきたので、皆で食べ始める。
「やっぱり、地元の人がお勧めするお店の料理は、美味しいわ。」
グレースさんがサンドイッチを頬張りながら褒めてくれる。
「この店は、パンと中に挟む肉にこだわって作ってるんです。野菜も、隣の畑で作られたものだから、新鮮で美味しいんですよ。」
私は嬉しくなって店の説明をする。
「なるほど。そうやって褒めれば嬉しそうな顔をしてくれるのか。」
オーウェンは何やらブツブツとつぶやいている。
「ダンジョンに入るとなると日持ちする食料しか持っていけないから、ちょっとつまらない食事になるんだよな。やっぱり、こうやって店で食べる方が楽しいよ。」
エブリンさんも機嫌が良さそうだ。
やはり自然と女同士で会話が弾んでしまい、それをオーウェンが必死で観察しているようだ。
今にもメモをとりだしそうな様子で、なんだか可笑しい。
こうして、気まずい沈黙に悩まされることもなく、食事会は終わったのだった。
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