018 兄妹喧嘩と小さな嫉妬
その日。
自警団本部の鍛錬場で訓練をしていると、団長と共にオーウェン一行がやってきた。
「リア、驚くほど良くなってるじゃん!頑張ってるんだな!」
エブリンさんに褒められて頬が緩む。
「はい!エブリンさんに教えてもらったトレーニングも毎日してますし、グレースさんに教えてもらった治癒魔法も重宝してます!」
ニコニコで答えると、二人も微笑んでくれた。
ミラさんも含めて、女同士でキャッキャッと盛り上がる。
すると、向こうでオーウェンが怖い顔をしてこちらを睨んでいた。
(ひっ!何あれ。・・・触らぬ神に祟りなし。そっとしておこう。)
そう思った私は気付かないふりをした。
「オーウェン?顔がすごいことになってるよ?どうしたの。」
見かねたのかウィリアムさんが話しかけている。
「女性だけで盛り上がっている中に男は入りづらいものだな。俺もリアと話したいのに・・・。」
「気にせず話しかけて大丈夫っすよ。おーい!リア!ちょっと来い!」
ウィリアムさんに答えたオーウェンの話を聞いて、団長が私たちのほうへ声を上げた。
名指しで呼ばれては仕方ない。
渋々オーウェンや団長たちがいる場所へ移動する。
「団長、何ですか?」
「オーウェンさんがお前と話したいそうだ。」
ニヤニヤしながら言われ、なんかムカついた。
私は団長の鳩尾めがけて肘を繰り出す。
しかしヒョイっとよけられてしまった。
「ちっ!」
「ふん!まだまだ甘いなぁ!」
得意げな団長を睨みつける。
「二人は・・・仲が良いんだな。」
ぽつりとオーウェンがつぶやいた。
「ああ、誤解しないでくださいよ。こいつとは家が近いんで、お互い赤ん坊のころから知ってるんす。兄妹みたいなもんですよ。俺の好みは凹凸のある女なんで。」
団長が笑顔で言う。
つまり、私は凹凸が足りないというのか?
否定は出来ないが、ひどい言われようだと思う。
もう一度団長を睨むが、団長の方はどこ吹く風だ。
「兄としては懐いてますが、男としてはデリカシーが無さすぎて嫌いです。」
負けじと私もオーウェンに言った。
それを聞いて、団長が少しむっとした顔をする。
「デリカシーが無くて悪かったな。」
「凹凸が無くてすみませんね。」
二人でにらみ合う。
すると、横からオーウェンが話しかけてきた。
「リア。俺とも、そういう風に気軽に話してくれないか?正直、団長が羨ましい。」
「オーウェンは団長みたいにならないでください!せっかく素敵な勇者様なのに!」
とっさにそう言うと、オーウェンは顔を赤らめた。
「そ、そうか・・・。『素敵な勇者様』か。」
・・・乙女か?!と思わず突っ込みたくなった。
同時に、自分が恥ずかしいことを言ってしまった気がして、気まずくなる。
いやいや、私だけじゃなくて、みんなもそう思ってるよね?!
オーウェンだって、今までも『素敵な勇者様』として扱われてきているだろうに、何故今更、顔を赤くして嬉しそうに笑っているのか。
「と、とにかく!私はまだ訓練の途中だから。」
そう言って、その場を離れて、ミラさん達の元へ戻った。
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