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014 怪力ヒーロー?

今日の私の担当は女湯の警備だった。

しかし、最近は私が担当の日は何も起こらない。

というのも、先日出た女装男の腕の骨を、うっかり折ってしまったことが噂になっているらしいのだ。

受付のおばちゃんまでもが、


「今日の警備担当はアルメリアちゃんだから、不埒なことをすると痛い目を見るよ。」


と笑いながら男性客に言う。

正直、やめてほしい。

いや、犯罪を未然に防げるなら良いことなのか?

でも、私個人としては嫌な気持ちになってしまう。

どうせなら、怪力よりも、努力している体術の方で有名になりたいものだ。


「あのぉ。アルメリアさんって、どの人ですか?」


観光客らしい若い女性に話しかけられる。


「ああ。この子の事だよ!」


今日の相棒であるハンナさんが私の肩をポンポンと叩いて返事する。

途端にその女性たちから黄色い声が上がった。


「本物!あの。変態男をやっつけたって聞きました!」

「会えてうれしいです!握手してもらえますか?」

「え・・・?あ、はい。」


彼女たちのテンションについていけないまま、握手に応じる。


「嬉しー!ありがとうございます!」


握手が終わると、きゃあきゃあ言いながら彼女たちは去っていった。


「あっはっは!あんたもすっかり有名人だねぇ。」


ハンナさんが大笑いしながら言う。


「男たちは怖がってるみたいだけどね、私ら女たちの中では、すっかりヒーロー扱いだよ。」

「ヒーローって・・・。私、女なんですけど。」


そこはヒロインではないのか。


「まあ、いいじゃないか。その噂だけで変な男が減るんなら、儲けもんだろう。」

「それはまあ、そうですけど・・・。」


肯定しながらも、どこか腑に落ちない。

私が目指しているのは、ミラさんのような強さと色気を併せ持つ、大人の女性なのだが。

どうやら今の私のポジションは怪力ヒーローのようだ。

あまりにかけ離れ過ぎていて、泣けてくる。


(ま、今から挽回していけばいいか。)


私はそう結論付けて、警備の仕事を続けた。



その日、いつものように仕事を終えて家に帰ると、母さんから不穏なうわさを聞いた。


「聞いた?ドラゴンが出たって。」


近隣の3つの領にまたがって立っている山に、最強種のドラゴンが出たというのだ。

それらの領では林業が盛んで、うちの領も木材を仕入れているはずだ。


「ドラゴンのせいで木が取れないらしくてね、新しい家を建てるのが難しいんですって。」


国内の平民の家と言えば木造が主流だ。

しかし材料の木が無いとなれば、みんな困るだろう。


「ご領主様達が騎士団にも冒険者ギルドにも依頼して、何とかしようとしてるそうよ。」

「そっか・・・。早く解決すると良いね。」


ドラゴンなんていう想像もつかないような大きなものに対して、私と母さんはため息をつくしかできないのだった。

もちろん、そのドラゴンにオーウェン様達が挑もうとしているなんて、夢にも思っていなかった。



ありがとうございました。


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