side 勇者パーティー 01
いよいよドラゴンが出るという山の手前の村までやってきた。
同じ依頼が騎士団にも行っているというので、ひとまずそちらに状況を尋ねてみる。
しかし、どうやら芳しくないようだ。
それなりに名の通っている俺たちが来たと知り、助かったと言っていた。
俺たちはこの村でひとまず休息をとり、戦闘に備える。
「装備品の確認は済んだか?」
武器と防具はもちろんのこと、ポーションや薬草類も重要な装備品だ。
「ええ。」
「バッチリ!」
グレースとエブリンが返事をする。
「僕も問題ないよ。」
「・・・。」
ウィリアムの返事の後に無言で頷いた男は、暗器使いのローガンだ。
職業柄、口数も少なく、同じパーティーの俺たちですら、ローガンの全ての武器を把握していない。
しかし、その腕は確かだし、信用もしている。
そうでなければ、背中を預けることなど出来はしない。
「作戦だが、飛んでいる場合にはウィリアムの魔法で攻撃しよう。そうして地に落ちたところを俺とローガンとエブリンで攻撃する。グレースは回復と、奴が吐く炎からの防御を頼む。」
「わかりました。」
「了解。」
「僕が先鋒かぁ。炎系の魔法は利かなそうだよね。」
ウィリアムは、奴が炎を吐くということから、炎系以外の魔法を使うことを考えているようだ。
「まわりの森林を俺たちが燃やしてしまっても良くないしな。氷系はどうだ?」
「そうだね。それで様子を見てみるよ。」
おおよその作戦も決まり、各々宿の部屋で休むこととなった。
(アルメリア。きっとコンプリートして会いに行くからな!)
そう決意して眠りにつくのだった。
翌日。
俺たちはドラゴンが出るという山へと足を踏み入れた。
細かいモンスター達は騎士団がすでに討伐していたらしく、雑魚はほとんどいない。
余計な体力や魔力を消費しないで済んで、俺たちはホッとする。
これなら、全ての力をドラゴン討伐に注げそうだ。
“ぎゃおぉぉぉぉぉぉっ!”
ドラゴンのものと思われる鳴き声が聞こえた。
「向こうの方みたいだな。」
「距離もそれほど離れてなさそうだね。」
隣にいたウィリアムと言葉を交わし、全員で頷きあう。
そこからしばらく進んだところで、奴と対面した。
辺りは焼け野原となっている。
巨大な翼をばさりばさりと羽ばたかせて、巨大な体を浮かしている。
“ぎゃおぉぉぉぉぉぉっ!”
目の前で聞くと、鳴き声だけでも突風が吹き荒れるようだ。
しかし、俺たちは誰一人としてひるむことなく対峙する。
「フリーズ・ランス!」
早速ウィリアムの魔法が発動した。
奴の翼が氷漬けになり、バランスを失う。
「今だ!」
掛け声とともに俺とエブリンが駆け出す。
ローガンは奴の死角から目を狙うようだ。
俺は剣を振りかぶって飛び上がる。
ちょうどローガンが放った針が奴の右目に突き刺さった。
“ぐがぁぁぁぁぁ!”
俺は剣を振り、奴の左目を攻撃する。
“ザシュッ!”
視界を失ったドラゴンは、狂ったように炎を吐き出した。
“ぐおおぉぉぉぉ!”
「フレイム・バリア!」
グレースが防御魔法で俺たちを炎から守ってくれる。
「うぉりゃぁぁぁっ!」
“ズドォッ!”
掛け声とともに、エブリンの渾身の蹴りが奴の腹にめり込む。
「これで終わりだぁぁぁ!!!」
俺は奴の頭を縦に割るように剣を振り下ろした。
“ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!”
断末魔の叫び声を残して、奴はばたりと倒れた。
そうして、他のモンスターと同じように、その体は徐々に黒い霧となって消えていった。
後に残るのはドロップ品だ。
ドラゴンを倒した証拠にもなるので、アイテムは残さず拾って、最寄りの村へ帰った。
村に戻り、ひとまず騎士団に報告する。
すると、今回派遣されている騎士団の団長が、ぽかんとした顔をした。
「さすがは音に聞こえるオーウェン様一行。もう、あのドラゴンを倒したのですか・・・。」
「ああ。手前の他のモンスターを討伐してくれたのは騎士団だろう?助かった。ありがとう。」
「いえ。お役に立てて良かったです。」
報告が終わり背を向ける俺たちの後ろで、騎士団長はなにやらブツブツ呟いていた。
「あのドラゴンをこんな短い時間で・・・?俺たちの努力はいったい・・・。騎士団には被害だって出ているのに・・・。陛下にどうご報告すれば・・・。」
まあ、後の事はこの団長に任せるしかない。
次は、最寄りの冒険者ギルドへの報告だ。
「このクエストをもうコンプリートなさるとは!さすがはオーウェン様ご一行ですね!」
受付の青年はニコニコ顔だ。
「ドロップ品も確認いたしました。コンプリート報酬の受け取りと、アイテムの売買は、それぞれの窓口へお願いいたします。」
そう言われて、とりあえずコンプリート報酬のみ受け取る。
先ほどの受付の青年は、早速全国のギルドにコンプリート報告の知らせを飛ばす魔法を使っていた。
これで国中に俺たちの功績が伝わるだろう。
きっと、アルメリアのところにも。
「みんな・・・その、俺はアルメリアに会いに行きたいのだが・・・。」
少しわがままかと思い遠慮がちにパーティーメンバーに言えば、みんなは笑ってくれた。
「はい。わかってますわ。」
「絶対そう言うと思ってたよ!」
「今度は加減をミスしちゃダメだからね!」
ローガンは相変わらず何も言わないが、彼も付き合ってくれるようだ。
「付き合わせてすまない。ありがとう。」
そう礼を言って、俺たちはアルメリアのいる村へと向かったのだった。
ありがとうございました。
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