012 訓練
今日は訓練の日だ。
丸太人形相手に力加減ができるようになった私は、今はミラさんと直接手合わせすることも増えてきた。
「脇が甘い!」
“ドスッ!”
ダメ出しと同時に脇腹にミラさんの蹴りが入る。
「ぐっ・・・!」
息を詰まらせながらも、何とか倒れずに持ちこたえる私。
しかしミラさんは容赦なく、私の顎へ向けてパンチを繰り出してくる。
それを腕をクロスさせて何とかガードするものの、私は後ろへ吹っ飛ばされてしまう。
“ザザッ!”
それでも何とか受け身を取り、すぐに体勢を立て直した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
私は息を切らせてミラさんと距離を取る。
単純な力比べならミラさんにだって勝てる自信があるけど、体術で戦闘を行うとなると、圧倒されてしまう。
ミラさんの体術は理論ずくめだった。
いかにして敵の力を受け流すか。
いかにして敵の力を利用するか。
最小限の力で最大の効果を発揮させるにはどうするか。
腕力で劣る女性ならではの体術で、すごく勉強になっている。
(でも、実戦するのは難しい・・・!)
しかし諦めるつもりもない。
体術が使えるようになれば、今は男性団員とミラさんだけで行っている、村周辺のモンスター討伐にも加われるかもしれないもの。
どこへ行っても要らないと言われてきた私は、必要とされる人間になりたい。
「たぁぁぁっ!」
その思いを込めて、再度ミラさんに向かって行った。
しかし気合と実力は比例しないので、私はミラさんにボコボコにされた。
「今日はこの辺で終わりにしましょうか。」
「はい・・・。ありがとう、ございました・・・。」
とりあえず水を飲んで一息入れた私は、先日勇者パーティーの白魔導士であるグレースさんに教えてもらった治癒魔法を自分にかけた。
受け身は最初にしっかり仕込まれたので、かすり傷しかおっていないし、それで十分治る。
「リアさん、良かったらコレ読んでみる?」
ミラさんが一冊の本を差し出してくれた。
「人体の構造について書かれた物なの。急所を確実につくために勉強になると思うわ。」
その本はそれほど厚みもなく、パラパラとめくった感じだと図解が多そうだ。
これなら勉強嫌いの私でも最後まで読めそう。
「ありがとうございます!読んでみます!」
憧れのミラさんからの勧めということもあり、私は大喜びで本を借りたのだった。
この本、結果としてものすごく勉強になった。
人の骨や筋肉について覚えれば、どの方向にひねると痛いのかがわかるし、内臓の構造を知ることで急所を正確に把握することができる。
これまでミラさんが教えてくれたことが、頭の中でつながっていく感覚がした。
「ミラさん、本ありがとうございました!視界が開けていくみたいに、とっても勉強になりました!」
翌日。
早速ミラさんにお礼を伝えると、ミラさんはニッコリと笑ってくれた。
「もう読んでくれたのね。参考になったなら良かったわ。」
「もう少しじっくり読みたいんですけど、お返しするのが遅くなっても良いですか?」
「もちろんよ。しっかり勉強してちょうだい。」
「はい!」
こうして私は、少しずつ体術を身に付けて行ったのだった。
ありがとうございました。
リアの事を応援してくださる方は、下の「☆☆☆☆☆」をポチっとして評価をお願いします。
また、ブックマーク登録をしていただけると、七瀬が頑張れるようになりますので、よろしくお願いします。




