第29話 Stella
「え……えっと……たまたま、見つけちゃったっていうか……。でも……俺も、ああいうの別に嫌いじゃないよ? 俺もいつか自分の機体に乗れるようになったら、呼び名とかつけたりしたいなぁー、とか……思ったりもしてたし……」
そのうち、仕返しでからかってやろうと思ってたけど――
今はそんな状況じゃないし、俺もしたくない。
それに、嫌いじゃないのも、いつか呼び名をつけたいと思ってたのも本当。
――さすがに、女の人の名前はつけないけどね。
「はぁ……。……ったく」
ネイトが大きなため息をついた。
ごめんってば。
気まずいのはわかるけど、俺は気にしてないよ?
からかおうとはしてたけど。
「ステラは妹の名前だ」
そっか。だけど、本当に俺は気にしてないよ。……ん?
「妹?」
「軍人だった。……昔っから、オレの後をついて回るようなやつで……だから、軍にだけは入るなって、あれほど言ってたんだけどな」
ネイトは、さみしそうな、でも優しい顔をしてる。
「『アグニの舌』って知ってるか?」
「ううん、知らない……」
「『羽根無し』共が持ってる超大型レーザー兵器だ。お空に浮かんでやがるのさ」
そう言って空を指さしたけど――
つられて見上げてみても、何もない。
「そいつでやられた。ステラは、髪の毛一本帰ってこなかった。……だから、オレの機体に乗せたんだ。そばで守ってやれなかった代わりに……一緒に『羽根無し』共を殺すためにな」
そう……だったんだ……。
「ごめん、ネイト……。『ステラ』さん、置いてきちゃって……」
「ヘッ。お前が乗ってこなくても、そもそもあの森に置いていったんだ。――それに、どのみち取り返すつもりだった」
「けど……」
「あいつは……ガキに甘かったからな。それこそ、お前のお姫様のモンテーニャみたいな感じだ」
リーナさん?
「ステラさんって、リーナさんに似てるの?」
「ああ。だから、やりにくくてしょうがねぇ」
そうなんだ。
――けど……リーナさんはネイトのことが――
「とにかく、お前を死なせることは、あいつだって望まなかったはずだ。――だから、いい」
「……うん。…………あ」
「あ?」
――そういえば。
「ここに来る途中、ブーストをかけようとしたんだけどさ」
「はぁ? ……無茶しやがる。いくら隊長の機体で慣れてるとはいえ、マニュアル操縦でブーストなんざ…」
「そう……! すごく大変だったんだよ! ひっくり返りそうになるし、手だってビリビリし――じゃなくてさ。その時、なかなかブーストがかかってくれなくて。操作は間違ってなかったのに」
「ピートに限って、整備不良はあり得ねぇな」
「うん。だから、『ステラ』さんにお願いしたんだ。そしたら、急にブーストかかってびっくりした」
「………………」
視線をそらしたネイトが、何か考えごとをしてる。
――うん。きっとそうなんだ。
「でもさ。ネイトが爆散した後、俺、助けに行こうと思って。――だけど、その時はどんなにお願いしても動いてくれなかったんだ」
「爆散してねぇ。けど……なるほどな。……確かに、あいつらしい……」
そう言って笑ったネイトの顔は、今まで見た中で一番優しかった。
「ステラ」は当初バーニーを基地に行かせたくなくて、そして最後はバーニーを早く立ち去らせるべく、みたいな感じでしたー \(´・∞・` )
「ステラ」についての「説明」はもっと簡単にしようかと思ったんですけど、ここで伝わるか否かでラストの印象が変わってしまうので(´;∞;` )ちょっと説明回になっちゃいました
そして、ネイトがリーナに素っ気ない理由も明らかに― \(´・∞・`*)あるあるですねぇ




