最終話 最低だけどキラキラな世界
「そういえばさ。ネイトって爆散したのに何で助かったの?」
「爆散してねぇ。――さぁな……こっちが聞きてぇよ」
してたじゃん。
ショックだったのに。あの時間を返してほしい。
「……大方、爆発の衝撃でコックピットブロックだけが吹っ飛ばされたんだろうが……」
ネイトにつられて、丘の下の基地を見下ろす。
すごく飛んだね、ネイト。
「……吹っ飛んだのも驚きだが、逆にこれだけ飛ばされて無事だったほうが驚きだぜ。――『ドンキー』に助けられちまったな」
「ドンキー?」
「こっちの話だ」
何それ。
あ……でも、聞いたような気がしないでもない……けど……うーん……。
「にしても……結局ついて来ちまったんなら、あの茶番は一体なんだったんだよ……」
ため息をついたネイトが、頭をガシガシしてる。
さっきから、ため息多くない?
せっかく助かったんだし、もっと嬉しそうにしなよ。
「でも……俺はすごくショックだったよ? みんなのこと本当に嫌いになりそうだったし……」
「あたりめぇだ。そのためにやったんだぞ」
「ネイトなんか、ぴったりだったもんね」
さすが、「悪役貴族」だった。
「うるせぇ。……あの場はまだいい。あの後、モンテーニャがとにかく大変だったんだ」
「リーナさんが……?」
「『あれじゃあ、バーニーが可哀想』だ、なんだって、道中、泣き通しだったんだぞ。――これから、たった五人で敵の基地に殴り込みかけようって時に……。どれだけ大変だったか」
そっか。
リーナさん……。
「また……会えるかな? みんなと」
「――あん? さぁな。お互い生きてりゃ、そのうちな」
ネイトが、コックピットの中を漁ってる。
ねぇ。
そんな答え方する?
今ちょっと、しんみりしてたのに。
海風が吹いて、振り返った。
基地のほうからは、相変わらず何か大声がしていて、煙もまだ上ってて、それを夕焼けが照らしてる。
あの日と同じ夕焼けの景色。
だけど――
あの日とは、何かが違う。
「――あ」
そうか。
全然、違う。
「――メリークリスマス! みんなっ!」
風のせいで、どこまで届いたかはわからないけど。
俺が出せる目一杯の声で言ってみた。
「……なんだそりゃ。あんまりデカい声出すんじゃねぇよ」
渋い顔のネイト。
ポケットに何か突っ込んでる。
あ、泥棒だ。
「ネイトも、メリークリスマス」
「………………」
「あのさ。『メリークリスマス』って言われたら、『メリークリスマス』って返すんだよ? 知らないの?」
「それぐらい、知ってる。――ちなみに、知らねぇみてぇだから教えてやるけど、まだクリスマスじゃねぇ」
「知ってるよ、そんなの。別に、いいでしょ? なんだか言いたい気分なんだ」
「………………」
黒焦げのコックピットブロックに振り返ってから、もう一度基地の方を見たネイトが微笑った。
「ああ……。たしかに、な」
海風で髪が揺れて――なんだかちょっとカッコイイのが癪。
「じゃあ、言ってよ」
「言わねぇ」
「なんでよっ。『たしかに』って言ったじゃ――あっ! どこ行くのっ?」
「うるせぇ、置いてくぞ」
「ちょっと…っ! 待ってよっ!」
音も。色も。臭いまで同じ。
見たこと、聞いたこと、感じたこと、全部が一緒になって流れ込んできて胸の奥が苦しくなる。
だけど――
もう一度振り返って見た夕焼けは、あの日とは違う――なんだか、ちょっとだけキラキラした景色に見えたんだ。
うおー! 完結しましたー! \(´;∞;`)/ うおー!
終わる終わる詐欺だった本作もようやく…!(´;∞;` )
何気に初完結作だったり Σ(´・∞・` )おおっ
完結といっても、本編である「ブルーボーダー」は始まってもいないんですけどねぇ…(´;∞;` )
ここでは書き切れない分を「あとがき」として次話に書いちゃいました(´・∞・`*)ついでに読んでいかないか?




