第26話 その手に握ったものは
……まさか……バレたの……?
腰に隠してある銃だって、二人の位置からは見えないはず……。
そもそも小さいから、シャツ越しでだって形が出ることもないはずなのに――
「どうした?」
「分隊長」も不思議そうに「若い兵士」を見てる。
――「若い兵士」の方を思いっきり突き飛ばして、火事が起きてる格納庫へ走ればもしかしたら……。
銃は……使いたくない……。
……なんとなく。
そんなことを考えていたら、「若い兵士」が笑った。
ネイトだったら絶対しないような、大きな笑顔。
「これ――持ってけ」
「え……? あ……」
……チョコバー……?
「将校用の支給品だ。うまいぞ?」
差し出されたチョコバーに戸惑っていると、「若い兵士」の横で「分隊長」がため息をついた。
「まったく……。また軍医殿のところから、くすねてきたのか?」
「いいんですよ。どーせ、酒しか興味ないんですから」
「分隊長」は呆れたように言ってるけど笑ってて、「若い兵士」もさっきと同じように笑ってる。
「………………」
「ほれ、遠慮してないで持ってけ。――あ。でも食う時は、ひとりでこっそりな? 友達に見られたら盗られちまうからな」
「あ……ありがとう……ございます」
俺の手を持ってチョコバーを渡すと、「若い兵士」がもう一度笑った。
~・~~・~・~~・~
「気を付けて帰れよー?」の声で振り返ると、「分隊長」と「若い兵士」が手を振ってるのが見えた。
小さくお辞儀して格納庫の脇道に入る。
……あの人たち……何なんだろう……?
俺が地球人だから……?
違う。
俺の村だって、みんなみんな地球人だった。
連合のやつらと同じ地球人だった。
同じ地球人の連合のやつらにみんなを殺されて、異星人の小隊のみんなに助けられて――
……連合のやつらは悪い人間のはずなのに。
「これ……どうしよう……」
もらったチョコバーは包装の質がよくて、「将校用」って言ってたのがなんだか納得。
ピートさんの「お弟子さん」たちにもらったやつよりおいしそうに見えるのが、ちょっと嫌だ。
「……とにかく、早くここから離れないと……」
格納庫を抜けた先は丘になってたけど、いざ近くで見てみると坂がきつくてとても登れそうになかった。
「あそこからなら行けるかも」
離れたところに登りやすそうな場所がある。
すこし遠回りになっちゃうけど――今はすこしでも基地から離れないと。
~・~~・~・~~・~
「う~……きつい……。脚痛い……」
たしかに登りやすくはあったけど――
そもそも道なんてないし、草がたくさん生えてて滑りやすい。
かと思ったら、岩場がゴツゴツしてたり。
さっきも、岩を越えようとしたら足場の小石が動いて膝を打っちゃった。痛い。
痛いし、苦しいし、こんなこと今すぐやめて座りたい。
もう、草の上でいいから寝っ転がりたい。
けど――
ネイトは、俺を逃がすために残ってくれた。
自分を犠牲にしてまで。
「俺のために」なんて、絶対認めないだろうけど。
生きて――またフリッパー小隊のみんなと会うんだ。
そのためには、こんなところで甘えたことなんて言ってられない。
「はぁ……ふぅぅ…っ。……やっと……!」
丘の上まで登りきって、基地を見下ろした。
けっこう高くて、びっくり……。
俺……こんなに登ったんだ……。
「……夕焼け……」
いつの間にか、すっかり日が傾いて。
夕日がチトラル基地を照らしていた。
何かを叫ぶ声。黒い煙。夕焼け。
あの日の俺の村と同じ。
だけど――
「……え……?」
何か聞こえる。
金属を叩く音……。
でも……高い音じゃなくて……例えばコンテナの中から叩いてるような、くぐもった音。
見回しても、それらしい物は見えない。
「こっちかな……? ……え……なんだろう……あれ……」
音の方向を探りながらしばらく歩くと、丘の上に真っ黒な塊があった。
うおー \(´;∞;` )/ もうちょっとですよぅ
ところで、「チャウ氏、これ…丘の上に基地の守備施設ないの?」と思いますよね ”(´・∞・` )そうでもない?
あります \(´・∞・` )レーダー施設です
が、連合軍がこの基地を奪還する際に破壊してしまったので、丘の上は誰もいません(´=∞=` )そこは、まぁ、都合良く




