第20話 ガラじゃねぇ男と、見る目がない女と、ロバと
「――チッ。やっぱり武装は無しかよ」
海側のコンテナ置き場――
見上げた先の〔シーガル〕は、人型機動兵器とはほど遠い姿だった。
両腕は作業用のアームに換装され、胴体から下にいたっては無限軌道付きのブロックになっている。
「こういうの……嫌いじゃねぇけどな。――ハッチは、ここか」
こんな状況じゃなけりゃ、いろいろと見て回りたいが――
今こいつの利点といえば、コックピットまで登りやすいことぐらいか。
「それにしても、あの馬鹿……。オレに断りもなく、『ステラ』に乗りやがって……」
日頃、隊長の機体に乗っていたことを考慮しておくべきだった。
マニュアル設定のままの「ステラ」を扱えるわけがない――そう高をくくっていたのが間違いだった。
いや。
そもそも、バーニーが追ってくるなんて思ってもいなかった。
「――なるほどな。大体わかる。……いや……むしろ、こいつは……」
ハッチを閉め起動作業に入ると、ある違和感に気付いた――
乗り込んだ機体は、形状から考えて【ブラックバック】という機体で間違いない。
その中でも、かなり旧式のようだが――それより……。
「一応、ピートに報告しとくか。――にしても、遅ぇな! まだかよ……!」
さすがは旧式だ。
システムの完全起動までは時間がかかる。
通信は……出来そうだな。
周波数は――
「ピート。聞こえるか?」
『――トかっ? お前、今どこにいるんだっ!』
「ヘッ。騎士様のお守りだよ。こいつじゃ、白馬ってより農耕馬だけどな。――それより、ピート」
ピートに、オレの感じた「違和感」を伝える。
『――なるほど。そいつが旧式なら、あり得ない話でもないが……。わかった。俺のほうでも調べてみよう』
「頼んだ。けど、まぁ……まずは、生きて還らねぇとな」
『ああ。――だが、お前もだぞ? ネイト」
「ははっ、こんな状況で言えることかよっ? だから、オレの計画でいけばよかったんだ」
パミール基地が無理だとわかった時点で、オレたちに残された選択肢は限られていた。
チトラル基地が無事なら良し。
もし、チトラルも駄目だった場合は、パミールよりは手薄だろうことを突いて強襲し、強行脱出を図るしかない。
その時は、オレの機体で敵を引きつけるつもりだったが――ピートが、首を縦に振らなかった。
『……隊長の命令は、”フリッパー小隊”での帰還だ。お前ひとりを犠牲にするわけにはいかない』
「バーニーを置いていくことに決めた時点で、命令には反してるだろ?」
『……それを言ってくれるな……。分の悪い賭けに、あの子を巻き込むわけにはいかん』
「まぁな……」
生還も全滅も「フリッパー小隊」で。
だが、勝ち筋が見えないようならバーニーは除外する。
全員で決めたことだった。
「でもまぁ、こうなっちまった以上は計画変更だ。――オレのことは気にすんな。輸送機に急げ」
『……死ぬんじゃないぞ……ネイト』
「ヘッ。仲間のために――みてぇのは、ガラじゃねぇんだ。任せとけよ」
ようやくモニターが映った。
さすがに基地のやつらも、【ガネット】を出してきたようだ。
にしても……。
なんだぁ? あの戦い方は!
「ステラ」に、あんな無様な戦い方させやがって……!
連合のパイロットも大概だぜ!
これなら、最初からオレがやってればよかったじゃねぇか!
『軍曹……!』
あん?
……モンテーニャか。
「……どうした?」
『軍曹……その…………私……』
「んな声出すな。死ぬつもりなんか無ぇよ」
『はい……でも……』
『リーナ! 急げ!』
『今なら抜けられる! 一気に行くぞ!』
「……行け。後で合流する」
『軍曹……。……お気を付けて。バーニーのこと、お願いします』
「ああ」
……まったく。
男を見る目が無ぇな――あいつは。将来、苦労するぜ。
「――さてと、そろそろお姫様もとい、我らが騎士様をお救いにあがるとするかっ」
…………あぁ?
「……っざけんなっ! まだ起動中かよ!」
ああ、もう、あれだ……!
お前は今から「ドンキー」だ!
リーナがネイトを好きっぽいのは過去にも描写されてたんですけど、今回ので「あれ?付き合ってる?」と思わせてしまうかもなので、補足をー(´・∞・` )
まず、リーナはネイトが好きです(´・∞・`*)わほ
ネイトもリーナの気持ちに気付いています(´・∞・`*)わほっ
ネイトがリーナをどう思っているかは、すこし先になるので、今は「付き合ってないよっ」というご報告を \(´・∞・` )




