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異界転生 人斬りの使い魔と没落探偵  作者: 悦田半次


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共闘

 戦闘が始まってからどれくらい経過したのだろうか。

 30分か、はたまた1時間か。

 案外、5分も経っていないのかもしれない。

 次から次へとやってくるゴーレムを切り捨てる。その繰り返しだ。


 「あ、しまった」


 うっかり首を刎ねてしまった。

 シルヴィアによれば、ゴーレムを破壊するにはコアを破壊する必要があるという。

 意識して立ち回ってはいるが、どうしても人を殺す時と同じ感覚になってしまう。

 首なしゴーレムが振り下ろした剣を刀で受け止め、赤いコアが埋まっている胸部目掛けて拳を叩き込んだ。

 硬い手応えと共に、ゴーレムは人形のように――実際人形なのだが―崩れ落ちる。

 だがそれだけでは終わらない。

 次から次へとゴーレムはやってくる。


「多勢に無勢ってか、まったく――」

「それは、弱い奴の言い訳ちゃうか?」


 鬱陶しい蛮族シスターは、煉獄一直線ゴー・トゥー・パーガトリィーで周囲のゴーレム共を纏めて薙ぎ払っていた。

 コアを直撃していなくても、余波だけでも戦闘不能に追い込んでいる。

 大鎌の特性からして、1対多数の方が力を発揮しやすいのだろう。

 ところで――


「さっき、俺が避けてなかったら思いっ切り当たってたような気がするんだが、気のせいか?」

「あーすまん。手ェ滑ったわ」

「ああそう――かい!」


 コアを貫いたゴーレムの頭をリドー目掛けて蹴り千切った。

 リドーは大鎌の柄でそれを防ぐ。


「悪いな。脚が滑った」


 ピキリ、とリドーの口元が引きつる。


「随分ワルな脚やな。そや、いっそのこと切り落とすってのはどないや?」

「上等だ。あんたこそ誰も抱きしめられない体にしてやるよ」

「ジョーダンきついわ」

「あんたのもなかなかだぜ」


 はっはっは、と互いに笑う。


「「……」」


 沈黙。

 そして衝突――その瞬間、響く銃声に我に返った。


「おバカ! 今仲間同士で殺し合ってどうするの! 目の前の敵に集中なさい!」


 銃を手にゴーレムを相手取るシルヴィアからのお説教が飛んできた。

 なるほど、確かに今の敵はゴーレムだ、が――


「1つ訂正させてくれ。俺達とコイツは仲間じゃない」

「そや。敵の敵は味方っちゅーわけやないで」

「また意見が合ったな。寒気がするぜ」

「ウチも同じや。こりゃ両想いってやつかいな」

「両想いィ? そんなの私は認めないわよ!」


 いやあんたも参加するのかよ。

 ツッコミ役がツッコミを放棄したらイカンだろ、というのはさておくとして、まだ互いに軽口を叩けるだけの余力はある。

 シルヴィアの上から三体の鳥形ゴーレムが一斉に光線を放つ。


「シルヴィア!」

「焦らないの。これくらいどうってことなくてよ――『壁よ』!」


 指輪を着けた左手を虚空にかざした瞬間、光の障壁が光線の行く手を阻んだ。

 その隙にシルヴィアは銃を三連射。

 コアを撃ち抜かれたゴーレム達は次々と墜落する。


「ほーん。あちらの攻撃を通さないけどこちらの攻撃は通す防御術式か。小器用なやっちゃな」

「お褒めにあずかり、光栄だわ!」


 背後から迫る敵を振り向く様に撃ち、さらに引き寄せの魔法で、クスリがこれでもかと詰まった木箱をゴーレムにぶつける。

「シルヴィア、ゴーレム使いの場所分かるか?」

「もうちょっと待って! 指令を送っている魔力の流れが分かれば――あ! 見つけた……ってあれ?」


 指を差したところには、何も無い。

 土色の天井が広がっているだけだ。

 が、シルヴィアの反応的に重要なのはそこではないらしい。


「どうした、何かあったのか?」

「ええ。問題が大ありだったわ」

「あまり聞きたくないけど、聞かせてくれ」

「ゴーレムマスターの転生者はいないわ」

「は? ああ、どっか別の場所にふんぞり返ってるってことか」


 ツバキが1番嫌いなタイプだ。


「そうじゃないの。今まで私達は、『大量のゴーレムを操るスキルを持つ転生者がいる』という仮定で戦っていた。けど実際は――」


 瞬間、あらゆる方向から杭が打ち出された。


「チィ――!」

「なんやぁ――!?」


 シルヴィアの側に向かい、迫る杭を全て撃墜。

 刀で杭を弾いている間に、ずるりと赤い球体(コア)が天井から落下、地面に沈む。

 心臓の鼓動のように地面が脈動した。

 今まで動いていたゴーレム共が形を失い、コアの落下地点に集まっていく。

 地面を突き破るように出現したのは、5メートルはくだらない巨大ゴーレム。


 シルエットとしては人型だと判定することはやぶさかではない。

 が、いやに曲がった背や、悪魔を模したであろう形のせいか、モンスターと表現した方がしっくりくる。

 右腕は大剣、左腕は複数の銃身が束ねられた銃砲――ガドリングが取り付けられている。


 赤い一つ目が怪しく輝いた。

 ごくりと喉が鳴る。

 シルヴィアが言わんとしていたことは分かった。


「ゴーレムそのものが、転生者ってことかよ――!」


 舌打ちした瞬間、ガドリングが咆哮し銃弾をバラ撒いた。


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