表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夕陽亭そば勝負  作者: 杉下栄吉
15/28

準備物の購入

14、準備物の購入

 できるだけお金はかけないのが妻との約束なので、家の改築はしないことにして、現在の間取りのまま営業することにした。厨房は1階の現在の台所。火力の強い営業用のガスコンロだけは設置した。玄関も現在のまま、靴を脱いで入ってもらう形式で、お客さんには靴を脱いで靴箱に入れたら、そのまま2階まで上がってもらうことにした。2階は眼下に九頭竜川が見える絶景がある。そのことこそがこの店の売りである。接客は目が届かなくなるがあの景色には代えられないかもしれない。お客がたくさん入って、アルバイトを雇うようになったら、2階に常駐してもらってこの問題も解決するだろう。

 食器も大問題。家に伝わる九谷焼ではないかと思われる平皿の蕎麦ざらは20枚はある。洗いながら使いまわしていくことにした。どうせそんなにお客は来ないだろう。お茶を出す湯飲みも家に伝わるものが蔵の2階にいくつもある。これを使うことにした。妻が

「コーヒーくらいメニューに加えたらどうかしら。」

と提案してきた。コーヒーは昨年ミルとドリップのセットを買い、2人で毎日飲むようになり、コーヒー豆専門店も近所にできた。

「コーヒーも出せば蕎麦を食べた後もすぐ帰らなくても景色を楽しんでもらえるからいいね。」

と答えた。しかし、問題は食器である。コーヒーセットは夫婦2人分とお客さん用に2セットくらいしかない。これは購入しないといけないだろう。杉下は妻に

「好きなのをどこかで買っておいでよ。越前焼でもいいし、蕎麦ざらに合わせて九谷焼でもいいし、洋食器でもいいよ。」

と言うと

「九谷焼を第1候補にしてもうしばらく検討するわ。」

と言って笑顔で楽しそうにワクワクしている。あんなに反対していたのに、どうやら準備し始めたら乗り気になったようだ。

「おかあさん、カフェスイーツ主任という事にしよう。僕は蕎麦主任という事でスタートだ。」


 厨房で話を聞いてくれているご婦人たちから

「いよいよ開店が近づいて奥様のご協力も本格的になってきた感じですね。夫婦が協力することが何よりも成功のカギですよね。それに成功している店は、ほとんどがおかみさんがしっかりしているところらしいわよ。」

とアドバイスを頂いた。確かにおかみさんがしっかりしているところがうまく言っているというのは以前から感じていたらしい。

「確かにそうですね。このあたりの会社やお店でも、おかみさんを見ると繁盛しそうかどうかがわかる気がします。商売をするうえで従業員をまとめていくとき、社長よりもおかみさんの方が裏方でうまく回してくれる力が大きいし、客商売では最前線はホール係ですから、お店の顔になるわけです。同窓会の時に開業医をやっている友達も『僕は妻がやっている病院という会社で勤めている勤務医に過ぎないと思う。ほとんど妻が経営していて、看護師さんたちも妻のいう事の方にしたがっているよ。』と言ってました。」

と言って妻の方を見ると首を横に振って否定していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ