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リトルヒーローズ  作者: 貫井べる
1章 : BRAVE STORIES
11/12

ROUND 11 : 緋色

ROUND 11 : 緋色




4年前、世界大会の決勝の場に火向はいた。

「さあ、赤コーナーは火向トウキ選手!

使用機体は紅朱雀!」

火向はリングに赤い鳥型のロボットを置いた。

「2大会連続で前世界チャンピオンの北里クウ選手を破っての決勝進出!

その相手もまた2大会連続の決勝進出!」

火向の向かい側には大柄な男が立っていた。

「青コーナー、ジャック・ブラッドリー選手!

使用機体はレーヴァテイン!」

ジャックと呼ばれた男は銀色の甲冑のロボットをリングに置いた。

その両腕は大振りなナイフになっている。

「さあ、火向選手が今度こそ世界を征するのか!

それともジャック選手が連覇となるのか!」




その4年後、日本大会。


「なあ犬飼、ハルートじゃ次で負けるんだけどどう負けたら盛り上がると思う?」

火向は犬飼に相談していた。

「いや、普通に紅朱雀も予備機体でエントリーしておけば良かったじゃないですか」

犬飼の正論に対して火向は不満そうに答えた。

「正論で殴ると痛いんだぞ」

「というか、世界大会準優勝が2回もあればリングに出るだけで盛り上がるじゃないですか。

後はどうにかしてくださいよ」

「そりゃそうだけどさ……」

火向はまだ文句があるようだったが試合に向かった。



「さあ、2回戦を始めます!」

司会の声が会場に響いた。

「第1試合、まずは赤コーナー!

期待のルーキーが早くも強敵を破り2回戦進出!

工藤ケンイチ選手!

使用機体、アルゼル!」

ステージに上がったケンイチが赤い外装に緑の目のアルゼルをリングに置く。

その向かい側から火向がステージに上がってきた。

「対するは世界大会準優勝経験者!

火向トウキ選手!

使用機体はハルート!」

火向も赤い仮面に青い目のハルートをリングに置いた。

氷室のマルートと左右対称になるように右腕に剣を装備しマントを羽織った機体だが、何故かマントの下で背面が膨らんでいる。

「工藤、先に言っておくが俺はお前と相性が悪い」

火向がそう宣言し、ハルートは左腕をケンイチに向けた。

わざと腕を見せて先のマルートとは違う機体だと印象付けようとしているとケンイチは感じた。

「だから徹底的にこっちのペースに持ち込む」

これもケンイチに必要以上に意識させる為の言葉だ。

「大人げないとは言うなよ」

「言いませんよ。

好きにやってください」

ケンイチは面倒臭そうに答えた。

「こっちだって大人げない機体なんですから」

「言うね……やる気は無くても、本当は勝負に真面目に向き合ってる。

その機体じゃなければもっと熱くなれるのか?」

火向は更に挑発するがケンイチは乗らない。

「さあ……そもそもここに来れるほど勝てないんじゃないですか?

どちらにしても、真面目にやらなきゃ皆さんに失礼な事に変わりは無いですから」

ケンイチはコントローラーに手をかけ、アルゼルが右腕を引いて構える。

「だから、そろそろ始めませんか?」

「ああ、始めてやるよ」

火向もコントローラーを手にし、ハルートは右腕の剣を突きだして構えた。

「今日のお前は次で負ける。

今のお前はそれで終わる。

だから、俺が火を点けてやる……今日で終わりにはさせない」

2人は同時にコントローラーの試合準備完了のボタンを押し、試合開始のカウントが始まった。

『3、2、1──』

ハルートが一瞬早く踏み出す。

『FIGHT!』

その瞬間、ハルートは突然横に跳んだ。

対するアルゼルは試合開始と同時に飛び出す事はせず、一瞬遅れてハルートの方へと飛び出す。

ハルートのフェイントに完全にタイミングを合わせたアルゼルの鉄の拳は、剣で防御したハルートを──弾き飛ばせなかった。

「まずは激突を避けたハルートにアルゼルが合わせた!」

司会がそう言い終わってもハルートは耐える。

アルゼルはハルートを押し込もうとしているのだが、ハルートは受ける力をうまく逃がし続ける。

「これは凄い押し合いだ!

パワーに動じないハルート、そして真っ直ぐ押し込み横へと受け流させないアルゼル!

両者の力が拮抗している!」

司会の言う通り、ハルートはアルゼルを横へと受け流そうとしているのだがアルゼルはそれに耐えて拳を真っ直ぐに押し込み続けている。

しかしハルートが急に後退し、リング際のフェンスに激突して止まった。

急に動いてからの急停止で止まりきれないアルゼルを跳ね上げようと剣を足元へと向けるが、アルゼルは横へ跳んでハルートの反撃をかわすと止まるどころか逆に踏み込む。

ハルートがアルゼルの拳をかわし、アルゼルはフェンスを殴った反動で弾き飛ばされた。

すかさずハルートは大きく踏み込みながら剣を突き出し、右腕を──いや、それまで背面に折り畳んで右腕に見せかけていた左腕をのばした。

アルゼルはそれを防御するが、ハルートは機体を回転させ接近しながら腕を畳み、回転の勢いを乗せて縮めた右腕で斬りつける。

再び防御したアルゼルを弾き飛ばしたハルートは勢いのままに腕を展開し、長い左腕で停止する前のアルゼルを更に弾こうとする。

しかしアルゼルはそれを受け止めながら停止した。

「何で間に合うんだよ!」

火向はケンイチの的確な防御に悪態を吐きながらもハルートを回転させながら腕を畳み、アルゼルと組み合ったままの剣に機体重量分の衝撃を加えた。

ふらつくアルゼルをハルートは蹴り飛ばし、更に長くのばした左腕をアルゼルの背後に回り込ませるようにして斬りかかる。

しかしアルゼルは崩れた姿勢からも強引にリングを蹴り、背後からのハルートの剣を飛び越えてかわした。

そして着地したアルゼルはハルートへと殴りかかったが、ハルートはのばしたままの左腕を曲げて前方を防御する。

いくつもの関節がサスペンションのようにアルゼルの拳からの衝撃を受け止め、更にアルゼルの攻撃の勢いを横へと受け流す。

アルゼルの横をすり抜けるように背後に回り込んだハルートだったが、その脇腹にアルゼルの裏拳が直撃した。

「直撃!ハルート、リングアウトだ!」

吹き飛んだハルートがリング外に転がり落ちる。

「ダメージポイントは1-6!

アルゼルが一気に突き放した!」

「やっぱり、反撃が上手いんだよな……」

火向はハルートを拾い上げ、リングに戻す。

「だからすぐ受けに回る。

積極性が無い……合理的だが、"熱さ"が足りないなぁ!」

ハルートが前進し、腕をのばした。

アルゼルはその攻撃を防ぐが、その瞬間にハルートが真正面から体当たりでアルゼルを弾く。

ハルートはバランスを崩したアルゼルを蹴って更に崩し、間髪入れずに右腕の剣を叩き付ける。

アルゼルは致命的な一撃には防御を間に合わせるが、踏ん張りが効かず弾き飛ばされた。

すかさずハルートは腕をのばして真っ直ぐ剣を突き出すが、アルゼルは左右の拳を付き合わせるようにしてハルートの剣を挟み受け止める。

ハルートはアルゼルの重量で引っ張られつつもバランスを崩さず持ちこたえるが、その隙にアルゼルはハルートの剣を支えに姿勢を立て直した。

そこからアルゼルは旋回し、捕まえられたままのハルートが振り回されそうになる。

ハルートはリング際のフェンスに叩き付けられる前に剣を捻ってアルゼルから離れるが、遠心力でリング際まで後退してしまった。

そこにアルゼルが拳を構えて突撃する。

「やっべ──」

火向は迷わずハルートを後退させリングアウトさせた。

アルゼルはリング際で急停止するが、その左腕にリング外からのびてきた転落中のハルートの剣が突き刺さる。

そのままハルートに引っ張られるようにアルゼルもリング外に転がり落ちた。

「ここで両者リングアウト!

ダメージポイントは5-9、ハルートは後が無くなった!」

司会がそう話す間に審判が絡んだアルゼルとハルートを離し、それぞれケンイチと火向に渡す。

ケンイチがリングにアルゼルを置いた瞬間、火向はハルートをリングに投げ込んだ。

ハルートが腕をのばして真っ直ぐに突き出した剣はアルゼルの防御が間に合ったが、ハルートは腕を畳む事で剣を弾かれた衝撃をいなしながらアルゼルを防御の上から蹴り飛ばす。

しかしアルゼルはハルートの蹴りを傷ついた左腕で受けており、破断箇所から腕フレームが折れた事でハルートの蹴りの衝撃を完全に逃がしきった。

そのままアルゼルは真正面のハルートを殴り飛ばし、リングの反対側からリングアウトさせた。

「決まった!アルゼル、ハルートをブッ飛ばした!

準々決勝進出を決めたのは赤コーナー、アルゼルだ!」

試合終了のゴングと司会の言葉が響く中、リングから遠く離れたステージ端にハルートが落ちる音が微かに聞こえた。

「しかし火向選手は最後まで攻めの姿勢を崩さなかった!

機体スペックに差があっても実力者の意地を見せつける試合だった事は間違い無い!」

司会の言葉を背に火向はステージ端へ向かい、ハルートを拾うとそのままステージを降りた。

「じゃ、次で燃え尽きるなよ」

火向がケンイチに向けた言葉はそれだけだった。




その後も2回戦は順調に進んだ。


「期待のルーキー猫村マイカ、ここで敗れる!

パワーファイトを征したのは金山アキトのアイゼンだ!」


「ロボットプロレスの本場、草加の小さな巨人!

北九州の重戦車をぶん投げた!

トワノミライ選手のはいぱー以下略、準々決勝進出!」


「桜木姉妹、完全復活か!?

BLAZE GEAR 紅蓮、日本ランキング7位Mr.NO CAMERAのもず吉に圧勝だ!」


「北の女王、またしても敗れた!

深山フブキ選手のコロロ、北海道統一大会に続きくっしーさんを撃破した!」


「難波の怪人が手も足も出ない!

MIO選手、新型のガン・ケルビムで文句無しの完勝だ!」


「全米1位は伊達じゃない!

キングザウラー、ゴウ・エルドラ選手、日本6位のホーンビートルをひねり潰した!」


「世界チャンピオン、伏見の奇人を秒殺!

堂守ハヤト、このまま今年も優勝するのか!?」




2回戦が終わり、その少女はまだ客席にいた。

自らの役割のため、大会が終わるのを待ち続けていた。




登場機体紹介


ハルート

操縦者 : 火向トウキ

ベース機体 : ソニックギア・アドバンスド

クラス : ハイエンドクラス

パワー : 8

スピード : 10

レスポンス : 20

モーション : 20

ウェイト : 7

リーチ : 12

バランス : 1

備考 : 凶器使用あり


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