使い魔との絆を強くしたい
「学園祭が終わったあとは、第十一章 使い魔召喚編だよ。これも、私楽しみだったんだよねー。ま、私はすでにクロガネって使い魔がいたんだけどねー」
「すでに使い魔がいる……と言えば、フィルちゃんもそうだったわね」
「確か、学園に迷い込んだ魔物と契約した……そうでしたよね」
「魔物と使い魔契約をした人物なんて、前例がない。彼女もまた、エランくんと違った意味で……いや、エランくんより珍しい事例と言えるね」
「えぇ。黒竜……というか、白竜と契約した魔導士なら過去にもいたらしいからね」
「それも、それは黒髪黒目の人間だったとか。これも、また後々出てくるんだけどね」
「使い魔契約には二種類ありますわ。フィールドさんのように使い魔となるモンスターとその場で契約する方法……そして、使い魔となるモンスターを自身の魔力で召喚する方法」
「自分の魔力を使って召喚するのだから、召喚されるのは術者との相性がいいモンスターだよ。ほとんどの場合、一度目に召喚したモンスターと契約するのが恒例だ」
「そして、使い魔契約を結べば術者と使い魔の間にだけ、いろんな繋がりが出てくる。
魔力の共有、視界の共有、そして意思疎通。術者は自分と契約したモンスターとだけ、喋ることが出来るんだ。頭の中での会話も可能だよ」
「それと、モンスター同士は会話できるみたいだから、使い魔を介して相手の使い魔がなにを言っているか……っていうのも、わかるわね」
「使い魔との契約は、魔導士としての力を大きく上昇させる。ちなみに、使い魔契約ってのは一人一体だけじゃなくて、複数契約も出来るみたいなんだ。師匠がやってたよ、たくさんのモンスターと仮契約ってのを」
「契約は、固い絆で結んだもの……けれど仮契約は、それなりの協力しか得られないけれど簡単に解除もできるということですわ」
「まあ、ボクたちは複数のモンスターと契約する余裕なんてないよ……いや、ほとんどの人がそうだろうね」
「師匠は別格ってことだねぇ」
「嬉しそう……」
「そうそう。契約したモンスターによっては、そのモンスターとの契約だけで許容量がいっぱいになっちゃって、他のモンスターとは契約出来ないんだって。
クロガネと契約している私が、まさしくそう」
「嬉しそう……」
「使い魔との連携を高めることが出来れば、できることの幅はぐんと広がる。エランくんやゴルドーラ様を見ていれば、それを実感するよ」
「そのためには、まず使い魔との絆を高めることが重要ですからね。相性のいいモンスターとは言っても、はじめから好感度が高いというわけでもないですし」
「うんうん。ダルマスやキリアちゃんは、使い魔がなかなか懐いてくれなくて苦労していたみたい。
特にダルマスは、使い魔の不死鳥は真の姿を術者にすら見せてないらしいし」
「使い魔との絆が高まった結果として、使い魔の力を自分に纏わせることもできる……ゴルドーラ様がまさにそれをやっていたわよね」
「サラマンドラの炎を纏わせて……ね。かっこよかったなぁ。私もクロガネと仲良いけど、あんなことはまだできないなぁ」
「まあ、エランくんとゴルドーラ様じゃ使い魔契約をした時期が違うからね」
「でも、使い魔契約をしたばかりのフィルちゃんは、使い魔の力をものにしていました」
「あの、獣の耳や尻尾を生やした状態ですわね。かわいかったですわぁ」
「どうしてその力を扱えたのかは本人にもわかってないんだけど、思い切り戦ったせいですぐに力尽きちゃったんだよね。そういう意味だと、力をものにしているのかはちょっと疑問だけど」
「このように、使い魔との絆を深めることで得られる力はまだまだわからないことが多い。そもそも術者と使い魔で同じ人はいないんだし、どんなことが起こるのかは誰にもわからないよ」
「モンスターの数だけ使い魔の特性も変わるもんねー。中には伝説の生き物を使い魔にした人もいるし」
「ルリーさんがまさに、カーバンクルと契約したんですわよね」
「それにダルマスは不死鳥、筋肉男はペガサスと……今年は、かなり珍しかったみたい」
「ゴルドーラ様のサラマンドラも強大だけど、珍しさで言ったらまた違うものがあるからねぇ」
「ただ、珍しいと言えばヨルくんの使い魔。人間を召喚したことも魔物と同じく前例がないけど、彼女はヨルくんの妹らしい」
「マヒルちゃん、だね。どうやら彼女は元々ヨルと同じく別の世界にいたらしく、ヨルに召喚される形でこの世界に来てしまったみたい。
ちなみにヨルは、自分は元の世界で死んでこの世界に転生してきたと思っていたみたい。でもマヒルちゃんが言うには、ヨルは向こうでトラックに轢かれて意識を失っているって話。つまり転移だね。しかも、ヨルはこっちで十数年を過ごしたのに、向こうじゃ一日しか経ってないって話なんだ」
「こういうのってだいたい主人公とかに起こるイベントじゃないの」
「そのマヒルちゃんは、私たちが二年生になったら生徒会に入ることが決まってるんだよね。いやあ楽しみだなぁ」
「フィールドさん、ヨルさんには厳しいのに妹さんに対しては好意的ですのねぇ」
「だってぇ、マヒルちゃんいい子なんだもん」
「すでに契約していた黒竜、魔物……そして新たに召喚した数々のモンスター、伝説の生き物、人間……面白い子はたくさんいるよ」
「面白いって、ナタリアちゃんの使い魔は喋るじゃない」
「そうそう。ナタリアちゃんが召喚したのは、私とルリーちゃんが魔大陸から帰ってくる途中立ち寄ったナカヨシ村にいたパピリだったんだよね。モンスターは基本しゃべらないけど、あの村にいたモンスターはしゃべるからびっくりしたよ」
「確かにボクも驚いたけどね」
「そうだ、魔物と言えば……フィルちゃんの使い魔が魔石を食べたら、魔獣になるのでしょうか?」
「それは……怖いこと考えるなぁ」




