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中庭、食堂近くの木陰でふて寝をしていたギャスパーは、ふと物音に目を上げた。
「……なにしてんだ、あいつ?」
視線を向けると、丁度、一階にある備品置き場の窓が開いて、そこから出てくる同期のグースハウザーの姿が目に入った。
「……ゴム弾?」
その手には、おそらく備品置き場に保管されていたのであろう参考用の銃とゴム弾が握られている。
「マジか、泥棒かよ。やるじゃねぇか、グースハウザー」
ガチャガチャと走りながら装弾する姿に、ひゅう、と思わず口笛を鳴らして口角を上げた。
ギャスパーは、グースハウザーという同期が、実は割と気に入っている。
当たり障りない優等生に見えるが、その実、どうしようもない負けず嫌いの匂いがしていたから。
給金の殆どを弾薬に費やし、弾薬は自前ですからと教官を拝み倒して、休日に黙々と狙撃の練習をしているのを、知っていた。
(あいつ、根性はあるんだよな)
〝天才〟などと呼ばれていることもあるが、そうではないと、ギャスパーは思うのだ。
グースハウザー・ラインスは、確かに〝天才〟かもしれないが、しかし、同時にどうしようもない、ただの負けず嫌いなのである。
これだけは誰にも負けたくないと。
無気力そうで無難な優等生の顔の裏で、たった一つ、執着している。
その泥臭くて無様な、1点張りのプライドが、ギャスパーには、密かに好ましく思えていた。
だから、気になった。
ゴム弾など持ち出して、一目散に体育倉庫の方に駆けていく後姿が。
「……どれ」
のそり、と、ギャスパーは芝の上に起き上がった。




