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神には届かない  作者: 空野
ウェルロッドの憂鬱
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19

 

 翌日から、サンダースはいつも通りだった。

 二日酔いだと頭を抱えて軍部に現れて、休暇は終わったと笑い。



 それが、〝英雄〟の誕生だった。



 以降4年、完璧な〝救国の英雄〟は、いつもそこにいた。

 だれが見ても隙も油断もない、〝英雄〟だった。


 そして。

 そんな〝英雄〟の見せる、ふとした緩んだ表情や自然な感情。

 それは変わらず、ラーグハルトだけが知っていた。


 おそらく、洗い浚いラーグハルトに話したことで、吹っ切れたのだろう。

 ショウとの思い出を誰より共有する友人、そして、自分の不完全な部分を誰より知る戦友だったからこそ。


 その戦友が誓った、支えるという約束は、きっと本当に〝英雄〟を支えていた。


 たとえ永劫に〝英雄〟でなけれならないとしても。

 ただ一人、全てを知ったうえで、自分を支える戦友がいる。


 その安堵こそが、酔いの逃避を辞め、永劫の役割を背負う覚悟を決める引き金になり得たのだ。


 それに気付いた時、確かにラーグハルトは幸福だった。

 はたして想いが成就しないとしても、幸福なことだった。


 変わらずに成就することもなければ、諦めることもない感情を抱えながら。

 けれど、自分の存在が、その人を支えることが出来ているならば。


 ただひとりの人の、唯一無二の支えで、あれるなら。


 それだけで、いいと思っていた。


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