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日当たりの良い部屋だった。
午後の日差しが照らす室内は明るくて、風に揺れるカーテンには汚れもなく、床も清潔で。
ただ、無数の酒瓶が転がっているのが、異様だった。
『おい、お前、骨折完治まで酒は禁止じゃなかったか?』
眉を寄せて振り向いたラーグハルトに、サンダースは何も言わずに肩を竦めただけだった。
『しかも、手当たり次第って感じじゃねぇか……』
書棚もソファも。机上も。
整っている部屋だけに、強烈な違和感だった。
どこにでも売っている大手のビールから、きっと秘蔵だったのだろう年代物の高級ワインまでが、手当たり次第に空けられて、フローリングの床に投げ出されている。
家にあったアルコールを片っ端から摂取したようにしか見えなかった。
『……何があったんだよ?』
『いや、特になにもない』
振り向くラーグハルトに、折れた左手の親指を庇いながら茶を入れるサンダースは、どこかボンヤリしている。
『少し、酒が恋しくなっただけだ。内戦末期は、殆ど飲めなかっただろ』
『少しって量かよ、これが。治るモンも治らなくなるぞ、医者の言う事はきいておけよ』
何か危機感は感じていた。
けれど、内戦の中で誰かが酒に走るのは、良くも悪くも慣れ切っていたから。
溜息まじりに酒瓶を片付けてやった日から、思えば、何かが変わり始めていたのかもしれない。




