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やがて時は巡り、士官学校は過去になる。
尉官として正規に配属を受け、働くようになり。
群靴の行進が響き、爆音轟く激動の時代へと放り込まれて。
それでも、彼等は近くにいた。
激動の時代の中で、それでも変わらずに、ふとした幸福な瞬間の思い出の中には親友達がいる。
真っ暗闇の中、遥か高い天に、真っ白な月だけが浮かんでいた夜の記憶。
『おい、絶対に、絶対に、目を閉じるなよ!』
海鳴りと、強い声が、今も耳に遠く残っている。
『絶対に。絶対に』
ラーグハルトが右目を失った夜だ。
右半身が血塗れになる怪我をした当人より蒼白な顔で、自分より長身の肩を支えて、一晩中、水辺の戦地を歩き続けたサンダースの声。
あるいは、窓から緩く撓むような白い光の差し込む、クリーム色の天井の記憶。
『二人とも生きててよかったよぉぉぉぉお!』
意識を取り戻した病院で見た、それは情けない、ショウの泣き腫らした顔に。
『ははは!本当にな、生きてて良かった』
半分になった視界で、それでも大笑いして、心の底から、そう思った、あの日の記憶。
つかの間の休息、駐屯地で酒を飲んで盛り上がった日。
そんな、いくつもの記憶。
ふとした幸福で奇跡のような一瞬一瞬の中に、彼等は存在し続けていた。
それは、とても居心地の良い時間だった。




