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そうして春に、その出会いはやって来た。
『僕は、ショウ。ショウ・グルーヴ。よろしくね』
ちょっとした書類上の都合の関係で、隣地の士官学校から移ってきたのが彼だった。
『ええと、ええと……次の授業は……!?』
決して有能なわけではなく、しかし、無能なわけでもない。
ただちょっと要領の悪い凡人。
けれどなぜか、その男には誰もが仕方ないなと笑いながら手を差し伸べた。
『ええええ!?この教室ってどっち!?』
『なんだ、ショウ、まだ慣れてねぇの?一緒に来いよ、こっちだから』
『ありがとう!助かるよ……!』
そんな、人好きこそすれ、凡人の凡人のようなショウは。
『どうしよう、サンダース!』
しかし何故か、自然に非凡なヒーローの隣に立つようになった。
『絶対この課題当てられる!でもこっから先わからないんだ……!助けて、サンダース!』
困り顔で両手を合わせる、東洋系の小柄な新入りの同期に。
『仕方ないな。どれだ?』
呆れたように笑いながら、それでも結局楽しそうに、いつも課題を見てやるようになったのがサンダースだった。
『あーこれか。ラーグハルト、お前得意だろ、手伝ってくれ』
同期内で常に主席を走り続ける御曹司。性格も良い人気者のサンダース・クレイガン。
飄々としているくせに、いつも総合順位で上位5番以内から落ちないラーグハルト・フライム。
寮の同室であることも踏まえて、誰もが自然と思っていた二人組に、ショウという異分子は、いつの間にかすっかり溶け込んだ。
夏が近付く頃には、秀才のコンビは、でこぼこのトリオに変わって。
『サンダース、また課題やってるの?それ提出まだずっと先だよ?』
ごく自然に、寮部屋には殆どの場合、ショウがいるようになっていた。
ずっと先に提出の課題を睨むサンダースに、両手いっぱいに抱えた菓子を見せて休憩しようと微笑んで。
『田舎の父さんから手紙が来たんだ。母さんもね、こんなにお菓子送ってきてさ、電話までかけてきたんだよ』
いつの間にかそこにいて、少し照れ臭そうに、そして素直に嬉しそうに、無邪気に笑っている。
『……そうか。それは良かったな。ちゃんと返事書けよ』
結局課題を閉じては振り向いて、クシャリと笑うサンダースは、いつも楽しそうだった。
『おーまーえーらー、結構イイ時間になっちまったぞ。そろそろ寮監が見回りに来るから注意しろよー』
二人を見守って、横から時々ちょっかいや忠告をするのが、ラーグハルトの役割だった。
『いざとなったら、ショウはベッドの下に押し込んで隠せば良いさ』
『ええ!?サンダース酷いよ!?』
『はは!そりゃ明暗だ!ジャストサイズだろうしな』
『ラーグハルトまで!確かに狭いところ落ち着くけどさ!』
ゲラゲラと笑い転げて、結局寮監に見つかって三人揃って叱られて。
それは、噓偽りなく、楽しい日々だった。




