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おそらく、愛されていないとか、放っておかれているとかでは、ないのだ。
クリスマスの朝に届いた、小山になるほどの華麗なプレゼントの数々。
インド産の珍しい模様の布張りクッションや寝具、アメリカで流行している最新のボードゲームが5つも。フランスからは、素人目にも高級な万年筆。
使用人総員名義で届いた大きなクリスマスケーキは、寮に残っていた同期達全員に、歓声と共に一瞬で食い荒らされてしまったけれど。
日に日に独裁政権による規制が強まり、贅沢の禁じられていく世の中にあって、これだけの物を士官学校まで届けるには、きっと、よほどの手間も金も掛かっているはずだった。
楽しげに笑って、同期達に気前よくケーキを譲ったサンダースも、そこに込められた思いは、きっと誰より分かっているはずだった。
それでも、だからこそ。
『おい、もう寝たらどうだ?』
提出まで、まだ日があるだろう、と。声を掛けたラーグハルトに背を向けたまま。
『もう少し。まだ、完璧じゃない』
机に向かったまま、黒髪の頭は左右に振られた。
『改善点があるはずだ』
失敗するわけにはいかない、と。
小さく、呟いて。
華やかで裕福で、優秀で。何もかも持っていたからこそ。
それに見合う人間でなければならないことを、賢いその人は、周りが期待するよりも先に自負していた。
なまじ元のスペックが優秀であるだけに、常に常に前回以上であろうとすることは、容易ではない。
クリスマスイブの夜。
華やかな贈り物を包んでいた、美しい包装紙を丁寧に畳んで載せた机の上。
深夜まで、課題を纏めるペンの音が響いていた事を、ラーグハルトは知っている。
(賢いくせに)
愚直な、とても不器用な、そんな親友だと、思った。




