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そうして、逃げ出した先。
故郷から遠い士官学校で。
ラーグハルトは、その親友に出会った。
『ああ、君が同室かな?』
未来で独裁者を撃ち落とす〝救国の英雄〟、サンダース・クレイガンは、そう言って笑った。
『兄弟もいないから、誰かと同じ部屋で暮らすのは初めてなんだ。なるべく迷惑は掛けないが、何か気に触る事があったら、ガンガン言ってくれ』
国内でも名の知れた兵器開発、貿易会社の代表の息子。
国内の軍事産業を掌握しようとした独裁者により、半ば人質として士官学校に招かれた、その少年は。
『ところで、2段ベッド、上の段は俺で良いよな?そのつもりで先に荷物も置いてしまったんだ』
自分の立場がわかっているのかいないのか、悪びれもせずに、何の緊張感も、心配ごともなさそうに。
ベッドの上段を指して、上機嫌にそう笑っていた。
『それから机はこっちが良いんだ。……君は、どうだ?ジャンケンになりそうかな?』
質素な、安い白の壁紙。
量産品の、どちらにしても変わり映えない木製机。
簡素なクローゼットが二つ。
開いた窓からは、真っ青な空と、眩しい緑の葉が覗き、真っ白に透き通る陽光が差す、古びた寮部屋。
窓を背に、我が物顔で机に腰掛ける黒髪碧眼の御曹司。
楽天家の、金持ちの坊ちゃん。
それが、第一印象だった。




