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神には届かない  作者: 空野
神には届かない
53/93

AM08:03(2)


(下だ)


 階下で何かが爆発したのだと瞬時に悟り、音に近い方向、斜め右を咄嗟に振り向いて。


 ガチャン、と、その手が、デスクの上にあった花瓶を倒し、転がったそれは、床に落ちて割れた。


(何やってんだよ!)


 思わず自分を罵倒する。同時に、隣室が静まり返った。


 5秒の沈黙。


『……おい、誰か、いるのか?』


 隣室から、警戒を含んだ固い声が聞こえた。 


『さっきの爆発で何か落ちたんじゃないか?』


『そこまで大きな揺れだったか?』


 とっさに壁紙に押し当てたグースの耳に、最高速度で走り始める心臓の音と、それに掻き消されそうな男達の声が聞こえる。うっかり悲鳴を上げそうな口を片手で抑え、グースは視線だけで室内をキョロキョロと見回した。


『見に行くぞ!』


 隣室の男達が動き出す気配。


(どうする?) 

 瞬時に壁から背を離して、グースはドラグノフを掴んだ。三脚から外して、その三脚はベット下へ蹴り込む。

 少し覗き込まれてしまえば終わりだが、パッと見は隠せたと言えなくもない。


(でも、隠したところでどうするんだ!?ドアから出て逃げようとすれば鉢合わせ……。窓……この高さから、飛び降りることができるか……?)


 バクバクと早鐘を打つ心臓。焦った頭の中でも、窓から飛び降りることは完全に自殺行為であると判断。


(よしんば飛び降りで死ななくても、怪我をして動けなければ、詰みだ)


 蹲っているところを見つかり、そのまま上から撃たれるオチが見えている。


(じゃぁ、どうする……!?)


 ガタガタと、隣部屋から移資する物音。間もなく、この部屋は分かりにくい位置にあるとはいえ、資料室を一周すれば流石に気付くはず。そこから、扉に掛けた鍵を壊す時間を加味しても、恐らくタイムリミットまでは3分ほど。


「……どう、すれば良いんだ……?」


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