AM08:03(2)
(下だ)
階下で何かが爆発したのだと瞬時に悟り、音に近い方向、斜め右を咄嗟に振り向いて。
ガチャン、と、その手が、デスクの上にあった花瓶を倒し、転がったそれは、床に落ちて割れた。
(何やってんだよ!)
思わず自分を罵倒する。同時に、隣室が静まり返った。
5秒の沈黙。
『……おい、誰か、いるのか?』
隣室から、警戒を含んだ固い声が聞こえた。
『さっきの爆発で何か落ちたんじゃないか?』
『そこまで大きな揺れだったか?』
とっさに壁紙に押し当てたグースの耳に、最高速度で走り始める心臓の音と、それに掻き消されそうな男達の声が聞こえる。うっかり悲鳴を上げそうな口を片手で抑え、グースは視線だけで室内をキョロキョロと見回した。
『見に行くぞ!』
隣室の男達が動き出す気配。
(どうする?)
瞬時に壁から背を離して、グースはドラグノフを掴んだ。三脚から外して、その三脚はベット下へ蹴り込む。
少し覗き込まれてしまえば終わりだが、パッと見は隠せたと言えなくもない。
(でも、隠したところでどうするんだ!?ドアから出て逃げようとすれば鉢合わせ……。窓……この高さから、飛び降りることができるか……?)
バクバクと早鐘を打つ心臓。焦った頭の中でも、窓から飛び降りることは完全に自殺行為であると判断。
(よしんば飛び降りで死ななくても、怪我をして動けなければ、詰みだ)
蹲っているところを見つかり、そのまま上から撃たれるオチが見えている。
(じゃぁ、どうする……!?)
ガタガタと、隣部屋から移資する物音。間もなく、この部屋は分かりにくい位置にあるとはいえ、資料室を一周すれば流石に気付くはず。そこから、扉に掛けた鍵を壊す時間を加味しても、恐らくタイムリミットまでは3分ほど。
「……どう、すれば良いんだ……?」




