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神には届かない  作者: 空野
神には届かない
36/93

PM22:01(4)


 秋の夜の静けさは、深い。

 グースは、柔らかい毛布に顔を埋める。

 

 悲しかった。

 

 信じていた〝英雄〟が、ただの〝人間〟だったことが。

 そのただの人間が、想像もつかないような重圧を背負って生きているという、世界が。


 ただ悲しくて、哀しくて、可哀想だと、思った。


 そして、可哀想だと思うくせに、その可哀想な人が、ただの人間である事が悲しく、怖くて、残念で、勝手に裏切られたような気持ちになって憤っている自分が、憎かった。


「俺は身勝手だ。いつだって」


 いつだって、我が身が可愛かった。

 いつだって、他者の痛みなんて理解できない、知りたくない。


 そういう奴なのだ。

 そういう奴だから。


 こんな自分を、消してしまいたかった。


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