魔王と赤髪のエルフ その2
皆さんお久しぶりです、約一週間ぶりの更新です。
今後も自身の妄想の更新を続けていくので、暇があったら見て行ってください。
ただ最近時間が取り辛い状況の為、二日に一回の更新を基本にします。すみません。
勿論早く完成したらその限りではありませんが……以前ほどのペースでの更新は難しいと思います。ご了承ください。
ではお待たせしました。本編をお楽しみください。
「ほう? 反逆罪……ですか? ……この私に?」
俺の問いかけに、対面の椅子に腰かけたアレイストは笑顔を崩す事無く一つ頷く。
その笑顔を受け、自身の感情が昂っていくのが解る。
(なかなかに面白い手を打ってくるじゃないか……)
昂る感情のままに、仮面の下の顔は愉悦に歪む。それを悟られた訳では無いだろうが、アレイストは静かに切り出してくる。
「勿論、既にある程度の調査は済んでいます。その上でのピース現代表の判断である為……と言っても、あの方は書類に目を通しただけでしょうが……それでも、拒否をしない方が身の為であると思いますよ。」
これが一対一の勝負であるのなら、アレイストの言葉はブラフである可能性も捨て切れなかったが……今、俺が相手にしているのアレイストを始め、彼の後ろに控える男共は、全員がその胸にこの国の役員証を付けている。
つまり彼は既に、俺を取り押さえる準備は済んでいる……と見てもいいだろう。
その上で、あくまで俺の任意での同行を望んでいる……多分だが、やろうと思えば強制的に連行する事も可能であるはずなのにだ……
それらを総合して考えるとすると、アレイストの……いや、今はまだ正体の解らぬ赤髪の目的は、俺の持つ生成技術、並びに得られる限りの情報……と見るべきだろう。
任意であれ、ついて行こうものなら、薬や拷問など、ありとあらゆる手段で情報を吐かせに来るのは目に見えていた。
「ふむ……ちなみに、どういった内容で疑いが掛けられているのかな? 私には思い当たる節が無いのでね……まさか仮面を四六時中つけているから……とか言わないだろうね?」
努めてとぼけた声を出すように心がける。そのとぼけた雰囲気に、アレイストも俺の思惑を見透かしたのだろう、その張り付けられた笑顔を一瞬固めるが、それでも尚崩す事無く答える。
「コメスさん。貴方が今営業している店、その店で取り扱っている商品何ですが……実を言うと、この国で保管している極秘技術に酷似しているのです。……ここまで言えば解りますよね?」
「ああもちろん。つまるところ、私には国の技術を盗んだ……という疑いが掛けられているのだろう?」
「はい。勿論まだ疑いである為に、貴方からの詳しい証言を聞き、その上で国の判断を仰ぐ……という事になりますがね。」
アレイストの言葉に淀みは無い、まるで俺の言葉が想定通りだと言わんばかりに、開示すべき情報を明かしていく。
その上で、必要以上の情報を相手に与えない……人を食った様な態度と良い、彼の評価は高い所に置いといた方が良いかもしれない。
内心のアレイストに対する評価を定めつつ、彼が俺の探している人物かも判断しなくてはいけない……しかしその為の情報が不足しているのが現状だ。
故にそろそろ俺の方からも動いてみるとしよう。
「……ですがおかしいですね? それだと、私に国家反逆罪の疑いが掛かる事自体が有り得ない。」
「……どういう事でしょうか?」
小馬鹿にしたように、ふざけた様に声を掛けても尚、アレイストの笑顔は剥がれない……その顔、いつまで保てるか見物だな。
「おや? 解らないというのかね? 考えてもみたまえ、私の店に今並んでいる商品……その全てが量産品だ。……まさか量産品が国の極秘技術だとでもいうのかね?」
「……そうですね。確かにその通りです……ですから量産されている現状が問題なのです。見た所あれは複製ですが……その元となった物をどこから手に入れたのかが僕達は知りたいのです。」
まだまだ余裕の様だが……それでも、声音には若干の苛立ちが含まれているのが解る。
流石に国の極秘技術……というのは、俺を拘束する為に作り上げた嘘だと思うが……リジィー・スロードとして生きた時間の中で、類似したアイテムを見たことが無く、その事から量産品であるとは思えないそれらを、躊躇い無く他者へ譲れるという事から、赤髪は、あれら三つのアイテムの設計者であると俺は判断した。
だからこそ、今の苛立ちが赤髪とアレイストを結び付け始める……だがまだ確証には至らない……なら確証を得る為に行動するべきだろう。
「駄目じゃないかアレイスト君。そんなとぼけた事を言うなんて。あんな……ゴ・ミ……を国の極秘技術だなんて……幾ら君が役員であろうと、あの程度の技術を誇っているというのなら、マクジ共和国に失礼じゃないか?」
誰だって、自身の作った物を侮辱されるのは嬉しくない。
これで激昂してくれるなら簡単に判断できるのだが……其処はさすがというべきか、笑顔を剥がしてはいるが、それ以外の反応を見せずに静かに此方を見据えている。
その瞳の奥からは何も見えない……心を隠す事に長けているのか……はたまた意図的に感情を押し殺し、何の反応もしない様にしているのか……アレイストは沈黙を続けている。
その雰囲気に気圧された訳では無いが、後に続く言葉も思いつかなかったためにそれ以上の追撃はしない。
そして俺のその後の言葉が続かないことを確認し、彼は口を薄く開く。
「……コメスさん。貴方は今……あの三つのアイテムをゴミ、と言いましたか?」
先ほどまでの陽気な声音が嘘の様だ、その抑揚は殺され、俺の動きを……指の動きや腕の、首の動きは元より、視線や呼吸の乱れなど、ありとあらゆる動きを吟味し、此方の内心を伺おうとしているように感じられる。
その態度の変化に面を食らいながらも、俺も彼の考えを読もうと試みる。
しかし先ほどもそうだったが、此方の表情も考えが読めない……それ故にどう返すべきか迷っていると、アレイストは俺の沈黙を肯定と受け取ったのだろう、言葉を続ける。
「……非常に愚かしいですね。物を作った事すら無い貴方が、あのアイテムをゴミだと言うのは……確かに貴方の雇っている設計者、並びに製作者は優秀でしょうが、それを自身の手柄だとはき違えるのは、どうかと思いますよ?」
……怒りが込められているのは解る……しかし、決定的な証拠が手に入らない。
あくまで、あのアイテムは自身の物では無いという形を貫き通すのか……もしくは、本当にこいつは俺の探している赤髪とは違う人物なのか……どっちにも判断を振る事は出来ないのが現状だった。
だからまだ会話を終わらせる事も、相手に主導権を握らせる事もさせたくなかった、故に此方も多少の情報位なら開示し、餌をばら撒くべきだと判断を改め会話を続ける。
「アレイスト君、君は勘違いしいる様だ。確かに私の配……部下は優秀だ、それは認めよう。しかし、私自身も数々の……そう、とても多くの道具を作ってきた。その経験と知識からゴミだと言ったのだ。それを撤回しろというのなら、せめてまともな物を作ってからにしたまえ。」
「……まともな物……ですか? 例えばでいいのでお聞かせ願いたいものですね。」
「ふむ……まぁいいだろう。私の部下……サロスというのだがね。彼も言っていたのだが、まず剣の形を取っているのに、まともに剣として扱えないのは訳が解らない。あれなら、初めからもっと小型の携帯性を重視した物にするべきだ。また腕輪なのだが……有視界内の瞬間移動など使い道が限られる。どうせ作るなら多少距離が短くなったのだとしても、視認せずとも、近距離を任意で移動出来た方が使い勝手が良い。最後にイヤリング、あれは索敵に必要な情報を根本的にはき違えている。何故わざわざ俯瞰視点で情報を得るようにする? あれでは高低差も加味して行動しなくてはいけなくなるではないか。はっきり言って未完成と言わざるをえないな。」
俺の率直な言葉に、アレイストの視線は少し鋭くなる。俺の出したサロスの情報と共に、今の俺の見解から、俺自身の力量も見定ようとしているのだろう……そしてその姿から、最初程の余裕が無いのが見て取れる、何故なら段々に奴の考えが見えて来たためだ。
内心でやっと考えが読め始めた事に安堵しつつ、それと共に彼の理性には感嘆を覚える……というのも、先ほどまでの怒りは直ぐに静まったのだ。
あくまで自身の目的を果たす……その決意が込められた瞳と共に、彼は話の主導権を握りに来る。
「……そうですか、それは失礼しました。……そうですね、興味深い話も出た事ですし、そろそろ僕達と共に来てもらいましょうか……先ほども言いましたが、あれらが量産品であれ、それをどこで手に入れたか解るまで、反逆罪の疑いは……」
「スアー公国で手に入れた。」
俺の言葉にアレイストは固まる。
……少々強引な手ではあったが、その反応で、こいつが俺の探している赤髪であると確信したからだ。
何故なら、この情報は少数しか……それこそ、リリアの誘拐に携わった人物しか知らない情報だからだ。
もしこれが何も知らない人物なら、この情報に返される反応は疑問が普通なのだ……当然だ、何故スアー公国にマクジ共和国の極秘技術があるのか……疑問に思わないはずが無い。
しかしこいつはそれをしなかった……いや、出来なかったというべきか。今なら解るぞ、アレイストは咄嗟に迷ったのだ……スアー公国にあったという情報を知っているが故に、どう反応するべきか……
もしかしたら……彼が平常心であれば今の俺の言葉にも、何ともない様に正解を返せたのかもしれない……しかしこいつは既に、怒りや呆れなど、大方平常とは程遠い感情を抱き、それを理性で押し殺していた……狙った訳では無かったが、思わぬ所で彼の判断は俺の役に立ってくれた。
自身のその失態を感じたのだろう、慌てて取り繕う様にアレイストは此方に笑いかける。
「嫌ですね。そんな嘘が通じるとお思いですか? 着くのならもっとましな嘘を……」
「嘘と断じるのならそれでいいが……君の求めている答えは既に出したぞ。それ以上の答えを出せないのだから……わざわざ私が出向く事もあるまい、後は国の判決が下るのを待つとしよう。」
目的は既に達した、これ以上の会話も必要なく、かと言ってこれ以上こいつらの児戯に付き合ってやる気も無かった俺は、これで終わりだと言外に告げ椅子を立ち上がる。
アレイストは俺の行動が予想外だったのだろう、目を驚愕に見開くと共に慌てて声をかける。
「コメスさん……こう言っては何なんですが、貴方に拒否権など初めからありませんよ。大人しく僕達について来てもらいましょうか。」
(拒否権が無いというのは強く出た物だな……権利なんぞ初めから全て俺の物だ、いつ何時であれ、お前にくれてやった事など無い。)
内心の呆れと共に、アレイストの言葉を無視し部屋を出ようとする……すると自身の体に……体中の至る所に激痛が走る感覚が襲い掛かる。
まるで全身の皮膚を熱した刃物で切り付けられたかのように、鋭い痛みと持続する痛みの両方を受け、たまらず床に体を投げ出していた。
「「リッ……コメス様!?」」
うつ伏せである為に周りの状況は解らなかったが。
スロノドールとルウワーフの悲鳴と共に、二人が俺の傍に駆け寄るのが解った。
それに何とか片手を上げ答えながら、苦痛で叫びだしそうになる口を必死に抑え込む。
俺の今の無様な姿を眺めているのだろう、未だ腰に掛けたままであると思われるアレイストは、静かに呆れた様に声を掛ける。
「コメスさん、だから言ったじゃないですか。貴方には初めから拒否権は無いんですよ。……悪いですが、貴方と握手した際に呪いを掛けさせてもらいました。解除方法は目的地に着く事と設定しているので、その痛みから解放されたいのなら僕達と来た方が良いですよ。」
その気の抜けた言葉に苛立ちと怒りが募る、こいつは一度ならず二度までも俺に喧嘩を売ったのだ。これからゆっくりと、アレイストの処刑方法を考えようと考えていた矢先の事であった為、尚更に怒りは強くなる。
全身の皮を剥がれ、その剥かれた体に冷や水を浴びせかけられた様な痛みを受けながら、宝物庫を開き祝福の福音を取り出し振るう。
大きく振れず、尚且つ衣服に音が吸収されたため、福音から出された音は酷く小さな物ではあったが、効果ははっきりと表れる。
持続する痛みは一瞬で消え、つい先ほどまでの痛みが嘘の様に無くなる。
体の内部に意識を向け、呪いが解かれたのを確認し、それに安堵に近い感情を覚えながらも、荒くなった呼吸を整える為深い呼吸を繰り返す。
完全に後手に回った形だ……もしこれが苦痛を目的とした物でなければ死んでいたかもしれない。
(人間の体というのは此処まで脆いのか……昔の体なら、意識せずともこの程度の呪いなら無効化出来たのに……)
自身の体の想像以上の脆さに、考え方を改めるべきだと思いながら静かに立ち上がる。
その俺の姿を認め、安堵の表情を浮かべたのはルウワーフとスロノドール……そして、驚愕を浮かべたのはアレイストと彼の部下全員だ。
アレイストの部下はともかく、アレイストに取っては、この呪いは俺を拘束する為の切り札だったのだから当然だろう。そしてそれを返された時の手も考えていないのだろう、口をパクパクと開け閉めしながら目を見開いている。
……まぁそんな事はどうでも良い、一息に持って行かれた体力と共に、気怠くなった体を動かしながら、さっさとこの場を立ち去る事にした。
「ルウ、スロノ。客人たちはお帰りだそうだ。お見送りしなさい。私は自室に戻る、少しの間休ませて……」
「待て!!コメス・ドール!!貴様一体何をした!?」
俺の指示が遮られた事で、スロノドールとルウワーフはアレイストを睨み付ける。
しかし、殺気に近い二人のその視線を受けて尚、アレイストは引く事は無い。
「僕の魔法は……呪いは……完璧だ!!この世界で解除出来る者などいない!!」
……彼は存外自尊心が強い様だ。興奮に鼻息を荒くしながら、今日の対面時には想像できない程に髪を掻き毟り、叫ぶ。
そのかき鳴らす様に喚きたてられる叫びが不快で、さらには、あの程度の魔法で完璧だとほざくその厚顔無恥な態度が不愉快で、それに答えてやる気力も起きなかった。
そんな俺の内心を察したのだろう、俺とアレイストを遮る様に、ルウワーフとスロノドールは一歩踏み出し、声を揃えてアレイストに答えを告げた。
「「ゴミが我が王を超えられるとほざかないでください。不愉快です、さっさとこの屋敷から出ていってください。」」
二人の後姿で表情は見えないのだが……きっと今の二人の形相は恐ろしい物なのだろう。
アレイストを除いた全員が、咄嗟に一歩身を引いている。しかしその形相を受けても尚、アレイストの視線は俺に向けられていた。
これ以上俺から話すことも無かったが、何となくその視線を受け、返していると……彼は横に首を振り呟いた。
「……僕を侮辱した事を後悔させてやる。」
一種捨て台詞にとも取れる言葉と共に、アレイストは部下に指示を出しこの部屋から、そしてこの屋敷から出ていく……彼らが去った後を眺めながら、俺は少しばかり上がった口角そのままに、呟き返す。
「やれるものならやってみろ。貴様が生き残る事が出来る道は、俺を殺す事だけだからな。」
近々この屋敷の奴隷を含め、全員を魔王城に退避させる事を視野に入れつつ、俺は次の手を考え始めていた。
◇◆◇◆◇◆◇
「ああああああああああああああ!! くそっくそっくそぉぅ!! 僕の作った物がゴミだと!? 僕の魔法がゴミだと!? ふざけるな!! コメス・ドール!!」
自身に宛がわれた役員室、個室である為に自身しかいない部屋の中、アレイストは豪奢な椅子に腰かけながら頭を掻き毟る。
「僕は!! 魔法の天才だぞ!? その僕が作った物を……僕が掛けた呪いを侮辱するという事は、この国を侮辱する事と同じだぞ!!」
昂り、発狂に近い部分までにつり上がった感情をそのままに机を叩き付ける。
一つの鈍い音と共に、叩き付けた両腕が鈍い痛みを訴えかけてくる、しかしそれは既に気にならない程に意識は昂っている。
「ふざけるな!! 何なんだあいつは!! 僕の考えを読んでいるかのようにことごとくかわしやがって!! スアー公国で手に入れた?そんな事解り切っている!! 僕が欲しいのはその先の情報だ!!どうやって手に入れたか、どうやって複製したかだ!! そんな事を聞きたいんじゃない!!」
コメスと対峙しアレイストが思ったのはその得体の知れなさ……彼はまるで此方の内心を見透かすように話の腰を折りにかかったり、とぼけた事を言って来た。
それだけなら商人であるのだから当然だとも言えた……しかし、それ以上に可笑しな部分が多々あった。
まず最初の違和感は任意の同行を拒否した事、これは自身が知っているからこそ解るが、コメスの言う通り、彼が手にしたアイテムはスアー公国で手に入れた物であるはずだ。それがどういった形で手に入れたのであれ、コメスには何もやましい事は無いはずなのだ。
だからわざわざ拒否する理由が無い……当初の予定では、彼を連れ出し、相応のもてなしをした後に協力を仰ぐつもりだった。
しかし、何故か同行を渋った彼は、終始敵意に近い感情を自身に向けていたのだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……本当に何を考えているんだ? 僕を手玉に取ったのもそうだが、何故ああも僕に敵意を向ける。彼とは初対面だったはずだ。」
興奮で抑えが利かなかった感情は、物に物理的に叩き付けた事で多少落ち着いた。
昂った感情は思考の妨げになる事が解っている為に、その感情が落ち着く事は喜ばしいが……自身でもいささか淡泊だと思ってしまう。
だが、それが悪い方向に繋がる事は少ない為気にはしない。落ち着き始めた感情のまま、疑問を整理する。
「……敵意もそうだが、彼の言葉の端々に見えた探りは何だ? それと彼の部下……短時間であのアイテムを大量に複製するなど、どういった技術を持ってすれば作る事が出来る?」
解らない事の方が多いのが事実であった。いや、むしろ解る事など一つも無いのではないかとさえ思ってしまう。
僕の知恵の結晶をゴミと言い放ち、その上で彼自身も相応の実力を見せつけて来た……彼が行った神官技能であると思われる解呪の方法は、彼が床に倒れている間に行われ、此方に手の内を見せる事無く終わっていた。
「完全に油断していたな。こうなる事が解っていたなら、呪いが発動した後も目を離すべきでは無かった。」
後悔は尽きないが今更遅い、取り返しがつかない事よりは先に目を向けるべきだろう。
その切り替えと共に、コメスを潰す方法を考える。
当然だ……既に彼を取り込むなんて甘い妄想を考えられる状況では無い。自身の失態の部分が大きいが、自身は既に彼に呪いを使い、失敗しているのだ。
本来なら解除されるはずの無かった呪いを用いる事で、少しでも自身に有利な条件を……此方の足元を見られない様に恐怖を植え付けたかったのだが……それが完全に裏目に出てしまった。
既に協力関係を結べる心証では無いだろう……むしろ敵対関係と言ってもいいかもしれない。
故に未だ未知数である彼らの力が僕に……ひいてはこの国に害を及ぼす事は想像に難くなかったのだ。
……それとは別に、自身もあれほど馬鹿にされて引き下がれるほど大人しくは無いのも事実でもあるが……それは私怨であるため思考とは切り離して考えるべきだろう。
ともかく、自信の持てる全てを使ってコメスを潰す事を考え始める。あんな化け物をこの国の内部に、それも首都に置いておくわけにはいかなかった。
「他の役員の皆さんには悪いけど、ここからは僕の独断で動かせてもらうとしましょう。それでも、まだ皆さんと考えた想定の内ですから問題無いでしょうが……」
思考は口から漏れ出て、誰もいない部屋の中に響き渡る。それに返事をするものはいないが、そんな事は関係なくアレイストは呟きを続けた。
「確かに素晴らしい実力を持っているようですが……たまたま神官技能を習得していて、たまたま僕の呪いと相性が良かったと言うだけで、魔法使いである僕を侮辱し喧嘩を売ったのです。絶対に許すつもりはありませんよ。コメス・ドール」
その中性的な顔立ちに不敵な笑みを浮かべ、アレイストはコメスを……リジィー・スロードを追い詰める方法を考えていた。
彼の自身の魔法に対する絶対の自信の前には、今からでもリジィー・スロードから手を引き、この国から逃げ出すという考えは、欠片も思い浮かぶ事はなかった。
本当なら小物キャラはアレイストでは無く、プライドの役割だったんですよね。
リジィーの過去話で、ローズにちょっかい掛けるのも本当はプライドの役割でしたし、パーティー編でもひと悶着を想定していたんですが……
リリアの動きが大幅に変わってしまったためにプライドの配役も変更、結果として小物になっちゃったアレイストはご愁傷さまです。
……彼は作者の脳内設定では優秀なんですよ……少なくとも、魔王様と10魔族の二人に気付かれずに呪いを掛けられる程にはね……
このままでは味気ないので、もう少しアレイストには活躍してほしいな~と思いつつ次回に続きます。
まだまだ誤字脱字などが多いですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
ではまた次回の機会に




