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65話 二刀の原点(五つの力を操る双刃)

「――そこまでだ、シン。刀を収めな」


ジンの冷徹な声と共に、シンの手から漆黒の日本刀『アマテラス』が光の粒子となって消滅した。

シンはその場に膝をつき、激しく肩で息をする。体内では、ジンに言われた5つの力――飛竜、鳳凰、暗黒闘気、波動、そして最高神アデルの聖光――を一本の刀に込めようとした歪みが、激しい負荷となって駆け巡っていた。


「ダメだ、完全に拒絶反応を起こしてやがる。一本の『アマテラス』は確かに究極の座だが、今の神威が高すぎるお前があの刀に頼りすぎると、5つの膨大なエネルギーが一本の狭い回路に集中しすぎて内側から破裂するぞ」


ジンは自らの腰にある二振りの黒剣を軽く叩き、不敵に笑った。


「お前が昔、ライトとの死闘でも使った『四象破滅陣(クアッド・ディザスター)』を思い出してみろ。あの時は、お前の中にあった四象のバランスを、無意識にうまく分散させてたはずだ。……シン、お前の原点は何だ?」


「僕の、原点……」


シンは己の両手を見つめた。孤独だった自分をジンが拾い、最初に教えてくれたのは、二振りの木刀を握る『双剣術』。


「一本の刀に頼るな。あえて『二刀流』に戻れ。右の刃と左の刃、お前の二つの手でお前の中の5つの力を正しく分散させ、調和させるんだ」


「二刀流で、5つの力を……!」


シンの瞳に、本当の進むべき道が見えた。

強すぎる『アマテラス』の一撃に無意識に甘えていた己の未熟さを自覚した瞬間、シンの両手に、再び神聖なる『日輪の剣』と『鳳凰の剣』が具現化した。


「右手に飛竜と波動、左手に鳳凰と暗黒闘気……そして、胸のアザにあるアデル様の聖なる光を、その二つの剣を繋ぐ『架け橋(核)』として真ん中に通す……!」


シンが二振りの剣を構え直すと、先ほどまでの暴走しかけていたエネルギーが、嘘のようにピタリと静まり返った。いや、静まったのではない。右の剣と左の剣に莫大な力が正しく分散され、シン自身の肉体を媒介にして、完璧な黄金比率で循環し始めたのだ。


「ほう……一瞬で答えに辿り着きやがったか。おもしろい」


ガイルが獰猛に牙を剥いてニヤリと笑う。

「おいシン! 理屈は分かった。だが、その5つの力を乗せた二刀流の新しい必殺技、俺たちの身体に叩き込めるまで制御できなきゃ意味はねえぞ!」


「いきます、ジンさん、ガイルさん! これが、僕の本当の二刀流です!」


シンが地を蹴る。その右手の剣からは飛竜の咆哮を伴う波動が、左手の剣からは漆黒の暗黒闘気を纏った鳳凰の蒼氷が噴き出し、胸の聖痕から放たれるアデルの聖光が二つの軌跡を神々しく繋ぎ止める。


『四象破滅陣』を超え、アマテラスの先へと至る、シンだけの完全なる「二刀流・新必殺技」の誕生へ向けて。双刃の閃光が、夕暮れの裏庭を眩しく切り裂いた。


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