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64話 五つの輝き(新なる極意のヒント)

地獄のような手合わせの合間、荒い息を吐きながら木刀を杖代わりにするシンに、ジンは二振りの黒剣を鞘に収めながら静かに語りかけた。


「おい、シン。お前がサタンを討った『陰陽神裂・光輪斬』は確かに凄まじい威力だった。だが、……お前は、その一本の刀『アマテラス』に、どこまでの力を込められると思ってやがる?」


「どこまで、ですか……?」


シンは自らの手にある、深淵なる漆黒の刀身を見つめた。

これまでは『日輪』と『月読』、あるいは『四象破滅陣(クアッド・ディザスター)』のように、4つの属性の力を陣に組み込むのが自分の限界だと思っていた。


「お前の中に眠る力を、もう一度よく数えてみろ」


ジンはシンの右胸――最高神アデルの加護が宿る【聖痕(アザ)】を指差した。


「お前には、お前自身の根源である『飛竜の力』と『鳳凰の力』がある。そして俺から受け継いじまった不条理な『暗黒闘気』、それを内側から爆発させるガイルの『波動』……ここまでは四象だ。だがな、お前の右胸には、あの最高神アデル様の『聖なる光の力』が今も確かに脈打ってやがる」


「アデル様の……光の力……」


「そうだ。陰と陽、聖と魔、そして獣と鳥の王の系譜――本来なら一つに交わるはずのねえ、その『5つの力』を反発させずに完全融合させて一本の刃に上乗せする。それができりゃあ、お前は『四象破滅陣』を遥かに超える、前人未到の『5つの混合の新技』に手が届くはずだ」


ジンの言葉は、シンの脳裏に雷が落ちたような衝撃を与えた。

5つの力を混ぜ合わせる。それは一歩間違えれば、己の肉体が内側から木っ端微塵に弾け飛ぶほどの超危険な領域だった。


「……5つの力を、一つに。それが、僕の目指すべき次の場所」


シンは目を閉じ、自身の内側へと意識を集中させた。

確かに、深く、熱く、5つの異なる巨大なエネルギーの源泉が、互いを牽制し合うように体内で渦巻いているのが分かった。これを一本の刀『アマテラス』を依り代にして、完璧な黄金比率で調和させなければならない。


「ハッ、顔つきが変わったな。死ぬほど難しいぞ、シン。体内の魔力回路が消し飛びそうになったら、すぐにガイルにぶっ飛ばさせて強制終了させるからな」


ジンの背後で、キラーパンサー姿のガイルが「おう、いつでも爪を立てて止めてやるぜ」と不敵に尾を揺らす。


「お願いします、ジンさん、ガイルさん! 僕は……絶対にこの5つの力を手なずけてみせます!」


シンが『アマテラス』を力強く正眼に構えると、その刀身から、純白の聖光、どす黒い暗黒闘気、そして竜と鳳凰のオーラが、凄まじい波動となって周囲の空間をピキピキと震わせ始めた。


その頃、離れた荒野でヒミコから魔法の猛特訓を受けていたユイも、シンの元から放たれた尋常ならざる気配を察知し、そっとその方向を見つめていた。

(シン……凄く、大きくて激しい力が動いてる。……負けないよ、私ももっと強くならなきゃ!)

ユイはさらにその身に水の精霊の魔力を激しく滾らせ、ヒミコの標的へと突撃していく。


誰よりも強くなるために、お互いを高め合う二人の天才。

『四象破滅陣』を超える、新たな究極技の習得に向けた、シンの孤独で壮絶な内面との戦いが幕を開けた――。

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