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60話 陰陽合一(絆が導く一刀)

「お、おのれぇぇぇ……! 認めん、神をも超えたこの私が、人間の虫ケラどもに敗北するなど絶対に認めんぞ……! 世界ごと、お前たちを塵の海に沈めてくれるわぁぁぁッ!!」


全員の総力を結集した猛攻を受け、肉体をボロボロに破壊された魔王サタンが、己の命そのものを削りながら狂乱の叫びをあげた。その胸の前に、世界のすべてを跡形もなく消滅させかねない、最悪の「超極大の暗黒エネルギー」が急速に形成され、膨れ上がっていく。


押し寄せる破滅のプレッシャーに、ライトたち仲間が一斉に身を構える中――シンだけが、静かに、一点の揺らぎもない足取りで最前線へと歩み出た。


その右手に握られるは赤蓮の聖剣『日輪』。左手に握られるは蒼氷の聖剣『月読』。


「ハ、ハハ……ッ! その構え、その二本の輝きは……!」


シンの姿を見た瞬間、サタンの顔がこれまでにない本物の恐怖によって激しく歪んだ。


「あの時……かつて神の眷属カムルの力を完全に奪い去った、あの忌々しい力……! だからこそ、二度と目覚めぬよう呪いの鎖で魂ごと縛り付けたというのに……! なぜ今のお前が、再びその姿を現すことができるのだァォォ!!」


「サタン。お前の歪んだ闇も、僕のために命を懸けてくれたみんなの温かい光も、今の僕なら――そのすべてを正しく受け入れられる」


シンは静かに呼吸を整えると、手にした二つの聖剣を、胸の前で美しく十字に交差させた。


「――【陰陽合一(いんようごういつ)】」


刹那、二本の聖剣が視界を真っ白に染め上げるほどのまばゆい光に包まれ、ひとつの形へと融解していく。光が収まったシンの手には、二本の剣ではなく、一本の息をのむほどに美しい『刀』が握られていた。


世界のすべての光を限界まで吸い込むような、深淵なる漆黒の刀身。それが鞘から引き抜かれた瞬間、戦場のすべてを支配する、絶対的な神威『アマテラス』の波動が世界を包み込んだ。


「バカなァァァ! 死ねぇ、神殺しの小倅(こせがれ)がぁーッ!!」


完全に絶望し、理性を失ったサタンが、世界を滅ぼす最大威力の暗黒エネルギーを解き放った。


しかし、シンは恐れることなく、その漆黒の刀をただ静かに上段へと構え――迷いなく、一歩だけ深く踏み込んだ。


「これで終わりだ、サタン。――『陰陽神裂・光輪斬(いんようしんれつ・こうりんざん)』!!!」


一閃。


空間そのものを切り裂いて放たれた純白の光輪が、サタンの放った最悪の暗黒エネルギーごと、その巨大な軀を真っ二つに一刀両断した。


「ガ、ハ……。この私が……世界を統べるはずだった私がァァァァーーーーッッ!!!」


耳を聾するほどの断末魔の叫びとともに、魔王サタンの肉体と魂は、二度と蘇ることのない綺麗な光の塵となって空間へと完全に消滅した。


それと同時に、世界を絶望で満たしていた紫黒の闇が霧散するように綺麗に晴れ渡り、雲の隙間から、世界を優しく祝福する温かい本物の太陽の光が、幻獣界の大地へと美しく降り注いだのだった。

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