59話 光の総力戦
「お、おのれぇぇ! なぜ生きている、あの呪縛の中でなぜ生を繋いでいるのだ、神殺しの不吉な小倅がぁーーーッ!!」
魔王サタンが顔を醜悪に歪ませ、狂乱の咆哮を上げながら、再びシンの魂を絶望の淵へと引きずり戻そうと、周囲の空間を腐らせるほどの禍々しい闇の呪詛を一斉に解き放った。
しかし、今のシンは一歩も引かない。
「もう、その暗い闇は――僕には届かない!」
シンが二振りの神聖なる剣を胸の前で力強く交差させると、内側から溢れ出た混じり気のない純白の光が爆発的に拡散した。サタンの放った最悪の呪詛をかすり傷一つ負うことなく一瞬で霧散させ、逆にどんよりと垂れ込めていた天の闇をも鋭く切り裂いてみせる。
「今よ、みんな! ――『ハイ・ヒール・オール』!」
その直後、ヒミコ、サーラ、ソフィア、そしてユイの四人が放つ聖なる広域最上位回復魔法が戦場に炸裂した。水の精霊の加護を得た清らかな光の雨が満身創痍だったライトたちを優しく包み込み、男たちの負っていた無数の傷と枯渇しかけていた魔力を、文字通り一瞬で全回復させていく。
「体が軽い……! 最高の気分だ、みんなありがとう!」
ライトが再び眩い黄金のオーラを爆発させる。絶望の戦場に、反撃の狼煙が完全に上がった。
『我が友バハムートよ、待たせたな! 龍神界の誇りと絶対の威厳、今ここに示さん!』
突如、上空の闇を切り裂き、眩い金色の神々しい光とともに龍神界の最高権力者であるマスタードラゴンが、満を持してこの最前線へと降臨した。
「ふん、遅いぞ、マスタードラゴン殿! 奴をこの世界から一欠片も残さず消し去るぞ!」
龍神王と幻獣王、世界最高峰の『王様コンビ』が天空に並び立つ。
「「往けぇーーーッ!!」」
マスタードラゴンの『純金色龍息』と、バハムートの『次元消滅』 (ディメンション・エンド)が空間の歪みの中で完全に融合。超極大の光の奔流となって、サタンの巨軀を正面から直撃した。
「グ、ガァァァァッ!?」
強固な闇の障壁ごと肉体を激しく焼かれ、凄まじい悲鳴を上げるサタン。だが、光の意志を持つ者たちの容赦のない猛攻は、まだ始まったばかりだ。
「僕たちも行くよ! 勇者一行、突撃だ!」
ライト、カイル、サーラ、ソフィアの4人が間髪入れずに仕掛ける。サーラの高位攻撃魔法とソフィアの完璧な攻撃バフを全身に受け、ライトの聖剣エクスカリバーから放たれた『聖王十字斬』と、カイルの『魔法剣閃光剣・連斬』が、十文字にサタンの巨大な胸元を深く切り裂いた。
「オラオラオラァッ! 居眠りしてる暇はねえぜ!」
間髪入れず、キラーパンサーの姿をしたガイルが縦横無尽に空間を駆け抜け、残像を残すほどの神速の爪撃でサタンの顔面を捉え、その視界を完全に奪い去る。
「ココア、いくよ!」「うん、モカ!」
妖精の二人が小さな手を取り合い、その小さな身体からありったけの魔力を解き放つ。
「「『合体魔法・フレア』ーーーッ!!」」
極大の爆炎がサタンの脳天で大爆発を起こし、その巨躯を大きくのけぞらせる。
「これが私たちの、光の意志よ! ――『究極魔法・アルテマ』!!」
そこへさらに、ヒミコの手から放たれた世界の理そのものを崩壊させるほどの聖なる光線が、サタンの肉体を無慈悲に穿った。
「これで、決めて……シン!! ――『氷連連斬』!!」
ユイが背中の水の翼を大きく羽ばたかせ、精霊の氷剣によってサタンの足元からその巨体ごと、動きを完全に凍てつかせた。
「――往くぞ、シン! 磨き上げてきた師弟の力、あの化け物に見せてやれ!」
「はい、ジンさん!!」
猛攻の最後を締めくくるのは、黒剣使いジンと、完全復活を遂げたシンの最強師弟コンビであった。
二人は一瞬にしてサタンの懐へと鋭く潜り込むと、ジンの握る二振りの黒剣、そしてシンの『日輪の剣』『鳳凰の剣』――計四振りの無慈悲な刃が、眩い閃光となってサタンの巨軀を縦横無尽に十文字に斬り刻んでいく。
さらに、シンはその四振りの軌跡から、限界を超えた『四象破滅陣』を至近距離で放った。
ドカァァァァァン!!!
すべての、ありとあらゆる究極の攻撃を叩き込まれた魔王サタンが、天を衝くほどの大爆発を起こして大地へと崩れ落ちていく。
全員の紡いだ固い絆の力が、サタンの圧倒的な闇を完全に圧倒した、歴史的瞬間であった。
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