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47話 王の進撃



「滅びよ、裏切り竜ドロスーーッ!!」


幻獣王バハムートの地鳴りのような咆哮とともに、その巨大な口内から放たれた『次元消滅』 (ディメンション・エンド)の圧倒的な光条が、幻獣界の美しい天空を真っ白に染め上げた。


すべてを塵へと還す、超高密度のエネルギーの奔流。

猛烈な勢いで突撃していたゾンビ竜ドロスは、回避する間もなく、その光の直撃を正面から完全に浴びることとなった。


――ズガアアアアアアアン!!!


天と地が真っ二つに割れるかのような大爆音。

ドロスの巨大な身体は、『次元消滅』 (ディメンション・エンド)の凄まじい衝撃波によって遥か彼方の浮島まで一瞬で吹き飛ばされ、激しく叩きつけられた。そのあまりの衝撃に、頑強な浮島が中央からメリメリと音を立てて真っ二つに叩き割れる。


「グオオオオッ、ガ、ァ……!?」


ドロスが苦悶の声をあげる。並の魔獣であれば跡形もなく消滅しているはずの威力。しかし、神界の決戦で一度命を落とし、サタンの闇の力によって無理やりアンデッド化させられたドロスの肉体は、傷口からどす黒い霧を激しく噴き出しながら、おぞましい速度で強制的に再生を始めていた。


「フン、さすがは現・幻獣王バハムート。先代のガイルが抜けた後の座を継いだだけのことはある。凄まじい破壊力だ」


サタンが空中から冷酷に見下ろし、皮肉な拍手を送る。


「だが、再生し続ける不死のドロスを相手に、その大技が一体何度持つかな?」


「何度でも、お前たちを跡形もなく叩き潰すまでよ!」


バハムートの瞳が紫の峻烈な雷光で激しく明滅する。

バハムートは巨大な漆黒の翼を力強く一閃すると、その巨体からは到底想像もつかない神速を繰り出し、まるで空間そのものを転移するかのようにサタンの眼前に突如として現れた。


「なに……!? この速さ……!」


サタンが驚愕に目を見開く。


「我が風の支配する領域で、スピード勝負を挑んだこと自体がお前たちの最大の敗因だ!」


バハムートの強靭な尾が、猛烈な雷撃を纏いながらサタンの胴体を真横から強烈にぶち抜いた。


――ドゴォォォン!!


「グフッ……!」


さしものサタンもその一撃を防ぎきることはできず、まるで大砲から放たれた弾丸のような速度で地面へと叩きつけられ、大地に巨大なクレーターを作り出した。

すかさず、肉体の再生を終えたドロスが背後からバハムートへ死霊の爪を向けて襲いかかる。腐った爪がバハムートの美しい鱗を切り裂こうとしたが、バハムートは振り返りもせず、その巨大な片翼だけでドロスの顎を完璧に弾き返した。


「龍神王マスタードラゴンの無念、そして先代マザードラゴンの誇り……! お前たちのような地獄の悪鬼どもに、これ以上この世界を踏みにじらせはせん!」


バハムートは天高く舞い上がると、その全身の鱗から、幻獣界に満ちるすべてのエネルギーを限界まで吸い上げるかのように、激しい紫電を迸らせた。

清らかだった天空が一瞬にして漆黒の雷雲に覆われ、数千、数万もの巨大な雷の槍が、地上にいるサタンとドロスへと向けて一斉にその照準を合わせる。


それこそが、幻獣王バハムートが誇る絶対無比の最大奥義――『次元消滅 (ディメンション・エンド)・インパルス』。


「ここで、二匹まとめて灰になれーーーッ!!」


天空の彼方から、世界そのものを滅ぼさんばかりの紫電の豪雨が、サタンとドロス目掛けて容赦なく降り注いだ。


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