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35話 英雄の激突と真実の光

陰陽合一ノ神殺し~二刀の聖剣が一本の絆へと変わるとき~


限界を超えてぶつかり合う二人の若き英雄の魔力が、天空の空中庭園の空間そのものを歪めていく。


「……これで、終わりにする!!」


シンが二振りの聖剣を天へと高く掲げた。

右手の『日輪』からは覚醒した飛竜の黄金の烈火が吹き荒れ、左手の『月読』からは鳳凰の蒼き凍気が溢れ出す。それだけにとどまらず、ジンとの修練で培ったドス黒い『暗黒闘気』、そしてガイルから受け継いだ透明な『波動』のエネルギーが、シンの身体を中心に巨大な渦を巻き、一つへと融合していく。


飛竜、鳳凰、暗黒、波動――シンがこれまでの旅で掴み取った全ての力を注ぎ込んだ、規格外の融合攻撃。その絶対的な一撃が、二刀の刃へと集約されていく。紫黒・双天十字斬(しこく・そうてんじゅうじざん)の進化系


「『四象破滅陣(クアッド・ディザスター)』!!!!」


対する勇者ライトもまた、その身に凄まじい純白の闘気を爆発させていた。


「俺は……絶対に負けられないんだ! 『聖王十字斬(グランド・クロス)』ッ!!!」


ライトがすべての闘気を聖剣エクスカリバーへと注ぎ込む。刃は天を突くまばゆい光の巨剣と化し、十字の光の軌跡を描きながら、世界のすべてを切り裂くほどの圧倒的な威圧感で撃ち放たれた。


互いに、これが本当の最大最後の一撃。

二人の英雄が同時に地を蹴り、空中庭園の中央で真っ向から激突した。


――ドゴォォォォォォォォンッ!!!!!!!!


神界の空が完全に引き裂かれ、天地がひっくり返るほどの光と闇の大爆発が巻き起こった。その凄まじい爆風は、庭園の白亜の建造物を跡形もなく吹き飛ばし、濃い白煙が戦場全体を包み込む。


「ハァ……ハァ……ッ!」


立ち込める煙が薄れる中、最初にがくりと膝を突いたのはシンだった。全身に無数の凄絶な斬撃を浴び、二振りの聖剣を地面に突き立ててかろうじて身体を支えている状態だった。


一方のライトもまた、シンの放った規格外の四象の力をその身にまともに受け、白銀の鎧は木っ端微塵に砕け散り、血を吐きながらよろめいていた。


完全に相打ち。二人とも、今この場に立っているのが奇跡なほどの満身創痍だった。

だが、互いの瞳に宿る執念は、まだ微塵も潰えてはいない。


「まだだ……まだ、僕は動ける……!」


「ソフィアを……助けるまでは……俺は死ねない……!」


シンは痛む身体を無理やり鼓舞して二刀を構え直し、ライトもまた血に染まった手で重いエクスカリバーを握り直す。傷つき、血を流しながらも、二人はもう一度、命を削って最後の最大攻撃を繰り出そうと互いを見据えた。


お互いの刃が、再び交わろうとした――まさにその瞬間だった。


「お兄ちゃんーーーーーっ!!!!!」


崩壊した戦場に響き渡ったのは、ライトが誰よりも愛し、その笑顔を守るために命を懸けて戦ってきた少女の、悲痛な叫び声だった。


「な……っ!?」


ライトの動きが、完全に硬直した。

たった今、爆煙を割って戦場へと飛び込んできたのは、ヒミコの古代魔導によって無事に救出された、傷一つないソフィアの姿だった。彼女の背後には、ユイ、モカ、ココア、サーラ、そしてカイルがしっかりと付き従っている。


「ソフィア……? お前、なぜここに……洗脳の檻に捕らわれていたはずでは……」


ライトの手から、聖剣エクスカリバーが力なく地面へと滑り落ちた。


「お兄ちゃん、もう戦わないで! 私なら大丈夫、この人たちが助けてくれたの! カムルは私たちを騙していたのよ!」


ソフィアがライトの胸へと一直線に飛び込み、その背中に強く抱きついた。腕の中に伝わる、最愛の妹の確かな温もり。その絶対的な事実を前にして、ライトの心を支配していた狂気的な闘志は、一瞬にして綺麗に霧散していった。


「ライト……すまなかった。俺の不徳の致すところだ。お前を一人で苦しませた」


カイルが前に進み出、自らの無事と、地下で暴いてきた神界の醜悪な真実をライトへと告げる。

ユイもまた、シンの元へと駆け寄り、その小さな肩を貸してシンの身体を優しく支えた。


「シン、お疲れ様。よく頑張ったね」


「ユイ……みんな……。無事だったんだね……」


シンは心からの安堵からフッと笑みをこぼし、ようやくその両手の剣を下ろした。

そして、合流したヒミコとソフィアの口から、驚愕の事実が告げられる。


「二人とも、よく生き残ったわね。……でも、本当の地獄はこれからよ。大聖堂の地下最下層に、本物の『神アデル』様が幽閉されていたわ。カムルは、アデル様を生贄にして世界を裏から操っていた偽りの神よ」


「な、何だって……!?」


「アデル様が、幽閉……!?」


初めて耳にするその高位の神の名と、神界の闇の深さに、シンとライトは満身創痍の身体のまま深く息を呑んだ。


神カムルによって引き裂かれ、殺し合わされていた二人の若き英雄の刃は、ついにここに収められた。だが、これこそが神界の欺瞞をすべて暴き、世界の未来を取り戻すための、真の決戦の始まりの一歩だった。


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