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34話 宿命の空中庭園

陰陽合一ノ神殺し~二刀の聖剣が一本の絆へと変わるとき~


雲海を遥か眼下に見下ろす、天空の空中庭園。

かつてない凄まじい地響きと、大気を引き裂く魔力の火花が、白亜の美しい庭園を容赦なく内側から崩壊させていた。


――ギギギギギギギギギッ……!!!


激しく激しい火花を散らし、互いの聖剣が真っ向から噛み合っている。


片や、折れた天照の破片を自らの魂で融合させ、黄金の光を放つ『日輪』と、静謐な銀の光を放つ『月読』の二刀を力強く構えたシン。

片や、神カムルの圧倒的な神聖治癒によってすべての傷を強制的に塞がれ、烈火のような闘志と共に聖剣『エクスカリバー』を握りしめる勇者ライト。


「……なぜですか、勇者のあなた。なぜあなたが神カムルの先頭に立って、僕たちの前に立ちはだかるんですか!」


シンが二振りの聖剣にありったけの力を込め、ライトを押し戻しながら吼えた。

対するライトの瞳に宿っているのは、張り詰めすぎて今にもパリンと壊れてしまいそうな、あまりにも悲壮な覚悟だった。


「黙れ……っ! 俺には、こうするしか無いんだ……! 全てを懸けて、お前たちを倒す。それが俺の、唯一の任務だ!!」


ライトが絶叫し、エクスカリバーから純白の聖光を爆発させた。

その一撃は、以前の戦いよりも遥かに重く、鋭い。最愛の妹であるソフィアを何としても救いたいという一心、そして絶対に負けられないという狂気的な執念が、ライトの剣技を前人未到の極限の領域へと押し上げていた。


――ズバァァァァァンッ!!!


「くっ……! なんて重さだ……っ!」


シンは『日輪』の黄金の刃でその重撃を受け流し、すぐさま流れるような動作で『月読』による鋭いカウンターの斬撃を繰り出す。だが、ライトはそれすらも見切り、驚異的な反応速度でエクスカリバーの刃を滑らせて完璧に防ぎきった。


二人の若き英雄による、一歩も退けない、たった一撃が命取りとなる極限の真剣勝負。


進化したシンの二刀流による神速の連撃と、ライトの全てを断ち切る聖剣の剣閃が、周囲の空間そのものを幾重にも切り裂いていく。互いの刃が激しく交わるたびに、ドゴォォンと天地を揺るがす地響きが轟き、空中庭園の白亜の床が激しくひび割れて粉砕されていった。


「僕だって、ここで退くわけにはいかない……! 仲間と一緒に、世界をひっくり返すと決めたんだ!」


シンが『日輪』と『月読』をそれぞれ強く握り直し、その全身から陰陽の光のオーラを限界突破の勢いで噴出させた。


「どんな理由があろうと、僕たちの邪魔をするなら、全力であなたを倒す!!」


ライトはシンの名前すら知らない。だが、目の前で陰陽二振りの聖剣を完璧に操るこの少年の、一切の妥協のない強さと真っ直ぐな瞳に、ただ圧倒されていた。


「……ふん、いい眼だ。お前もまた、生半可な覚悟でここに立っているわけではないようだな……っ!」


ライトのエクスカリバーが、一層激しい烈火の魔力を纏って輝きを増していく。その凄まじい熱量が、周囲の雲海をも蒸発させていく。


「ソフィアを……俺のたった一人の妹を助けるためなら、俺は世界の敵にだってなってやる!! だから邪魔をするなァァァァァッ!!!」


正面から激突する、二人の絶対に負けられない理由。

そこに同情や心配の余地など、もはや一片も存在しない。


神界の命運、そして互いのプライドのすべてを巻き込んだ宿命の死闘は、ついに互いの最大の一撃を以て、決着の瞬間を迎えようとしていた――。


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