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32話 最下層の総力戦と天空の地鳴り

陰陽合一ノ神殺し~二刀の聖剣が一本の絆へと変わるとき~


「チッ、ネズミどもが嗅ぎ回り始めたか。だが、オレの計画を邪魔させるわけにはいかん」


最下層の濃密な暗闇の中、漆黒の甲冑を纏った男――サタンは、重厚な鉄扉の向こうから伝わってくるヒミコたちの強大な魔力を忌々しげに睨みつけた。

最高神アデルを救いに来る別働隊をここで確実に仕留め、時間を稼ぐため、彼は不気味に輝く『光のクリスタル』を懐へと収めると、虚空に向けて禍々しい暗黒の魔剣を突き立てた。


「出でよ、魔獣界の巨獣――『オロチ』! 立ち塞がる愚者どもを一人残らず喰らい尽くせ!」


サタンの呪詛と共に、引き裂かれた漆黒の時空の裂け目から、幾重にも不気味に絡み合う巨大な大蛇の化け物――オロチが、空間を震わせる咆哮を上げて出現した。巨獣はサタンの冷酷な命に従い、最下層の扉を豪快にブチ破って侵入してきたヒミコたちへと凶悪な牙を剥く。


その隙に、サタン自身はさらなる闇の深淵へと静かに姿を消すのだった。


「来るわよ……っ! 総員、総力戦で迎え撃ちなさい!」


大聖堂の地下最下層。最高神アデルが幽閉された祭壇の手前で、突如現れた巨獣オロチが一行の行く手を完全に阻む。


「これ以上、神界の好きにはさせん! 『閃光剣・連斬』!!」


カイルが口から血を吐きながらも、ひび割れ折れかけた魔剣を固く構え、先陣を切ってオロチの巨体へと突撃した。鋭く正確な剣閃が、オロチの巨体の動きを一時的に縫い止める。サーラもまた、カイルを絶対に死なせないという強い意志で、防壁魔法を限界を超えて展開し続けた。


「ボクたちの合体魔法、見せてあげる!」


「シンをいじめる奴らは、みんな吹き飛んじゃえー!」


モカとココアが小さくも力強く手を取り合い、二人の魔力を一つの巨大な渦へと練り上げていく。


「「『合体魔法・フレア』!!!!」」


二人の愛らしい身体から放たれたのは、周囲の闇を瞬時に一掃する、すべてを焼き尽くす超高熱の紅蓮の劫火だった。凄まじい大爆発がオロチの数本の首を直撃し、巨獣が鼓膜を裂くような苦悶の声を引き起こす。


そこへ、魔導書を掲げたユイが一歩前へ毅然と踏み出した。


「これで動きを止める……! 『氷華聖天斬(ひょうかせいてんざん)』!!」


ユイの放った絶対的な凍気の刃が、爆炎に焼かれたオロチの身体を瞬く間に芯から氷漬けにし、その身を大聖堂の床へと完全に縫い止めた。


仕上げとばかりに、大賢者ヒミコが長煙管を大きく一振りし、その妖艶な瞳を鋭く光らせた。


「我が愛弟子たちの道を遮る不届き者よ。塵に還りなさい……『究極魔法・アルテマ』!!」


ヒミコの細い指先から放たれたのは、空間そのものを白く崩壊させる純白の絶対破壊光線だった。オロチは防ぐ術もなくその圧倒的な光に呑み込まれ、断末魔の叫びを上げて、跡形もなく完全に消滅した。


「やった……のか……?」


カイルが呆然と息を呑む中、ユイたちは急いで奥の祭壇へと駆け寄り、幽閉されていた本物の神アデルの強固な封印を解き放った。

優しく、しかし確固たる神威を纏ったアデルはかすかに目を開け、「よくぞ……偽りの神の目を盗み、ここまで……」と、一同に暖かな感謝の光を注ぎ込む。


――その瞬間だった。


――ズウウウウウウウウウンッ!!!!!


神界全体、いや、世界そのものがひっくり返るかのような、凄まじい大地響きが大聖堂の地下牢を激しく揺るがした。

頑丈な壁が崩れ落ち、天井からは激しく土砂が舞い散る。


「な、何だこの凄まじい地響きは……っ!? まさか正面戦場の衝撃で神界が崩壊するのか!?」


カイルが驚愕して周囲を見回す中、ユイは地上へと続く長い階段を見据えて、引き裂かれそうな声で叫んだ。


「違う……シンとライトさんだわ! 上で、二人が命を懸けて戦っているんだわ!」


ライトはまだ、ユイたちが無事であることも、カムルのついた大嘘も何も知らないまま、妹のソフィアを救いたい一心で命を削って戦っている。この世界を揺るがす凄まじい地響きこそが、二人の死闘がすでに最終局面を迎えている何よりの証拠だった。


「ライトの奴、騙されたまま戦い続けてやがる……! 早く、あのバカを止めないと取り返しのつかないことになるぞ!」


「ええ、行くわよみんな! 全員で正面戦場へ突入し、二人の戦いを止めるわ!」


アデルを無事に救出した隠密別働隊は、満身創痍の身体に鞭打ち、シンとライトが激突する天空の決戦場へと向かって全力で走り出した。


その頃、雲を割るほどの烈火と魔力が渦巻く天空の空中庭園。


進化した二振りの二刀流聖剣『日輪』と『月読』を力強く構えたシン。

そして、最愛の妹を人質に取られ、悲壮な覚悟で『エクスカリバー』を激しく振るう勇者ライト。


互いの決して譲れない想いと世界の命運を懸けた、二人の若き英雄による凄絶な死闘が、まさに激しく繰り広げられている最中だった――。


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