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11話 波動の攻撃 

陰陽合一ノ神殺し~二刀の聖剣が一本の絆へと変わるとき~


ガイルの苛烈なテストを耐え抜き、激しい土煙が晴れた滝壺。

「さて、小僧」

ガイルは琥珀色の鋭い視線を、じっとシンへと移した。


シンは深く息を吐いて一歩前に出ると、ゆっくりと両手を虚空へと差し伸べ、精神を限界まで集中させた。

シンの持つ武器は、普段は実体を持たない。戦うその瞬間にのみ、己の魂と体内の魔力を限界まで練り上げて虚空から作り出す、唯一無二の『具現化の聖剣』なのだ。


シンの右手にカッと眩い赤蓮の光が収束し、左手には深く静謐な蒼氷の輝きが満ちていく。

光が濃密な質量を伴って実体を結び、二振りの美しい聖剣がその姿を現した。


右手に握るは、太陽の破壊と飛竜の剛力を宿す赤蓮の聖剣『日輪(にちりん)』。

左手に握るは、月の静寂と鳳凰の治癒を宿す氷蒼の聖剣『月読(つくよみ)』。


紅と蒼、全く対極の輝きを放つ二振りの刃を、シンは鋭い足捌きとともに、一方は逆手に、一方は正眼に構えた。その洗練されつつある佇まいを見つめ、ガイルは満足そうに目を細める


「ふん……相変わらず業の深い武器を生み出すな。防御は合格だ。だが、守るだけではこの先にある幻獣界の奥地、ましてや神界へと進むことはできん。次は、その具現化させた二振りの聖剣に波動を正しく充填(チャージ)し、一撃の刃として放つ『攻撃』の感覚を叩き込む」


ガイルが太い顎で示したのは、先ほどから周囲に激しい爆音を響かせて流れ落ちている、あの巨大な滝だった。


「あの滝を、お前の二本の刃で一刀両断してみせよ。ただ斬るのではない。激しい水流を完全に断ち切り、一瞬でも滝の裏側の岩肌を露出させることができれば合格だ」


「滝を、一刀両断……!」


シンはゴクリと喉を鳴らした。


ただ力任せに二本の剣を振るだけでは、切られた水は一瞬で元通りに流れてしまう。

右手の『日輪』が持つ強大な剛力、そして左手の『月読』が持つ絶対的な静寂。波動の集中を少しでも誤れば、繊細な魔力で具現化している二本の聖剣そのものが崩壊しかねない。


この相反する二つの強大な力を、ガイルから教わったばかりの「波動」によって完全に調和させ、同時に滝へと叩き込む――そんな極限の『感覚』が、今まさにシンに求められていた。


シンはゆっくりと歩みを進め、轟音を響かせる巨大な滝の正面に立った。

激しい水飛沫が頬を濡らす。シンは紅の刃と蒼の刃を胸の前で交差させるように構え、そっと静かに目を閉じた。


(焦るな……ジンの暗黒闘気に飲み込まれるな。具現化した日輪と月読の形をしっかりと維持して、世界の息吹を感じるんだ)


脳裏に響く大自然の轟音。激しい水流の「呼吸」を、自らの呼吸と重ね合わせていく。


(波動を、この二つの刃の切っ先まで均等に、一筋の細い糸のように繋ぐんだ……!)


シンの手の中で、具現化した日輪と月読が、主の強い意志に応えるように、キィィィンと美しく透明な声を上げて鳴り響いた。


固唾を呑んで見守るユイ、そしてモカとココア。

元・幻獣王の鋭い眼光が見守る中、二刀流の少年による、次なる覚醒への修行が、今ここに静かに幕を開けるのだった。

最後までお読み下さいましてありがとうございます。感想書いて貰えれば嬉しいです。 

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