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追放された貴族の三男。得意なバイオリンの音色が美人さんや有能配下を引きつけて、気がついたら巨大王国と大戦争をしてた件について  作者: ちくわ天。


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第28話 リンベルク観光

 王国歴162年9月12日 17時頃 リンベルクの街にて――


 門をくぐると巨大な4つの尖塔が目に飛び込んできた。次に赤茶けた煉瓦で作られている教会が4人を出迎えていた。尖塔の下にアーチ型の窓が四方に備えられており、ステンドグラスが飾られた放射状の祭室(主祭壇が置かれ、司祭が儀式を行う特別なエリア)が目につく。


 遠くから眺めているレオンシュタインは、その由緒ある建造物に感嘆の声をあげてしまう。


 大学都市かつ大司教の都市と呼ばれるリンベルクはビールが美味しいことでも名高い。


「この町は人口約15万人の中規模中心都市です。クロートローテンより人口は少ないですけど賑やかですね」


 まわりを見渡しながらティアナはその華やかさに目を丸くしている。中心街まで歩くと、多くの人々が集まっている場所に気がつく。レオンシュタインは眉の上に手をやり、遠くを眺めて感嘆の声を漏らしていた。


「ここが有名な川の中州に立つ市庁舎か」


 市庁舎は2つの橋の真ん中に立っており、その橋は建物のトンネルを通り自由に通行できるようになっている。橋の下にはレグニッツァ川が流れており、涼を提供している。また、花と宝石の都と呼ばれるように街の至る所に花が植えられており、その甘い匂いと相まって明るい雰囲気が漂っていた。


 目を細めたレオンシュタインは飽きもせずにその景色を眺めていた。


 逆にイルマやティアナは市庁舎の装飾に目を奪われていた。バロック調の建物は、周囲をバラ園で囲まれており、薄い赤や黄色の華麗なモザイク模様をつくり出している。


あるじ、中に入ってみないか」


 花にそれほど興味がなさそうに思えるイルマだが、心なしか気持ちが浮き立っているように見える。


 3人が市庁舎の中に入ると目の前に巨大な人物画が現れた。前の壁には新司教領主がリンベルク入りしたときの絵を、反対側にはその死の絵が掛けられていた。天井を見上げた3人は、天使と女神が描かれたフレスコ画の華やかさと鮮やかさに圧倒されるばかりだった。


 市庁舎の裏側にはバラ園が広がっており、そちらに歩いて行くと目の前にリンベルクの街が一望できる丘があるらしい。5分ほど歩くと、秋晴れで雲一つない青空の下、宝石のような町並みが眼下に広がっていた。


「フランケン地方の宝石とは、よく言ったものですね」


 ティアナが独り言のようにつぶやき、全員がそれに同意する。


 旧市街と新市街の調和が美しく、新市街でもオレンジ色の煉瓦を基調とした木組みの家が広がっている。目の前のレグニッツァ川は市庁舎を挟むように流れていた。市庁舎前の土台の上に、不自然に木組みの家が建っている。木は黄色に塗られており壁の白に映えて美しいが、三角形の土台の上に長方形の建物が載っていることに目を引かれる。


「それにしても、どうして、こんな作りにくいところに建物を建てたのかな?」


 イルマは気になって仕方がない。この家を見たいがためにリンベルクを訪れる人も多いのだ。ただ、その理由を誰に聞いても「さあ?」と首をすくめられるだけだった。


 しばらく市庁舎周辺を歩いた後、3人はさきほどの教会へと向かう。


 リンベルク大聖堂は高さ80mの4つの尖塔が目印となっており、街のどこからでも見ることができる。大聖堂の中で祈りを済ませてから、本来の目的地である施療院へ向かう。リンベルクの施療院はとても大きく、50人は収容できるベッドを備えていた。


 受付と話したイルマは、ここで解呪を行っていることを確認する。


「じゃあ、解呪は明日だ。疲れたし、宿に行こう」

「そうですね」


 太陽は西の方へ移動し、先ほどまでの暖かさが少しずつ失われてくる。


 3人はすぐに中心街に移動すると、雰囲気が良さそうなクローバー亭に腰を落ち着けることに決める。2階の部屋に案内された3人は、すぐにベッドの上で脚を伸ばしていた。


「今日も歩きましたね」


 行儀良く座ったままティアナが疲れた声で話す。


「主も痩せたんじゃないか」


 ベッドの上で胡座をかいていたイルマは、疲れを吹き飛ばしそうな声で軽口を叩く。


「本当だね。しかも襲撃付きだったから本当にお疲れさま」

「まあ、主が無事で何よりだった。それにしてもティアナには悪いけど、仮面の女にご執着とは子爵家当主の趣味が分からないねえ」


 その理由を知っているティアナとレオンシュタインは苦笑いをするばかりだった。


「じゃあ、料理を食べにいこう」


 3人はがらんとした食堂に行き、小さいパンにトマト、レタス、サラミを挟んで食べる。食事をあっという間に平らげると、3人は話もそこそこにベッドの中に倒れ込むのだった。

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