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追放された貴族の三男。得意なバイオリンの音色が美人さんや有能配下を引きつけて、気がついたら巨大王国と大戦争をしてた件について  作者: ちくわ天。
第4部 戦いの中で 第2章 戦争が終わって

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第254話 ノイエラント軍 進発

 王国歴165年7月25日 昼 レオンシュタインの丸太小屋にて――


「レオンさま。ヨシアス殿から朗報です」


 フリッツから連絡を受けレオンシュタインの小屋に重臣たちが集められる。


「レーエンスベルク辺境伯家長男アルフレドは独立軍を立ち上げました。そのため資金の援助とイグナーツ殿の救出を願い出ています」


 やや興奮しながらレネは全員に伝達する。ヨシアスの成功で主任参謀長グラビッツの作戦がスムーズに進みそうだと分かり、レオンシュタインは心から感謝する。


「お金はいかがいたしましょう?」

「大金貨200枚(約20億円)をすぐに援助です。マッチョ隊には悪いですが、早ければ早いほど、効果を発揮するでしょう。2回に分けて運搬してくれますか」


 レネの懸念にレオンシュタインはすぐに解答を話していた。


 次は軍事について、主任参謀長グラビッツが意見を述べる。


「ナレ砦に最低限の兵を残し、全軍をノイエラント北部のヴァルデック城に移動させる。クリッペン地区では他国と連携する際に時間がかかり過ぎるからな。さらに、シュトラント伯爵と交渉し中立を保ってもらおう。その後、軍を境界の町バンデルビットまで移動させたい。辺境伯領へは、そこから進撃可能だからな」


 地図を示しながら、グラビッツは流れるように説明する。対ユラニア王国と戦うための作戦は参謀全員で考え続け、資料を見なくても話せるほどになっていた。

 

「辺境伯領は北側はユラニア王国、北西部はロッツメルブラートという亜人国家、南西部をヘレンシュタイク公国、南はシキシマ地区、南東の一部にシュトラント伯領、東側はコムニッツ公爵領と、多くの領土に囲まれてる」


 グラビッツは、まず全員にレーエンスベルク辺境伯領周辺を詳しく説明し始めた。地図の真ん中にあるヒョウタンのような形の領土を指し、グラビッツはさらに続ける。


「主な城は、領土の中央付近にホーエンシュバンガウ城、その北60kmほどにファルケン城、さらに北の王国との境界にあるホーエス城、南側の中央にシュパレン城がある。辺境伯の居城はホーエンシュバンガウ城だ」


 説明した場所に、城を示す正方形の箱を置いていく。


「作戦の第1段階は、公国のアルタンツェ殿に辺境伯領のクロップ砦とその北側のアルテナ砦を落としてもらう。その事態にシュパレン城から辺境伯次男ゲオルフが、ホーエンシュバンガウ城からはハイルヴィッヒ辺境伯が出撃する」


 地図の上に公国を示す緑色の駒が置かれる。また、それに向かって進発する辺境伯軍も赤色の駒が置かれる。


「我が軍と連動し、辺境伯長男アルフレド殿に辺境伯領の北部にある2つの城を落としてもらう。順序は王国との境界にあるホーエス城、次はその南部のファルケン城だ」


 地図の上の駒が次々と動いていく。


「辺境伯軍は2正面作戦を強いられる。恐らく北側には辺境伯本人が、南部はゲオルフの軍が対応に当たるはずだ。辺境伯の兵士は精強だから、公国やアルフレド独立軍と協力し軍を壊滅させる。レーエンスベルク辺境伯軍は5400人、我が軍は4400人、公国軍は2500人、アルフレド独立軍は今の所不明だ。1000人を超えることはないだろうが」


 ユラニア王国軍が援軍として来なければ十分に勝機はある。グラビッツは最後の仕上げとして、弟子に大きな試練を与える。


「フォルカーにはホーエンシュバンガウ城を落としてもらう。いいな」

「……うす」

「イグナーツは、ホーエンシュバンガウ城に幽閉されているはず。城を落とせば救出できる」


 ユラニア大陸屈指の堅城、ホーエンシュバンガウ城を落とすには二万の軍でも足りないほどだ。レオンシュタインの指摘にグラビッツは不適に笑う。


「ホーエンシュバンガウ城を落とせば、辺境伯領はアルフレド殿のものとなります。あとは、王国の動きに注力しましょう」


 すぐに動員令が出され、シキシマ地区に伝令が走る。ルカスの農業チームは軍の食糧確保計画に余念がない。シキシマ地区やクリッペン地区、ヴァルデック領からの食料を前線まで輸送することは、戦うこと以上に大切なのだ。


「早く平和になって、うまいもん、食いたいよな」


 ルカスは心から思う。


 また、アルフレド独立軍への資金提供もすぐに実施される。公国にも出撃依頼の使者がたつ。どちらもマッチョ高速船が活躍するのだった。


 §


 それから3日後の王国歴165年7月29日にノイエラント軍出発の準備が完了した。レオンシュタインが出陣の号令をかける。


「ノイエラント軍、進発せよ!!」

「おう!!!」


 その姿をレネ、アイシャたち残留組が見送るのだった。

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