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追放された貴族の三男。得意なバイオリンの音色が美人さんや有能配下を引きつけて、気がついたら巨大王国と大戦争をしてた件について  作者: ちくわ天。
第3部 新天地ノイエラント 第3章 凶報に打ち勝つ夢

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第171話 軍事の提案からの男風呂

 王国歴164年9月15日 午前11時 クリッペン村 村長小屋にて――


  村ではサムライ200名、ヴァルデック領の騎士10名、兵士30名、募集に応じた新兵20名が職業軍人として活用できる。


「私が考えた編成は、以下の通りです」


 懐から巻紙を取り出したシノは、テーブルの上に広げる。


「第1・2部隊の人数はともに80名。構成は騎士5名、兵士15名、新兵10名、サムライ50名です。部隊に5人いる騎士が小隊長となり、兵士3名、新兵2名、サムライ10名を統率。その5つの小隊を部隊長が指揮します」


「第1部隊はゼビウス卿、第2部隊はイルマさんが部隊長です」


 組織図を示すと、全員がその紙を食い入るように見つめる。


「混成部隊ですがオールラウンダーとも言えます。兵士や新兵にも、弓と剣の両方を使えるようにしていきましょう。次にサムライ100名を5つに分けます。その5部隊を5つの役目で仕事を割り振ります。村の治安維持、砦防衛、休暇、ヴァルデック領の治安維持、休暇です」


 休暇をローテーションに入れるところが独創的とも言える。


「ただ、村の軍には弱点が2つございます。1つ目は、魔法部隊が存在しないこと、もう1つは騎馬隊が存在しないことです。第2部隊は騎馬隊への転換を考えていくとよいですね」


 そこまで話すとシノは椅子に腰掛けた。レネは騎馬隊について言及する。


「馬はすぐにでも用意できますが魔法部隊は厳しいです」


 魔法攻撃はティアナしかできない。守るための結界石は準備できているのだが、守るだけでは最終的には勝つことができない。


「今、ケスナーさんに魔法の出来る人を探してもらっているのですが、未だに連絡がありません」


 魔法ができる人、まして攻撃魔法が使える人は少ない。そちらも、ギルドに積極的に募集していくことが決定する。だいたいの方針が決定し会議が終了しようというとき、レオンシュタインはフリッツに近寄っていく。


「実はフリッツさんに見てもらいたい場所があるんです」


 そこは村長小屋から100mほど離れた場所にある石造りの建物だった。


「ここは?」


 フリッツの疑問にレオンシュタインは、大きく手を広げてみせる。


「ここは、村の初めての浴場です!」

「ああ、ついに完成したのですね。素晴らしい!!」


 オイゲンの水道は、毎日、潤沢な水を村に供給しており、その一部を利用した公共浴場である公共浴場1号が先日完成したばかりだった。今日は村長たちが安全を確認する日になっていた。会議に参加していたメンバーは完成を祝い、まず風呂に入ることにした。服を脱衣所で脱ぎ、縦横3mの湯船にザブザブと入っていく。

 

「これは、気持ちいいな!」


 伯爵家にもなかった豊富なお湯はレオンシュタインを心からリラックスさせた。


「これがあれば、村人たちも疲れを癒すことができますな」

「こんなに綺麗なお湯は、大学のあったイタリアにもなかったな」


 首まで湯に浸かりながらレネは赤くなって答え、バルバトラスは手で湯をすくいながら昔を思い出し、目を瞑る。


「当然だ。俺が造った浴場なんだぜ」


 顔に湯を掛けながらディーヴァが話す。全員に話を嬉しそうに聞いていたレオンシュタインは、天井を見上げて感嘆のため息をつく。少し前まで、旅で各国をさまよっていた自分がこのような施設を完成させるとは思いもよらなかった。窓から差し込む日差しが浴室内を明るく照らしている。


 すると、オイゲンがレオンシュタインを真上から覗き込む。


「俺の水道はいろんな使い道があるぜ。次は農業用水も拡大だ。こっちは時間はかからないからな」


 向かい側に座っていたルカスは、日に焼けた顔をさらに赤くしている。


「水道や水路のおかげで野菜もいい感じに育って、今年は豊作だと思う。俺のジャガイモ、うまかったろ?」


 全員がうんうんと肯定する。今年の春ジャガイモは絶品で市場に出すそばから売れていく人気ぶりだった。ルカスの作ったジャガイモは人の握り拳くらいの大きさで、ユラニア大陸に出回っているジャガイモより大きかった。


 それをふかし、塩とバターを載せて食べた時のみんなの驚きは忘れられなかった。また、それによって村の食料自給の問題はある程度解決したのだ。


「秋のジャガイモだって旨いんだ。カボチャやキャベツだって絶対においしい。それを食べるとき、みんな笑顔になれるさ」


 自慢げに話すルカスを、みんな誇らしげに見つめている。ルカスもまた、素晴らしい仲間たちに感謝の眼差しを向ける。今まで誰も褒めてくれなかった農業の腕前を、こんなにも認めてくれる人がいることに、ルカスは幸せを噛みしめるのだった。

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