表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された生活魔法の天才 隣国で魔法特許都市を作ったら世界一の国になりました  作者: もりのなか
第2章 追放と旅立ち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/37

第33話:世界特許ランキング発表

 アルディナ王国の王都に新設された、世界初の『魔法特許庁』。

 その大講堂には、世界各国の商人と技術者、そして各国の外交官たちが一堂に会していました。

 彼らの目的はただ一つ。

 本日発表される『世界魔法特許価値ランキング』の結果を見届けることでした。


 ステージの中央には、特許庁の官僚であるアリシア・ノート様が立ちました。

「静粛に。これより、本年度の特許登録に基づく、国家革命級(Sランク)および産業革命級(Aランク)の特許価値ランキングを発表いたします」

 アリシア様の凛とした声が響くと、会場は水を打ったような静寂に包まれました。


 彼女の背後にある巨大な魔導スクリーンに、上位10件のリストが次々と浮かび上がります。

 それは、生活魔法をインフラとして再定義した「生活魔法カタログ80」の精鋭たちでした。


「第1位・Sランク特許。名称『魔力発電魔法』。発明者、ルナ・リリア・グランベル」

「第2位・Sランク特許。名称『魔法水道システム』。発明者、ルナ・リリア・グランベル」

「第3位・Sランク特許。名称『都市浄化結界』。発明者、ルナ・リリア・グランベル」


 会場から、地鳴りのような驚愕の声が上がりました。


「1位から3位まで、すべて同じ発明者だと……!?」

「魔力発電? 魔法を軍事ではなく、エネルギー源として抽出したというのか!」

「この三つだけで、国家インフラの50%以上が成立してしまうぞ!」


 アリシア様の説明は、さらに聴衆を圧倒しました。

「ルナ公爵の発明は、軍事魔法のような膨大な魔力消費を必要としません」

「魔力消費量0.01%以下。誤差0.01度以内の精密制御」

「この極限の効率化により、魔法を個人の才能から、誰でも利用可能な『資源』へと昇華させたのです」


 続いて、ランキングはAランク(産業革命級)へと移りました。


「第5位『魔法農業システム』。評価、食料生産量500%向上」

「第6位『魔法冷蔵保存』。評価、食料の1年以上の長期保存を可能に」

「第7位『魔法物流輸送』……」


 上位10件のうち、実に7件が私の名前、ルナ・リリア・グランベルで占められていました。

 聴衆の中にいた帝国スパイたちは、青ざめた表情で必死にメモを取っています。

 彼らの国が誇る軍事魔法は、このランキングのどこにも入っていません。

 なぜなら、人を傷つけるだけの力は、もはやこの「魔法特許制度」の下では「負のコスト」でしかないからです。


「リリア様。ご覧ください。世界があなたの知恵に跪いていますよ」

 傍らで私を見守る宰相エリオット様が、誇らしげに囁きました。

「軍事至上主義の国々が、破壊の力に全予算を投じている間に」

「私たちはあなたの特許で、世界経済の主導権を完全に握りました」


 私は、会場の最前列で震えているアルヴァレード王国の商人の姿を見つけました。

 彼はかつて、私の父である辺境伯と取引をしていた人物です。

 彼の顔には、自国の未来に対する絶望がはっきりと刻まれていました。


 アルヴァレード王国では、王太子アルドリック様が依然として軍事魔法の訓練に明け暮れています。

 しかし、その軍事魔法では民の喉を潤すことも、腐りゆく食料を救うこともできません。

 彼らは今、この会場で発表された「魔法特許」を、莫大な使用料を払ってでも手に入れなければ、国家が維持できないという現実に直面したのです。


「エリオット様。私は復讐のためにこれを作ったのではありません」

 私は、光り輝くランキングを見つめながら答えました。

「ただ、生活魔法という『人を豊かにする力』が、正当に評価される世界を作りたかっただけです」


「ええ、知っていますよ。だからこそ、あなたの魔法はこれほどまでに美しく、そして……」

 エリオット様は、冷徹な宰相の顔に戻り、会場の隅に目を向けました。

「……帝国や王国の者たちにとっては、何よりも恐ろしい『刃』になるのです」


 ランキング発表の直後、会場の外では『特許警察』による厳重な臨検が行われました。

 技術を盗み出そうとした帝国スパイ三名が、即座に身柄を拘束されます。

 エリオット様が設立した特許警察は、私の「知恵」を守るための盾として、完璧に機能していました。


「リリア様。次は、この特許を物理的な形にする場所……『魔法特許都市ルミエール』の定礎式を行いましょう」

「はい、エリオット様。そこが私の技術のすべてが集約される、世界の中心となります」


 ランキング1位から10位までが揃えば、国家インフラの80%が成立する。

 それは、軍事国家という旧い枠組みが、経済と技術によって完全に解体されることを意味していました。

 王太子アルドリック様。あなたが「お冷運びの役立たず」と捨てた魔法が。

 今や一国の国家予算を上回る富を生み、あなたの国を経済的に窒息させようとしています。


 第4章『魔法特許制度』の核心は、このランキングに示された「数字の暴力」でした。

 数字は、どんな軍事魔法よりも冷酷に、国家の勝敗を告げていました。

 私はエリオット様と共に、王宮の長い廊下を歩きながら、新しい都市の設計図を広げました。


 魔法特許都市ルミエール。

 そこには、200メートルの魔法特許塔がそびえ立ち、世界中の発明家が夢を追う光の街。

 私の「生活魔法カタログ80」のすべてが具現化されるその場所で、本当の逆転劇が始まろうとしていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ